先日、洗練されたソングライティングスキルとポップ、ダンス、R&B などジャンルを超えた多彩なサウンドを操る AFSHEEN(アフシーン)の新曲「No Muse」がリリースされ、更にリリック・ビデオも公開された。
 

関連記事
>>マドンナら数々のトップスターへの楽曲提供/プロデュースで知られるAFSHEEN (アフシーン) 、ドラムンベースサウンドに日本人シンガー "春ねむり" をフィーチャーした「No Muse」をリリース

>>LAを拠点とするプロデューサーAFSHEEN (アフシーン) が春ねむりをフィーチャーした話題沸騰中の最新曲「No Muse」リリック・ビデオが公開


AFSHEEN は、Madonna(マドンナ)、Janet Jackson(ジャネット・ジャクソン)、Selena Gomez(セレーナ・ゴメス)、Sia(シーア)、Rita Ora(リタ・オラ)、Chris Brown(クリス・ブラウン)、KYGO(カイゴ)、Sabrina Carpenter(サブリナ・カーペンター)といった世界的スーパースター、更には K-POP、チャイニーズ・ポップ等、枚挙にいとまがない程の数のトップアーティストたちのプロデュースや楽曲提供で知られている。



過去には日本人アーティストの倖田來未のプロデュースも担当した AFSHEEN  が、今回この「No Muse」でフィーチャーしたのは、日本人シンガー・ソングライターの春ねむり。音楽通から絶大な信頼を寄せられるアメリカの音楽メディア・Pitchfork(ピッチフォーク)を筆頭に、世界の様々なメディアから高い評価を得ているアーティストだ。2023年9月29日には、最新 EP『INSAINT』をリリース、10月にはアイルランドのダブリンを皮切りに、ヨーロッパツアーもスタートする。

そんな今現在最も注目すべき二人のアーティストに、iFLYER がインタビュー! 制作時のエピソードや、この曲の背景にあるストーリーなどを二人に尋ねてみた。
 

■ Interview with AFSHEEN

Q1. AFSHEEN さんは今回が自身初のデュエットとなったとのことですが、どういった点から春ねむりさんとデュエットしてみようと思ったのでしょうか?

HARU(春ねむり)のボーカルが入った「No Muse」のデモを受け取ったとき、サビのメロディと歌詞が浮かんできて、自分の心に近い曲だから自分で歌うのが自然だと思ったんだ。
HARU のほとんどの曲の歌詞は、女性についてや、女性が社会でどんおように扱われているのかについての社会的な風刺となっている。だから、イランの女性がイランでどのように扱われているのかについて、僕の社会的な批判から生まれた曲でコラボするのは正しいことだと感じたんだ。


Q2. 春ねむりさんとの曲作りに関して、新しい曲を一から作ることにしたとのことですが、言葉が通じないアーティスト同士で曲を作る際に大変だったことや、印象深かい出来事などはありましたか?

もちろん、言葉が通じないのは大変なことだけど、HARU との共同作業は全く問題がなかった。一番印象的だったのは、僕のコーラスと HARU の歌がマッチしていたので、僕が彼女の書いた歌詞を理解していると思った、と HARU が言ったときだね。僕は、理解はできていないけど、彼女が歌っていることは本当に感じることができたから、その歌詞を書いたんだと伝えた。音楽は僕らの世界共通言語であり、歌詞を理解しているのかどうかに関係なく、僕らに感じさせてくれるんだ。

Q3. 春ねむりさんと初対面して LA のスタジオでレコーディングした際に、彼女が何を言っているのか分からなかったにも関わらず、彼女がこの「No Muse」という曲を聴いて何かを歌ったのを聴いて、彼女がこの曲を理解していると感じられたと Instagram のポストで語っていますが、その理由を教えてください。

HARU NEMURI の音楽は一般的にハイエナジーでヘヴィなので、ドラムンベースのグルーヴを使って彼女と一緒に曲を作るというアイディアを思いついた。ドラムンベースは(BPM が)速くてアップビートな点が特徴だから、このアイディアは HARU の背中を押すし、彼女のソフトな面を引き出せるかもしれないと思ったんだ。HARU と ZOOM で繋がって、彼女にこのビートを聴かせた際に、彼女はすぐに「No Muse」という曲を作ろうと提案してくれた。彼女からデモが送られてきて、初めてそれを聴いたとき、自然と僕の中から「No Muse」のコーラスが出てきたんだ。
 

