3月25日にリリースされたメディアおよびテクノロジー分析会社の MIDiA が、Tunecore とその親会社であるデジタルミュージック企業 Believe と共同で行った新たな調査「Be The Change: Women Making Music In 2021」によると、女性の音楽クリエイターの約3分の2が、セクハラや客体化(モノとして扱われること)を主要な問題としているとのことだ。
「Be The Change: Women Making Music In 2021」は、世界中の401人の女性音楽クリエイターを対象として音楽業界における女性への過小評価を調査研究したものである。

​今月初め、The USC Annenberg Inclusion Initiative は「過去9年間に音楽業界における女性差別において、大きな改善はなかった」と結論付けた調査結果を発表した。それによると「過去9年間の Billboard Hot 100 年末チャートにおいて、女性が占める割合は全アーティストの21.6%で、2020年のチャートは20.2%に過ぎなかった」とのことだ。

「Be The Change: Women Making Music In 2021」の調査結果で浮き彫りになったことの一つとして「音楽業界では、性別による期待が認識と報酬を歪めている」というものが挙げられる。
調査対象の女性の81%が、男性アーティストよりも女性アーティストの方が認知度をあげるのが難しいと考えているとのことで、更に女性クリエイターの約3分の2が、セクハラや客体化を主要な問題として認識している。

この「性の対象として見られること」「モノとして扱われること」は年齢差別とも関連しており、不均衡なパワーバランスを作り出す要因となっている、と調査対象の女性の38%が報告しており、「男性優位の業界で女性がなかなか入り込めないと感じている」36%、「低賃金」27%も挙げられている。

更に、性的平等について努力しているふりをする「体裁主義」や「女性アーティスト間に競争があるという話の捏造」「リップサービス」の問題に関しても音楽業界に身を置く女性が直面する重要な問題として挙げられている。

これらの課題は「業界全体に浸透する男性優位な態度や行動に関するより深い問題の兆候」であると結論付けられており、回答者の90%以上が「音楽キャリアの中でに無意識の偏見を経験した」と報告しているとのことだ。

更に、調査対象の女性の84%は「女性が依然として子育ての義務の主要な役割を果たすことを期待されており、音楽業界は若い女性アーティストを優先している」と報告している。これは「部分的には業界が若者に執着する兆候だが、女性が母親としての役割を担うであろう前に成功するためでもある」とのことだ。

これらの問題の解決方法に関して、回答者は「組織内と、多様性、ポリシー、文化を通じた音楽業界全体のリーダーから」の変化を望んでいると述べ、42%が「それがより多くの女性を音楽業界に呼び込むための最良の方法の一つ」であると述べている。

女性の音楽クリエイターの38%は「これらの変化が法律の結果としてもたらされること」を望んでおり、35%は「変化を生み出す効果的な方法は、女性が他の女性と協力するメンターシッププログラムを介することである」と述べている。

シンガーソングライターの Imogen Heap は、この研究の紹介で以下のように述べている。

このような報告が不要になるまでは、まだ長い道のりが必要です。
業界には、様々なバックグラウンドを持ち、依然として少数派であり続ける、非常に才能のある人々がたくさんいます。