アーティストへのストリーミング使用量の増額を目的とした新たな法案が、米国議会に提出された。
この法案は、ラシダ・トレイブ下院議員とジャマール・ボウマン下院議員が音楽家同名労働者組合(UMAW)と協力して議会に提出した「ミュージシャン生活賃金法」というもので、レコードレーベルやその他の団体を回避し、リスナーのお金をアーティストに直接支払わせる「アーティスト補償ロイヤリティ基金」と呼ばれる新たな支払いシステムの創設が含まれている。


ラシダ・トレイブ下院議員は以下のように述べている。

ストリーミングは音楽業界を変えたが、そのせいで無数のアーティストが生計を立てるのに苦労している。
我々が愛する音楽を作った人たちが、ただ生き残るだけでなく繁栄できるように、正当な分け前を得るのは当然のことだ。

これらの新たな措置のための資金は、同法に基づく2つの財源から捻出される。1つは追加のサブスクリプション料金(4ドル〜10ドルの間と提案されている)と、広告などからのストリーマーの日購読収入の10%カットだ。

ラシダ・トレイブ下院議員とジャマール・ボウマン下院議員、そして UMAW は、ストリーミングプラットフォームがすでにサービスのサブスクリプション料金の値上げを計画していることに注目し、この値上げされた分の料金がミュージシャン自身に支払われることを保証する提案を提出することが重要であると感じているとのことだ。

UMAW のデイモン・クルコウスキー氏は次のような声明を発表している。

業界ではストリーミングを "修正" する方法について多くの議論が行われているが、ストリーミング・プラットフォームとメジャー・レーベルは既に10年以上も発言権を持っており、彼らはミュージシャンを失望させてきた。

「ミュージシャン生活賃金法」は、ストリーミングを少数の人だけではなく多くの人が利用できるようにするためのえ、アーティスト中心の新たなソリューションを提示している。我々はシステムに更に多くの資金を注入することでレコーディングに価値を返す必要があり、アーティストに対して報酬を支払う必要がある。ミュージシャンが自分の作品を直接ストリーミングできるようになるのだ。

この法案が米議会に提出される初期段階において、どの程度の支持を集めるのかはまだ分からない。

英国のレコード音楽業界の貿易協会である British Phonographic Industry(BPI)は最近、英国における音楽消費全体の 87.7% をストリーミングが占めていると報告している。公式年末報告書の一部として発表されたデータによると、昨年1年間の間に英国では1,796億回ストリーミングされており、この数字は2018年から2倍に増加したものであるとのことだ。

更に今年1月、BPI はイギリスのミュージシャンには、新たな規定の下、ストリーミング使用料に関する保護と「透明性」が提供される予定であるとも発表している。

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