DJ/音楽プロデューサーの一番の悩みは「音楽だけで食っていけない」ということではないだろうか。
もちろん、一部の音楽プロデューサーは問題なく食べていけるどころか、平均的な収入よりはるかに高額な収入を得ていることだろう。しかし、それは現実問題としてほんのわずかなプロデューサーのみで、その他大勢のDJ/プロデューサーたちは、結局のところ兼業で生きていくしかない状態であることが多い。

アメリカの DJ/Producer の Party Thieves は、Spotify のストリーミング数だけでカウントしても、人気のあるトップ10の曲のストリーミング数がトータル1550万を超えているが、Spotify の1ストリーミングあたりの報酬は平均で約0.004ドルであるため、例えきちんと自身の音楽をマーケティングできていたとしても、ロイヤルティのみで生活するのは難しいものがあるという。
 

そんな彼は、しかし Spotify で金を稼ぐための収入源を見つけたそうだ。そして、毎月の音楽使用料よりもはるかに多い稼ぎをそこから叩き出したという。それは "株" だ。

今月、Party Thieves は Spotify が彼の音楽キャリア全体を通して彼に支払ったロイヤルティの金額よりも多くを、Spotify の株の空売りによって稼いだとのことだ。Party Thieves は「これは僕の新たなキャリアのようだ」と述べている。

Party Thieves は EDM.com に対して以下のように語っている。

アーティストがストリーミングサービスによってほとんど報酬を得られないことは周知の事実だ。これを不満として読んだ人々ーでも、そうじゃないんだ。おそらくこれは解決策なんだ。

音楽のキャリアで得たあらゆる機会にとても感謝しているよ。お金は原動力ではない。しかし、何が起こっているのかを文脈化すると、音楽アーティストは音楽を作る以外のことをするために、それ以上の報酬を受け取っていない。だから僕の提案は、投資だ。

2021年11月1日、Spotify の株価は1株あたり300.95ドルで終了した。それ以来、現時点でシェアは42%下落している。原因は、Spotify が将来の加入者の増加傾向について期待外れの予測を出したためだが、それによって Spotify の株式は、直近52週間安値を記録している。

もちろん、Party Thieves は株式投資の才能に恵まれていた、ということもあるだろうが、どこにいてもできる "投資" というお金の稼ぎ方は、もしかすると音楽プロデューサーにとって一つの生きる糧を得るための道となるかもしれない。ただし、投資のためにはある程度の資本も必要ではあるが……。