過去に他の女性アーティストへの性的暴行や、ゲイのアーティストへの同性愛嫌悪発言・暴力事件等でフェスをキャンセルされたりと、何かと問題が囁かれるラップレイヴグループ Die Antwoord(ダイ・アントワード)が、彼らの MV にも登場する養子である息子に対する児童虐待と搾取に関して起訴されており、南アフリカ・ハウテン州警察の電子犯罪調査課が、これら虐待や犯罪に関する調査を開始したとNews24 が伝えている。

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2010年、南アフリカ・ヨハネスブルグ・フレーデドープ近郊の白人貧困層の "Zef(ゼフ)" ライフスタイルとカルチャー、ケープフラッツの南アフリカで最も恐れられる刑務所ギャングを発端とするギャンググループ "ナンバーズギャング" を模倣したブランディングで大ヒットし、世界の音楽シーンに台頭した、ケープタウン出身のラップグループ、Die Antwoord。
 

彼らは、現在20歳となった Gabriel "Tokkie" du Preez(ガブリエル・トッキー・デュ・プレズ)さんが、まだ9歳だった2010年に、学校への道を歩いている途中の Tokkie さんに目をつけ、貧困の中にあった Tokkie さんの母親と養育契約を結んだとのことだ。そして Tokkie さんは、当時2歳だった彼の妹と共に、Die Antwoord のメンバーである Ninja(ニンジャ) Yolandi Visser(ヨーランディ・ヴィザー)の養子となった。なお、Die Antword はヨハネスブルグの別の貧しい家族の12歳の息子に対しても養育契約を結んで資金援助しており、更に Ninja と Yolandi の間には一人の実子である娘がいる。

▼幼少時の Tokkie さん

Tokkie さんは「DntTakeme4apoes​」「I Fink U Freeky」「Ugly Boy」といったトラックのミュージックビデオやショーに出演しており、過去10年間に渡って他の養子たちと Die Antwoord  の二人の娘と共に、ケープタウンとヨハネスブルグにある家で暮らしていたが、実の家族が亡くなったため南アフリカに戻ったと言う。

Die Antwoord の二人は、彼らの成功のために彼らのものとは違う南アフリカの文化を盗用したとして非難を受けていたが、養子だった立場の人間の口から児童搾取・虐待的な話が語られるのはこれが初めてであるとのことだ。
 

MV に出演させるために貧しく疾患のある少年を養子にした?

Tokkie さんは、元映画製作者でアーティスト/フォトグラファーの Ben Jay Crossman 氏が YouTube で公開したインタビュー映像にて以下のように語っている。

彼らは私を奴隷のように扱った。彼らは私を奴隷として採用した。彼らは私が本当に愛されていないと感じさせた。

なお、Ben Jay Crossman 氏は、Die Antwoord と仕事をする機会があり、その際に彼が過去に撮影したフレーデドープの写真を Die Antwoord に見せたところ、その中にあった Tokkie さんの写真を見て興味を持った Die Antwoord が「I Fink U Freeky」の MV で Tokkie さんを使おうとして、同 MV 監督の Roger Ballen と共に Tokkie さんを探しに行ったと語っている。
 

Tokkie さんは毛髪、歯牙、爪、汗腺の形成不全を特徴とする遺伝性疾患である「低汗性外胚葉異形成症」を患っているが、そんな彼に対し、Die Antwoord  の二人は「彼らは自分を悪魔だと信じさせた」という。

Tokkie さんはその疾患のせいで、汗をかくことができなかったため体は常に水分を水で潤す必要があったため、Die Antwoord  の二人の家の庭にプールがあったことは自分にとて良かった、と述べている。しかし、養子契約を結んで最初の数週間が過ぎると、Die Antwoord の二人は貧しさを理由に Tokkie さんの家族を貶し、Tokkie さんに契約させるビデオを録画することを強制した直後から状況が変わったとのことだ。