Q4. 今回、そして過去にリリースされた「God is Woman」に関しても「Woman Life Freedom」のムーブメントからの影響を大きく受けた作品であるようですが、中東から遠く離れた日本のアーティストを起用しようと思った決め手は? 他にも世界中の様々なアーティストとコラボされてきていますが、コラボ相手を決定する際の基準があれば教えてください。

イランの文化において、詩は僕らの歴史の大きな部分を占めている。HARU の音楽を聴き、YouTube で彼女のビデオを観たとき、僕は即座に彼女のファンにんなった。
彼女自身が詩人であり、自身の全てを音楽とパフォーマンスに注いでいる。人種や文化的背景は関係なく、彼女は「Woman Life Freedom」のムーブメントのレンズを通して曲を書くのにふさわしいアーティストだと思ったんだ。特に HARU の歌詞はこの曲に出会った全ての女性の心に響くものだと思うよ。
 
Q5. マドンナ、ジャネット・ジャクソン、セレーナ・ゴメスと、数々のアーティストをプロデュースされてきた AFSHEEN さんは、当メディアでも人気の高い KYGO(カイゴ)主催のフェス「Palm Tree Music Festival」へも出演されていますね。
当メディアの読者の中には、ダンスミュージックへの興味が高い人が多いのですが、最近のダンスミュージックシーンの流行や、今後 AFSHEEN さんが自身の音楽の中に取り入れていきたいジャンル、 POP MUSIC や AFSHEEN さんの故郷であるイランの音楽等との相性などについての考えを教えていただけますか?


僕は、EDM をジャンルとしてではなく、プロデューサーや DJ が自由に実験し、シーンの境界線を押し広げ続けることができるプラットフォームのように捉えているよ。僕は DJ/プロデューサーとしてスタートし、その後、曲作りに深く関わるようになった。 AFSHEEN 名義でリリースしてきたトラックは、基本的に繊細に作り込んだ曲だ。素晴らしい曲はさまざまな方法でプロデュースできると信じているから、プロダクションはその後になる。僕の音楽は、EDM、ヒップホップ、ロック、R&B、そしてそれらの中間にあるもの等、僕が子どもの頃や10代の頃に触れてきた全ての音楽から大きな影響を受けている。AFSHEEN  は、僕が触れてきたあらゆる音楽の完璧なモザイクだと思う。最新アルバムの『SMALL WOELD』では、これらの影響を全て取り込んで、世界のサウンドとグルーヴとを組み合わせている。『SMALL WORLD』のほとんどの曲には、ペルシャの "ネイ" という5000年前の古代のフルートのような楽器を使っている。文化やジャンルを融合させ、一つにすることが AFSHEEN の全てなんだ。

Q6. 最後に、日本のリスナーに向けて、何かコメントをいただけますか?

日本のファンの皆さん、そしてこの美しい国で僕の音楽を応援してくれている全ての人に愛を送るよ。AFSHEEN は、食べ物、アニメ、芸術まで、日本文化のファンであり、友人でもある。ライブを通して、日本の皆さんに『SMALL WORLD』を届け、直接繋がれることを楽しみにしているよ。
   

■ Interview with 春ねむり

Q1.今回、まず初めに春ねむりさんとAFSHEEN さんがコンタクトを取られた経緯やきっかけを教えてください。
 
チームのスタッフが春ねむりとは別件で AFSHEEN と知り合い、AFSHEEN に春ねむりのことを紹介してくれて、機会があれば一緒に何か作ろうと話してくれたのがきっかけですね。

Q2.「Woman Life Freedom」のムーブメントに関して、遠く離れた中東を中心としたこの抗議活動 は、日本ではあまり大きく報道されておらず、詳細を知っている人も多くはないと思いますが、春ねむりさんはそれまでにご存じだったのでしょうか? また、最初にこのトピックについて知った際に、どのように感じられましたか?

