2020年1月月12日のソウル公演を皮切りに、22日までアジアツアーを行なっていた Bon Iver(ボン・イヴェール)。日本には4年ぶりに来日し、Zepp Tokyo にて2日間に渡って公演が開催されたが、両日共にソールドアウトとなった。筆者が参加したツアー最終日の1月22日、会場は老若男女幅広い年齢層のファンで埋め尽くされており、二階の立ち見が急遽解放されたほどの大盛況となっていた。


開演時間の19時を少し過ぎ、Bon Iver がステージに登場。全員が位置につくのと同時に演奏がスタートした。ニューアルバム『i,i』の曲順をなぞるように「Yi」「iMi」「We」「Holyfields,」を披露。音源を忠実に再現することすら難しそうなアンサンブルも、しっかりライブパフォーマンスで披露してくるあたりはさすがである。曲が始まるたびにオーディエンスからの熱い歓声が上がり、ステージ上ではバンドの中心人物 Justin Vernon(ジャスティン・ヴァーノン)が曲中に感情とともに叫ぶ姿も多く見られた。
 


今回はニューアルバム『I,i』の楽曲を中心にしながらも、全てのアルバムからいくつかの楽曲が演奏され、映画『WISH I WAS HERE / 僕らのいる場所』のために書き下ろされた「Heavenly Father」、アルバム『22, A Million』から「666」「715 - CREEKS」が演奏された。
MC はほぼなく、とにかく立て続けに楽曲を披露していく Bon Iver。ニューアルバムからの3曲が披露され、グラミー賞を受賞したセカンドアルバムからは「Tower」が演奏されたが、音源とは別のメロディーを奏で、同じ曲でもまた違った顔を見せてくれるところも彼らの醍醐味の一つだろう。


唯一の EP『Blood Bank』からも表題曲を披露、中盤に差し掛かった辺りからはさらに名曲で畳み掛ける。「Hey, Ma」「Perth」「Salem」「Holocene」「33 “GOD”」「Sh’Diah」「Naeem」「RABi」と新旧の楽曲を織り交ぜ、音楽と連動したライティングとコーラスワークがエモーショナルな演奏をさらにブーストさせる。終盤には更にその演奏が作り出す世界観に圧倒され、立ちすくむばかりだった。


アンコールでは前日21日の公演では演奏されなかった「Flume」「Creature Fear」「22(OVER S  N)」をプレイ、特徴的なヴォーカルの処理、コーラスワーク、そして丁寧な音の構築、アンサンブルに彼らのアイデンティティーをしっかりと感じさせてくれるライブだった。
アメリカでのライブと比較すると少し演出が寂しかったが、すべての瞬間が完璧で、とてつもなく複雑で美しいパフォーマンスを見せてくれた Bon Iver。次回はフェスなど、野外での公演を期待したい。

Written by ごやん
Photo by Naoki Yamashita