かつて ye こと Kanye West(カニエ・ウェスト)は、音楽シーンに目を見張るような功績を刻み、一世一代のアーティストとして崇められていた。「Jesus Walks」「Gold Digger」等の大ヒットの一方で「ジョージ・ブッシュ(元大統領)は黒人を気にしていない」と宣言した伝説的な瞬間など、公の場で突然の "正直な発言" をすることでも注目を集め、それが更に彼のカリスマ性を高めていたことは間違いないだろう。

しかし Kanye West は今、2024年の2度目の大統領選出馬に向けて、極右の理想主義に更に凝り固まり、"白人至上主義者" と言われているニック・フエンテスや、過激発言で知られるアメリカの保守派政治コメンテーターのタッカー・カールソンといった極端な人物と連んでいることが報じられており、まるで別の並行世界の出来事であるかのように感じている人もいることだろう。

更に Kanye West は最近、反ユダヤ的な発言をしたとしてソーシャルメディア禁止令を受けたものの、 Twitter に短期間復帰した際にもその発言を止めず、アメリカの極右陰謀論者 AlexJones による陰謀論やフェイクニュース満載のサイト「Alex Jone’s InfoWars」に出演した際にはヒトラーの行動を擁護。

これらの一連の発言により、既にビジネスパートナーやファンを大きく失っている Kanye だが、それを後押しするかのように、現在彼の音楽をストリーミング・サービスから削除するように求める嘆願書への署名活動が展開されており、これが Kanye にとって経済的に大きな打撃を与えることになるのではないかと見られている。

この署名活動には、既に5万人以上の署名が集まっているとのことだが、この嘆願書の作成者である Nathan Goergen 氏は、その使命を目的を以下のように述べている。

Kanye West は最近、ヒトラーを称賛し、ホロコーストを否定する発言をし、1ヶ月以上に渡って有害な反ユダヤ主義的発言を続けてきた。

我々の社会には、そのような憎しみを広める人々が、その作品から何百万ドルも稼ぐような場所はない。私が Apple Music、Spotify、Amazon Music、その他ストリーミング・プラットフォームに対し、Kanye West の全てのソロアルバムとシングルを直ちに削除することを求める。


果たして今後、Kanye West の音楽シーンでの、そしてアメリカ社会での立ち位置はどのように変わっていくのだろうか……。長年の彼のファンは、非常に複雑な思いを抱えていることだろう。