2022年にイランでマフサ・アミニさんという22歳の女性がヒジャブの付け方に問題があるとして警察に連行された後急死した事件を受けて起こった抗議運動をきっかけに「Woman Life Freedom」のムーブメントを初めて知りました。国家にせよ宗教にせよ組織にせよ、誰かや何かを属性によって区別し抑圧・搾取することによって成立するシステムはクソだといつも思っているので、同様に感じました。


Q3.春ねむりさんはこれまでに、日本以外でもタイや台湾のフェス​やアジアツアー、ヨーロッパ&北米ツ アー、SXSW 等に出演されており、国内外共にパフォーマンスの場をどんどん広げていますが、海外での活動で感じたこと、インスピレーションを得たことなどがあれば教えてください。

海外では比較的、観客の方々が「自分が主役」という意識でライブに来ることが多く、「能動的にライブを楽しむ」というモチベーションを持たれている方が多いので、盛り上げることに重きを置くのではなく、表現することを疎かにしないようにしようと最近は考えています。
 
Q4. ポエトリーラッパー/トラックメイカーとのことで、トラックメイクのセンスやスキルはもちろんな のですが、言葉を操りそこに感情や情景を乗せていくことに長けた春ねむりさんにとって、言語の違うアーティストとのコラボや、海外ファンとのやりとりはどのようなものなのでしょうか?  以前、Twitter で英語があまり得意ではないという投稿を見かけたのですが、コミュニケーションや、日本語と英語での表現の違いなどに対する戸惑いや感動などの経験があれば教えてください。

英語の勉強だと思って頑張っています(笑)。ファンの方が、自分がどう思ったかを伝えてくださるのは本当に嬉しいので、きちんと理解したいと思って聞いています。
日本語には余白の多い単語が多く、ほんとうに情緒を大切にする言語だと自分の歌詞の翻訳作業の度に思いますし、英語に適した表現が無いこともしばしばあります。先日は「やるせない」という単語を英語に翻訳することができず、大変悩みました。

Q5. 今回の AFSHHEN さんとのコラボは春ねむりさんにとっても新たな試みであったように思われますが、今後どのようなことに挑戦していきたいとお考えでしょうか?
作品をつくり続けること、ひいては生き続けることが、自分にとってはハードルが割と高いので、それをまず頑張りたいです。


 

 『HARU NEMURI EUROPEAN TOUR 2023』

10/7 - Ireland, Dublin - The Workman's Club
10/9 - England, Manchester - The Peer Hat
10/10 - England, Southampton - Heartbreakers
10/11- England, London - Studio 9294
10/13 - Spain, Barcelona - AMFest Encobert (Sala Salamandra)
10/16 - France, Paris - Les Etoiles
10/17 - Belgium, Brussels - Botanique (Rotonde)
10/19 - Netherlands, Rotterdam - Left of the Dial Fest day1
10/20 - Netherlands, Rotterdam - Left of the Dial Fest day2
10/23 - Germany, Berlin - Badehaus

【リリース情報】
AFSHEEN、春ねむり DIGITAL SG『No Muse』
2023年8月18日(金)発売
<収録曲>
01.No Muse
https://www.afsheenmusic.com/no-muse


春ねむり DIGITAL SG『わたしは拒絶する』
2023年9月8日(金)発売
<収録曲>
01.わたしは拒絶する


春ねむり NEW EP『INSAINT』
2023年9月29日(金)発売 / 全6曲収録

 <収録曲>
01.ディストラクション・シスターズ
02.わたしは拒絶する
03.生存は抵抗
04.サンクチュアリを飛び出して
05.インフェルノ
06.No Pain, No Gain is Shit 

 
【関連リンク】
▼AFSHEEN
Facebook:https://www.facebook.com/AFSHeeNMusic/?ref=page_internal
Instagram:https://www.instagram.com/afsheenmusic/
X(ex.Twitter):https://twitter.com/AFSHeeNMUSIC
Spotify:https://open.spotify.com/intl-ja/artist/5iwLVxdLzgm1cLrZunXzWR
TikTok:https://www.tiktok.com/@afsheenmusic
Soundcloud:https://soundcloud.com/afsheen

 
▼春ねむり
Facebook:https://www.facebook.com/harunemuri
Instagram:https://www.instagram.com/haru_nemuri
X(ex.Twitter):http://twitter.com/haru_nemuri
Spotify:https://open.spotify.com/artist/3cn7Ujrlj3rdyuqmOYhBJT
Official Website(JP):http://ねむいっす.com