アメリカの国土安全保障長官のジョン・ケリー氏は先週、アメリカ国内で発着する全ての国際線でラップトップ、タブレット、デジタルカメラなどの電子機器の持ち込みを禁止にする可能性があると明らかにしていた。

この規制は飛行機内でのテロや機内トラブルを防ぐことが目的で、今年3月にトランプ大統領による大統領令で中東や北アフリカに発着する便の電子機器の持ち込みを禁止したことがあった。

この規制が実現すると、スマホ、携帯電話、医療上で必要な電子機器以外の持ち込みが原則禁止になる。この規制で苦しむのが移動の間も書類制作や作業に追われるビジネスマンや、空き時間でダウンロードしておいた映画を楽しもうと思っていた映画ファン、そしてDJたちだ。

レーベルのオーナーであり、DMCの絶対王者の称号を持ち、ツアーで世界中を飛び回るDJ A-TRAKはこの規制に対して、ニューヨークを拠点に置くメディア”Mass Appeal”で苦言を呈していた。

「ラップトップの規制は不便どころでは済まされない。毎日飛行機に乗って移動しなくてはいけない仕事をしている人たちの生活を脅かすことになる。自分もその1人で、いつも2台のラップトップを機内に持ち込んでいる。」
彼にとって飛行機での移動時間は数少ない座って作業できる時間で、DJ用に使うEditや音源の整理になくてはならない時間なのだ。

電子機器を飛行機に持ち込めなくなってラップトップを預けることになる場合、紛失や到着が遅れてしまうなどのトラブルが起こりえることについて触れた上で、DJをするには様々な方法があってフラッシュドライブ、SDカードを使うDJならポケットに入れるだけで持ち運べる。パソコンを持ち歩く必要がなくなるね。(中略)僕もSDカード等を使うだけでセットを披露できるよ。でも、それは人前で最低限のショーができるのであって、テクニカルなDJとはかけ離れた者になるね。
 A-Trakはヴァイナルレコードでのプレイスタイルから、よりテクニカルなパフォーマンスを披露するためにPCソフト「Serato」を使ってプレイするスタイルに切り替えたのだが、自分のためにDJセットを用意してもらわなくてはいけなかったり、野外での熱い環境ではレコードが溶けてしまうなどの問題が多く、USBやSDを使うスタイルのフレキシブルさには勝てないことを吐露している。

EDMアーティストたちにとって飛行機での移動時間は制作に費やす格好の時間で、Afrojackは飛行機での移動で制作をほぼ終えてしまうこともある。電子機器の飛行機への持ち込み規制はDJたちにとっては致命的な状況になるかもしれない。