CNN の報道によると、スペインの科学者たちが、青銅器時代にヨーロッパに住んでいた人々が、向精神薬を使用していたことを示す証拠を発見したのことだ。これは、サイエンティフィック・リポーツ誌にて発表された。

この向精神薬の成分は、植物由来の「アルカロイド」という成分で、鎮痛・鎮静、麻酔、興奮、麻痺、幻覚、多幸感といった症状を誘発することで知られるもの。科学分析の結果、そのアルカロイドの痕跡が、約3000年前の人間の毛髪の房から検出され、他にも興奮剤であるエフェドリン、胃腸管の運動抑制、心拍数の増大などの作用があるアトロピン、胃炎や下痢、胆管炎、胆石などによる腹痛に用いられるスコポラミンも検出されたが、アトロピン、スコポラミンは精神活性化合物で、時間の感覚が狂ったり、幻覚を見たりという症状をもたらすとのことだ。この毛髪は赤く染められており、櫛でとかされて切られており、筒で保管されていた。

https://edition.cnn.com/2023/04/10/world/ancient-drug-use-hair-europe-scn/index.html
ASOME-Universitat Autònoma de Barcelona
これらの物質は、メノルカ島に存在する植物の、シロバナヨウシュチョウセンアサガオ、ヒヨスアルブス、マンドレイク、ジョイントパインから作られたものであるとのことだ。

https://edition.cnn.com/2023/04/10/world/ancient-drug-use-hair-europe-scn/index.html
Peter Witte/ASOME-Universitat Autònoma de Barcelona


この毛髪は、この人物の葬儀用の遺物と一緒に、スペイン東部の地中海に位置するバレアレス諸島の中のメノルカ島にある、埋葬のために使用されていた洞窟内にて発見された。

この洞窟は1995年に発見され、洞窟の入り口は崖から約25メートル下にあり、7つのフロアに分かれていて、紀元前1400年〜紀元前800年まで葬儀に使用されていたと見られており、洞窟内部からは200人以上の成人と子どもの男女が共に埋葬されていた。

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ASOME-Universitat Autònoma de Barcelona

毛髪は筒に入った状態で発見されており、紀元前800年以降は閉ざされていた場所で、また、これらの成分は毛髪の人物が死亡する一年以上前から摂取されたものであり、摂取後に毛髪に吸収されたものであるとのことだ。

科学者たちは、これらの薬剤が太古の儀式に取り入れられてた可能性があるとしており、また髪がカットされて筒に保管されているという状況から、宗教的に特別な地位にあった人物ではないかと見られている。