DISCOVER によると、10代の頃に聴いていた音楽は、人生で最も記憶に残るそうだ。それは過去の記憶を蘇らせる「音楽の力」なのかもしれないとしている。

先週、アメリカの大人気シンガー Taylor Swift (テイラー・スウィフト)が、過去のアルバム曲の再収録をしリリースした。10年以上前の曲を再リリースしたことにより、多くの人々に10年以上前の記憶を蘇らせた。Taylor Swift のファンはこのリリースにより、抱えきれないほどの懐かしさを感じさせ、当時聴いていた頃の記憶を呼び起こさせた。誰しも経験があることだろうが、若い頃に聴いていた「音楽」を聴くと、自然とその時の状況や感情が蘇ってくることだろう。
 

子どもの頃の記憶は忘れやすく、10〜30歳の記憶は思い出しやすい

中年からそれ以上の人は、10歳から30歳の時に経験した個人的な記憶を手繰り寄せる傾向があるそうだ。心理学者はこれを「レミニセンス・バンプ(自伝的記憶)」と呼び、それは、重要な記憶を人格形成期から思い出す能力だそうだ。人には特定の年齢になる前(10歳以下)の記憶をよく思い出すことができないという現象がある。これが人格形成期である10歳からそれ以降の記憶を思い出せる1つの理由なのかもしれないとのことだ。

2014年に発表された幼児期健忘に関する研究では「子どもは非常に忘れっぽく、その結果、幼い頃の記憶はどんどん減っていく」と発表された。また「子供が成長し成熟するにつれ、記憶する能力が大人と同レベルの発達をし始める」そうだ。

そのため、記憶力が1番高いとされる10代に聴いた音楽が、1番思い出しやすく大きな意味を持つのではないかとのことだ。更に2008年の研究結果では、「10代の頃に聴いていた音楽を聴いたり、音楽について話したりするだけで、過去に起きたことについてを(脳裏に)呼び起こさせることがある」そうだ。

10代の頃に聴いていた曲が個性を形成する可能性は……?

音楽」と「人格形成期」の繋がりはとても深いと DISCOVER は伝えている。ミネソタ大学医学部・神経科学者である Sarah Heilbronner(サラ・ハイルブロンナー)は以下のように述べている。

脳は何回か敏感な時期を経験します。その時期はとても感受性が強く、また変化しやすくなっています。最も知られている敏感な時期は、乳児期と幼少期です。また人が成長するにつれ敏感な時期、例えば思春期などが訪れます。脳の成熟過程でこのような敏感な時期の記憶を辿ることができるのです。この「敏感な時期の記憶」と「レミニセンス・バンプ(自伝的記憶)」には大きな繋がりがある可能性があります。

更に、思春期は社会的認知や意欲など人格形成に関連することが多いとても敏感な時期であり「レミニセンス・バンプ(自伝的記憶)」が「性格 / 個性」と結びついていても何ら驚くことではないそうだ。そのため、10代の頃に聴いていた音楽が個性を形成するのではないかと繋げて考えることはもっともらしい意見ではあるが、しかし現時点では非常に推測的であるとコメントしている。