「音楽とアートのスパイス(High!)を日常(Life)に」をコンセプトとして、昨年には裏原宿にある薬酒BAR “GATOSANO” を舞台に展開されたアートプロジェクトと、ライヴストリーミングサイト ”DOMMUNE” にて毎月第2火曜日にレギュラープログラムとして展開している「HIGH LIFE」。そして、今年は同コンセプトのもと、五感を刺激する新たなフェスティバル「COCALERO presents HIGH LIFE」が、ゴールデンウィーク後半の一日目である5月3日、大阪の名村造船所跡地にて開催された。

名村造船所跡地とは、クリエイティブセンター大阪(略称:C.C.O)という正式名称を持つ、日本では他に類を見ない、造船所跡地を有効活用した大阪のアート複合スペースである。名村造船所大阪工場が移転した後、休眠状態となっていた広い敷地を、クリエイティブ活動の活性化を目的に設立された。


当日は少し風があったものの、青空に恵まれて日差しが心地良い天候となった。エントランスを抜けると、すぐに "コカレロ" のブースが目に付いた。今回はボタニカルリキュールの "コカレロ" プレゼンツということで、特別ブースが設けられ、コカレロを様々な形で楽しめるようなメニューが用意されていた。


野外フェス「ZIPANG」がキュレーションする "HIGH LIFE FLOOR”では、15時のオープンから19時までHIPHOP色の強いラインナップになっており、ステージのデコレーションとともに会場の雰囲気を盛り上げていた。オープン直後には地元大阪の DJ MaruGreen、続いてブギ丸とでべそが LIVE を披露。そのあと沖縄の新星で人気急上昇中の唾奇(ツバキ)が登場。福岡のビートメイカー OliveOil のライブ、北海道札幌の伝説的ラッパー B.I.G. JOE とライブは続き、B.I.G. JOE のライブ時には 韻踏合組合HIDADDY(ヒダディー)が DJ として登場!そして、B.I.G JOEの熱いライヴの後には、地元大阪出身のブルースギターMC ローホーが登場し会場を更に盛り上げていた。
 
19時からは、メインフロアの "STUDIO PARTITA" がオープン。"STUDIO PARTITA” のオープンを飾ったのは、ヒップホップ・ユニット “FlashBackS” のメンバーで、ラッパー・トラックメイカーの KID FRESINO(DJ)DJ CH.O。徐々に夜の帳が降りてくると、河口に位置している会場は若干冷えてきたものの、KID FRESINO とDJ CH.O のテクノセットが人々を踊らせて、冷えた体を温めてくれた。

20時からは才色兼美なアーティストとして名を馳せる Licaxxx(リカックス)が登場。 彼女がステージに立つと、ファンの女性たちが駆け寄り、しきりに写真を撮るなどしており、彼女の人気っぷりを目にすることができた。Licaxxx のプレイは Pangaea の「Bone Sucka」から始まり、見た目とは裏腹な男勝りのテクノセットを披露した。
 
オーディエンスがだんだんと温まって来たところで、Rainbow Disco Club にも出演し、昨年トランスジェンダーを告白したOcto Octa がライブセットで登場。ハウスのアーティストでありながらテクノやブレイクビーツを取り入れたセットで、Licaxxx と Pendulum の間を取り持つかのような、完璧なバトンの受け渡しが見事だった。
 
23時になり先日活動再開を発表し、約7年ぶりにバンドアルバム『The Reworks(ザ・リワークス)』のリリースを発表したばかりのUKのドラムンベースバンド Pendulum は今回、 メンバーの Paul "El Hornet" Harding(ポール"エル・ホーネット"ハーディング) DJ SET を披露。

セットは Pendulum の曲を中心に構成され、Witchcraft、The Island がプレイされると会場は一気にヒートアップ。Fatboy Slimの「Right Here, Right Now(Friction One in the Jungle Remix)」やRed Hot Chili Peppersの「Otherside(Third Pary Remix)」等、有名曲のリミックスが流れた時には、オーディエンスも一緒に合唱し、一段と激しい盛り上がりを見せていた。



メインステージのオープン後には、昼間のアッパーな空気感とは一転 "HIGH LIGFE FLOOR" では、ART POSITION × HikariAsobiClub with SeiraのライティングショーやKANOYA PROJECTのデコレーションにVJ TONTONとペインター〼meLHenによるヴィジュアルアートショウに併せて、DJ Yu-Ta、ALTZ、DJ AGEISHI らの DJ プレイで、朝までチルな時間を過ごしたい人たちにとっても最高の空間が演出されていた。
 
Pendulum からバトンを受け取ったのは Okadada。Pendulum のドラムンベースセットから打って変わっての テクノ・ハウスセットに。ベテランの風格を見せるプレイで、ドラムンベースで踊り狂ってたフロアが一変、四つ打ちに合わせるように全体がゆらゆらと揺れ続けていた。
 
このあとの Ben SimsJosh Wink のプレイも圧巻だった。シンプルで渋い音ながら、フロアを延々と踊らせ続けるプレイで、低音がカットされる度に歓声が上がった。選曲のセンスも圧倒的で、温かみのある雰囲気と心地良いバイブスで、パーティーの終わりを感じさせないDJが続いた。
 

「音楽とアートのスパイス(High!)を日常(Life)に」をコンセプトとした「COCALERO presents HIGH LIFE」は、GWに日常から解き放たれたいと願う人々を心地良く日常から解放してくれる最高のパーティーとなったのではないだろうか。五感を刺激するオープンマインドなパーティーとして、人々の心に思い出を刻み込んだ同イベント、来年度の開催も楽しみに待ちたいと思う。