M.I.A.(エム・アイ・エー)はイギリス出身のタミル系スリランカ人のミュージシャン、美術家、デザイナー。芸名は「Missing In Action(戦闘中行方不明)」の略で、連絡の取れないLTTEのメンバーとして活動中の父に対するメッセージである。
両親が仕事の都合でイングランドに滞在していた頃にロンドンのハウンズローにて生まれ、半年後には両親とともにスリランカに渡る。
11歳になる頃には母とイングランドに移住。そこでパブリック・エナミーなどのヒップホップ、およびダンスホールレゲエといったクラブミュージックに初めて触れる。その後デザイナーを多数輩出している事で有名なセントラル・セント・マーチンズ・カレッジ・オブ・アート・アンド・デザインに入学。在学中にはファインアートと映画を専攻し高い評価を受けていたため、ヴィジュアル・アーティストとして将来有望だった。卒業後、エラスティカのセカンドアルバムのジャケットを製作し、2001年の全米ツアーに映像ディレクターとして同行。その時に前座を務めていたカナダのエレクトロ・ヒップホッパー、ピーチズのステージを見て感動し、音楽の道に進むことを決意する。まったくの自己流で楽曲の制作をはじめ、2003年秋にインディーズレーベルからアナログで「Galang」をリリース。500枚の限定生産だったが、ロンドンのDJ達に人気となり、晴れてXLレコーディングスとの契約にこぎつけ、2004年には「Sunshowers」で正式なデビューを果たす。その後フロリダのDJ、ディプロと共に、ミックステープ「Piracy Funds Terrorism」を2004年冬にリリースする。
2005年のデビュー・アルバム『アルラー』、傑作セカンド『カラ』(2007)、そしてサードアルバム『マヤ』(2010)と、M.I.A.は2000年代後半のダンス/ポップ・ミュージックに計り知れない影響を与え続けてきた。ダンスホール、エレクトロ、ヒップホップ、ダブステップといったサウンドだけのミクスチャーに留まらず、音楽とアート、デザイン、そして社会的アジテーションをここまでアグレッシヴに混沌とさせた表現者は近年他に類を見ないだろう。2013年時点、新作『MATANGI』を制作中。