彼らは、私に更に誓わせ、私が地獄で人々を燃やすことができ、私が地獄の王であると信じさせた。彼らは私が世界に闇をもたらすすことができると私に言った。

Ninja と Yolandi は、Tokkie さんと彼の妹を診療所に連れて行き、儀式用と思われる血を採血した。Tokkie さんは、Ninja が小さなボトルの血を運んでいるのを見たと言う。

Die Antwoord の二人は、養子縁組契約をする際に、彼らが Tokkie さんと共に過ごすことやきちんと面倒を見るという内容に合意しているにも関わらず、一緒にいることはほとんどなく、常にツアー等に出ており、養育を放棄されていたとのことだ。

Tokkie さんは、ヨハネスブルグの自宅で、自身の兄をナイフで刺した。それを Ninja と Yolandi は Tokkie さんは褒め称え、2019年リリースの「DntTakeme4apoes」の MV では、Tokkie さんたちを使って実際にそのシーンを再現させたという。
 

また、二人は Tokkie さんに対して性的虐待も行っており、11歳の Tokkie さんに対し、Ninja はガールフレンドから携帯電話に送られてきたポルノビデオを見せてきたり、Tokkie さんが13歳の時には、裸で酔っ払った Yolandi が、自宅のパーティールームに彼を呼びつけ、Tokkie さんの前で SEX 人形のように足を開いて横たわり、吐瀉物だらけの部屋で一緒に時間を過ごすようにと要求してきたとのことだ。育ての母親のそうした言動に、Tokkie さんは最悪で非常に不安な気分になったと述べている。

Tokkie さんは、同じく養子となっている自分の妹の身の安全が心配になり、Die Antwoord の二人から妹を守りたいと考えた。
Tokkie さんの妹は現在14歳だが、養育者である Ninja と Yolandi と会うことを拒否しているという。Ninja は最近まで、ケープタウンの自宅で彼らを訪ねてきた Tokkie さんの妹に、彼らの前で服を脱いで裸になるように指示したり、他の裸の大人と一緒にサウナに入るように勧めたとのことだ。

なぜ Ninja は私の妹の裸を見たいのですか? 彼女はとても幼いです。それはかなり奇妙ですし、Ninja が私の妹と一緒にいたいというのは変態的な雰囲気のように感じられます。彼が我々家族に電話をするたびに、彼らは私の妹が妊娠しているかどうかを尋ねます。私がいる限りはそんなことはさせません。

Tokkie さんは、9年生になるまで在宅教育を受けたが、その後脱落し、本質的に Die Antwoord の使用人のような立場になったとのことだ。

Tokkie さんは他の子どもたちと一緒にケープタウンの家に滞在することは許可されておらず、Die Antwoord の二人はケープタウンの南20キロの場所にあるハウトベイに部屋を借り、そこに Tokkie さんを住まわせた。Tokkie さんは子どもたちを学校に連れていくために朝5時に目を覚まし、6時までに二人の家に行かなければならず、他にも運転手がいたにも関わらず、Die Antwoord の二人はほとんどの運転や仕事を Tokkie さんにさせていたという。なお、当時彼はまだ未成年で、運転免許も持っていなかった。

Tokkie さんは幼い頃 にDie Antwoord の二人に出会ってしまったことを後悔しているとのことで、もし二人の養子になっていなければ、2015年に癌で亡くなった実母ともっと幸せな時間を過ごせたのではないか、と悔いているとのことだ。

しかし、これらの未成年者に対する性的虐待や精神的・身体的虐待に関する Tokkie さんや Ben Jay Crossman 氏の告発、当記事を掲載した News24 に対し、Die Antwoord はその内容を否定しており、SNS には 「Ben Jay Crossman 氏は Die Antwoord のツアーカメラマンをクビになった過去を恨んで Die Antworrd をストーキングしており、彼らは Die Antwoord を陥れようとしている。彼らが支援を募っているのは Tokkie さんは薬物を購入するため、 Ben Jay Crossman 氏は失業しているので生活費を工面するためである」主張を綴っている。