DJが登場するフェスやクラブイベントでは、ほぼ全ての会場がPioneer DJCDJ-2000nexusもしくはCDJ-2000nexus2を2~4台とDJM-900nexusもしくはDJM-900nexus2をDJブースに設置している。この機材環境でプレイするDJが多く、これさえあればDJはUSBとヘッドホンだけでパフォーマンスを行うことができる。



しかし最近、世界を駆け回るEDMアーティストのインスタグラムのストーリーや写真を見ていると、PioneerのCDJとは少し違うものを使っているアーティストがいることがある。特に最近多いのがこの機材。



Pioneer DJのセットアップでも十分に満たしてくれていた中二心をさらにくすぐるようなボタンの数、輝度に目が奪われてしまう。このCDJは有名どころだとTiesto, Oliver Heldens, Laidback Lukeなどがクラブおよびフェスでのセットに使っている。
 

写真を注意深く見ていた方はすでにお気づきだろうが、このCDJはDENON DJというブランドのもの。全て今年発売開始されたもので、CDJは"SC5000 PRIME"でミキサーは"X1800 PRIME"という名前。高いシェア率を誇るPioneer DJに対抗すべく現在は様々なアーティストのサポートを行っている。Tiestoたちもその1人。現在はツアーに持ち歩き、この機材を設置してプレイしている。
 

この"SC 5000 PRIME"とPioneer DJの"CDJ-2000nexus"との決定的な違いは「1台で2チャンネル分の役割を果たす」ということ。CDJ1台につきアウトプットが"A"と"B"の2チャンネル分あり、アウトプットを選択できるため、極端に言えばCDJ1台とミキサーだけでもDJパフォーマンスができてしまうのだ。さらに8個のパッドがジョグの下に配置されており、ホットキューやロールなどが容易にできる。

DENON DJはPioneer DJの機能を研究し、その上の機能性を提示してきたわけだが、Pioneer DJユーザーがキュー設定や楽曲転送に使っているアプリケーション「rekordbox」がDENON DJの機種に対応していないというデメリットがある。DENON DJの機材をフル活用するには「ENGINE PRIME」というソフトを使わなければいけない。「ENGINE PRIME」の仕様は「rekordbox」と差はないが、キューをわざわざ付け直さないといけないのは負担になるだろう。



"SC5000PRIME"と"X1800PRIME"によってDJがハイレベルなパフォーマンスを可能にできるという強みを持っている一方、Pioneer DJの高いシェア率に苦戦している模様のDENON DJ。だが、アーティストへのサポートをきっかけに人気に火がつくかもしれない。

Written by: So-on