国が変われば常識も宗教も変わるものだが、中には日本人の我々からするとあまりにも信じられない事件が世界のどこかでは起きているものだ。

先週水曜日、とある女性が自分自身で頭に釘を打ち、爪をペンチ代わりにしてそれを引き抜こうとしたが失敗したとして、ペシャワール北西部の都市にある病院に運び込まれたという。
そこで女性の診察をしたハイダー・カーン医師は「彼女は完全に意識があったものの、大きな苦痛の中にあった」と述べている。医師が女性のレントゲン写真を撮影したところ、女性の額の上部に5cmの釘が突き刺さっていたとのことだ。しかし、幸運にも釘は彼女の脳には当たっていなかった。
カーン博士はまた、ハンマーまたはその代わりとなるような重い物体によってその釘が額に打ちつけられたと説明している。
この頭部に釘が刺さった女性は、三人の娘の母親であるとのことで、現在別の女児を妊娠していた。

頭に釘を打てば男の子が生まれる……? パキスタンのヤバい "信仰治療" 

女性は当初、"信仰治療者" つまり呪術医のアドバイスに従い、自分自身で頭に釘を打ち込んだと病院のスタッフに話していた。しかし、後に「呪術医がその行為を行った」と告白したため、ペシャワール警察はこの呪術医を現在指名手配し捜索中であるとのことだ。

この信仰治療者や呪術医、ヒーラーと呼ばれるような職業は、現代医療のように薬物や医療器具などを必ず用いるわけではなく、信仰の力で治療行為を行う施術者のこと。撫でたり触ったりといった施術から、聖水等を用いるような施術も行われる。

このような奇妙な信仰治療は「スーフィズム(イスラム神秘主義)」の伝承に根ざしたもので、イスラム教学校等多くの人々から否定されているにもかかわらず、今だにパキスタン全土で一般的なものであるとのことだ。

また、南アジアでは、息子は娘よりも親にとって経済的安定を提供すると広く信じられているため、女児ではなく男児を望む親や親戚も多く、度々それが原因となる凄惨な事件も起きている。

頭に釘を打つことにより、胎内の子どもの性別が男になるというのは、日本人の我々からすればあまりにも突拍子のない与太話としか思えないが……こういったニュースを見ると、世界の広さを改めて認識させられるのではないだろうか。