マリーザ・デ・アゼヴェード・モンチ( Marisa de Azevedo Monte 、1967年7月1日)は、ブラジルの歌手。リオデジャネイロ出身。その音楽の大部分はモダンなMPBのスタイルである一方、伝統的なサンバやブラジル北東部民謡の楽曲やロックなどジャンルを超越した歌手として知られている。
マリーザの家庭は中流階級でありながら、マリーザの父親がエスコーラ・ジ・サンバ・ポルテーラ(G.R.E.S.Portela)のメンバーで役員だったことから、黒人の下層階級の音楽とされるサンバなど、幼少より多くのブラジル音楽に囲まれて育った。したがって、マリーザはポルテレンセ(ポルテーラの人、あるいはポルテーラ贔屓の人)として知られている。
一方で、マリア・カラスの大ファンだったことから19歳にしてクラシックの声楽の手ほどきを受けるためにイタリアに渡った。今日のマリーザの多様な音楽性はこうした部分に影響されて育ったことによるものである。しかしイタリアで心変わりが生じ、ヴェネツィアのバーやクラブでMPBを歌うようになる。これがミュージシャン・小説家・プロデューサーなど多彩な顔を持つネルソン・モッタの目にとまり、ブラジルEMIと契約。当時はEMIの膨大なアーカイブから音源を選び、何度も頼み込んでカセットテープにコピーをしてもらうなど、自身の音楽性をより深めつつデビューへの準備を整えていった。
1988年3月、サンパウロで開いたショーがセンセーションを呼び、翌1989年にデビュー。このデビューアルバムMarisa Monte (マリーザ・モンチ)は、新人歌手ながらスタジオ録音ではなくテアトロ・ヴィラ・ロボスで開かれたライブ音源だったこと、またその内容がクルト・ヴァイル(Kurt Weill)に加え、アメリカ・ハリウッドで成功したブラジル人歌手でマリーザが敬愛するカルメン・ミランダのサウス・アメリカン・ウェイ(South American Way)、さらにはイタリア人歌手のピーノ・ダニエレ(Pino Daniele)、アメリカのジョージ・ガーシュウィン(George Gershwin)、マーヴィン・ゲイ(Marvin Gaye)やルー・リード(Lou Reed)、またアルナルド・アントゥネス(Arnaldo Antunes)といったアーティストの曲を選曲し収録、多種多様なジャンルとその優れた表現力もさらにセンセーションを呼び、話題となった。
デビューアルバム発売前から前評判が高く、「エリス・ヘジーナ亡きあとのMPB女性歌手」などと称賛されたが、マリーザは「その称賛は嬉しいけど、エリスの20年に対し私は5年というキャリアしかなく、またやっているスタイルが全く違うから、比べられる共通点があるとは思えないわ」などとやんわりと否定している[1]。
1991年、2枚目のアルバ...
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