2018年8月17日(金)、世界同時解禁された実力派歌姫 Ariana Grande(アリアナ・グランデ)による約2年ぶりの最新アルバム「Sweetener(スウィートナー)」のアルバムリリースを記念したプレミアムイベントが東京・渋谷にて開催された。

最新アルバム「Sweetener」はこれまでのポップサウンドをメインに取り入れた楽曲とは異なり、アルバム全体を通し、癒しをもたらすかのような優美なテイストを取り入れた楽曲が多く見受けられる。実はこれはアルバムタイトルが「Sweetener」と名付けられたことに深く関わっているようだ。アメリカの大御所エンターテイメントショー番組「The Tonight Show Starring Jimmy Fallon」内でアルバムタイトルを決めた理由について質問された際に、アリアナはこう答えている。

誰かの人生に光をもたらし、また逆に自分自身の人生に光をもたらされることで、自身や周囲の状況を和らげたいと考えて制作したの
3rdアルバムの Dangerous Woman(デンジャラス・ウーマン)をサポートしたワールドツアーである "Dangerous Woman Tour" のマンチェスター公演にて起こってしまった悲劇的なテロ事件などでの体験も経て "自身の世界が180度ひっくり返るくらい変わった" ともコメントしているアリアナ。

今回のイベントは、そんな経験をした彼女だからこそ創り出すことができた、メッセージ性が非常に強い「Sweetener」の歌詞、またアリアナの歴史に焦点を当てたイベントとなった。


イベントでは、あらゆるジャンルの音楽、スタイル、雰囲気に合わせた DJ を自由自在に披露することで知られるミスター・オープンフォーマット DJ こと TJO、そしてアーティストの枠を超え、プロデューサーやディレクターなどの幅広い分野での活動をしていることでも知られるカワムラユキの2名によるアリアナのこれまでの楽曲を用いたストーリーテリング DJ が行われた。
 

ストーリーテリング DJ とは音楽の歌詞を繋げる DJ のことであるが、メッセージ性に重きを置いた今回のイベントでは、さらに会場内に設置された透過スクリーンに楽曲の歌詞が映し出される演出も加えられた。これは日本初のパフォーマンスであり「Sweetener」のリリースを記念するのにピッタリの演出となった。


パフォーマンス中は DJ ブースの前に設置された透過スクリーンに加え、場内の両壁にも同じようにアニメーション歌詞や映像が映し出され、文字通りアリアナのメッセージが至る所に溢れていた。


no tears left to cry / Ariana Grande

イベントの幕開けは、TJO による新旧曲を含めた全20曲のアップテンポなプレイ。ファンにはお馴染みの「Problem」「Into You」から「no tears left to cry」「the light is coming feat. Nicki Minaj」などの最新アルバムからの楽曲も余すことなく披露された。
全世界でヒットしたメガシングル「Break Free」が披露された際には、スクリーンにはミュージックビデオが映し出され、会場内にはArianators(アリアネータース:アリアナファンの総称)の歓喜の声で埋め尽くされた。今作で特にメッセージ性が強く、カムバックシングルとして日本を含む世界中のチャートを圧巻したシングルである「no tears left to cry」がプレイされた際には、スクリーン上に日本語歌詞が映し出され、アリアナからの勇気づけられるメッセージを今一度深く共有する瞬間となった。



イベントの後半戦では、カワムラユキによるアリアナの声の優美さが目立った楽曲が中心に披露された。会場を包み込む幻想的なオープニングにふさわしい楽曲の「Intro」「God is a woman」や「Dangerous Woman」などの女性の強さを表現したパワー曲らが披露された。



途中、マンチェスターで起きた悲劇的なテロ事件の後に、ファレル・ウィリアムス、ジャスティン・ビーバー、ケイティ・ペリーなどの大物アーティストらが招聘されたアリアナ主催のチャリティーライブイベント「One Love Manchester(ワン・ラブ・マンチェスター)」にてアリアナが披露した「Somewhere Over The Rainbow」がスクリーンにライブ映像を映して披露された。続けて、マンチェスターでの出来事に対し、「もう流す涙なんて残っていない、だから元気を出さなきゃ、最高の気分、生きているって実感、元気になってきたわ」と恐れや憎しみに対して力強く立ち上がる想いを綴った「no tears left to cry」が再び披露され、アリアナの抱く思いや気持ちの変化を直に体感できるセットリストとなっていた。



他にも前作と今作のアルバムの間の期間にアリアナが経験した出来事やモノの見方への変化が、それぞれの楽曲に深いメッセージ性が与えられており、今回の豪華なアルバムリリースイベントは、アリアナのアーティストとしてのキャリアを振り返ると同時に、彼女自身の繊細な心情の変遷を可視化し、振り返り、また新たな発見をすることができた特別な一夜となったのではないだろうか。"強い気持ちを持って生きること" や "自分らしくいることの大切さ" を強く訴えたアリアナの想いが素晴らしい形で日本のファンに届けられ、本人もきっと喜んでいることだろう。

the light is coming / Ariana Grande feat. Nicki Minaj
 
God is a woman / Ariana Grande

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