芸能山城組…音楽好きであれば、その印象的な名前を聞いてピンと来るのではないだろうか。また、その名を知らずとも「AKIRAのサントラ」と言えば「あ〜、あの民族っぽいやつ…」と、ぼんやり思い出す人は多いだろう。未だにカルト的人気を誇るアニメーション映画「AKIRA」の、強烈な印象を残すサウンドトラックは、世界中から高い評価を受けているが、このサウンドトラックを担当しているのが、芸能山城組というアーティストグループなのである。


芸能山城組は、毎年夏に、新宿のビル群のど真ん中で「芸能山城組ケチャまつり」という催しを開催している。なんとこのケチャまつり、今年で第四十二回目の開催。40年以上の長きに渡り開催され続けてきた、芸能山城組主催の「祝祭空間」!ケチャ祭りは、1日だけでは終わらない。2017年度の今年は、8月2日(水)〜8月6日(日)の5日間に渡って開催された。


ケチャ祭り会場で配布されている厚めのパンフレット「ケチャまつりガイド」を見ると、「世界の芸能の精華をご披露します」とか「共同体を共同体たらしめる非言語脳機能のオフライン同期(命令系統や同期信号なしに〈阿吽の呼吸〉で成立する群れの一体性)」などと、なにやら仰々しく書かれているので、混乱しつつも見る前から期待は高まる。


ちなみに、芸能山城組は

遺伝子DNAに約束された
人類本来のライフスタイルを模索し
検証しようとする実験集団であり
行動する文明批判の一拠点


であるそうだ。なるほど。

更に、山城組にはなんと、脳科学をはじめとする博士号を持つメンバーが13人も在籍しているとか。そう言われると、パンフレットが難解だとしても「まあ、しかたないよね」という気分にさせられる。

凡人の私の頭脳には、なかなか難しい話題です…。


ただ、科学的な見識の先にスピリチュアルな雰囲気すら漂い始めていることも、AKIRAファンにはたまらないだろう。


ちなみにケチャ祭りでは、巨大な竹筒を並べたようなバリ島の楽器「ジュゴク」のアンサンブルや、アニメやゲームミュージック等でもお馴染みの、喉の奥から高音の地声を絞り出すようにして歌うブルガリアン女声合唱ジョージア(サカルトベロ)男声合唱、そして呪術的合唱舞踏劇のケチャ、更にバナナの叩き売りの実演やじゃんがら念佛踊り、鹿踊など、盛りだくさんの演目が楽しめる。まさに、世界各国の「祭り」「祭祀」を目の当たりにさせられるかのような夏の午後。


ジュゴクの演奏では、なんとあのAKIRAの楽曲も生で聴くことができる。ファンにとっては感涙モノなのではないだろうか。そして男たちが上半身裸になって車座になり「チャッチャッチャッ」とアップテンポな掛け声を掛け合う中、着飾った演者たちによって演じられる舞踏劇・ケチャは、迫力満点でファンタジックなストーリー展開と神秘的な雰囲気に会場全体がどっぷりと飲み込まれていた。


昨年には芸能山城組によるハイパーハイレゾ・芸能山城組アルバム「交響組曲 AKIRA 2016」が発売されたが、芸能山城組の組頭であり、脳科学者でもある大橋 力氏が発見した“ハイパーソニック・エフェクト”を音楽に活かす音響技術の新手法 である“ハイパーソニック・ウルトラディープエンリッチメント”が施されているというということで話題となった。

ところで、ハイパーソニック・エフェクトってなんなんですか?

ハイパーソニックエフェクトとは「超高周波を伴う音が脳を活性化し心身にポジティブな効果をもたらす」効果のことだそうだ。このケチャ祭りも、組頭の大橋力氏プロデュースの「ハイパーソニック・野外ライブ」であるとのこと。聞けば心身ともに絶好調になる…のかも?


芸能山城組のケチャ祭りは、毎年夏に新宿三井ビルディング55HIROBAにて、無料で開催されているので、今年見逃してしまった方も、来年はぜひ、あの迫力を実際に目の当たりにしてみて欲しい。とにかく濃厚な時間になることは間違いなしで、普通のライブに飽きてしまった方にもオススメだ。家族連れでも楽しく見物できる気軽さもGOOD!