メリーランド州出身のTim Sweeneyは1999年よりニューヨーク大学で音楽テクノロジーを専攻し、WNYU FM(ニューヨーク大学が運営するカレッジラジオ)でのレギュラー番 組Beats in Space(www.beatsinspace.net)を設立。ジャンルにとらわれず、ダンスできる音楽に焦点を合わせ、ディスコ、ニューウェー ヴ、シカゴハウス、ミニマル、クラウトロック、ファンク、ソウルまでを縦横無尽に選曲し、卒業後も番組を続けた結果、早15年の長寿番組となり、もはやダンスミュージックのインスティチュートとなった。
オンラインで、いつでもどこでも 好きな音楽が手に入る時代に、毎週火曜日の午後10時30分にニューヨーク周辺にいて、89.1MHzに チューンインしなければ、Timのショーを聞くことはできない。この生放送をライ ブで聞くことが一つの醍醐味であり、それがこの番組を特別にしている理由でもある。全く不思議な時代である。
今では有名な話ではあるが、Timは80年代にヒップホップの サンプリングを駆使し、マッシュアップ、メガミックスという手法を生み出し、今では伝説的な存在となったDouble Dee and SteinskiのSteven Steinと、DFA Recordsの創始者であるJames MurphyとTim Goldsworthyという、巨匠たちに長く師事していた。やがて、DFAの パーティではレギュラーにDJをすることになり、現在では(火曜日以外は)世界中 を常にツアーする人気DJとまでなった。
さらに、自身のレーベル、Beats In Space Recordsを立ち上げ、世界で発掘したアーティストの音楽を世界に紹介している。
すでに長寿ラジオ番組のホスト、 人気クラブDJ、そしてレーベルA&Rと して活躍する彼の目標は今になっても実に控えめである。素晴らしい音楽と出会った時の感動をリスナーと分かち合いたいだけなのだ。そし て、その音楽をきいたものが今度は自らサウンドをクリエイトしTimを感動させ、 それを彼がまたリスナーとシェアする。不思議というか、むしろ全く素晴らしい時代になったものである。