Drake(ドレイク)の会社である Frozen Moments LLC(フローズン・モーメントLLC)が、Kendrick Lamar(ケンドリック・ラマー)のグラミー賞ノミネート曲「Not Like Us」のストリーミング数がボットや偏った推奨アルゴリズムによって "不正に" 増やされているとして、Universal Music Group(ユニバーサル・ミュージック・グループ)と Spotify(スポティファイ)を提訴した。
 

Drake の弁護士によると、UMG は RICO法 Racketeer Influenced and Corrupt Organizations Act) に違反しているとし、ペイ・トゥ・プレイ(賄賂による宣伝)や虚偽広告をニューヨーク州法に反して行ったとされている。法的文書には、「UMG は偶然や通常の商業的慣行に頼らず、ストリーミングサービスやラジオの電波を操作し飽和状態にするキャンペーンを展開した」と記載されているようだ。

Drake 側はここ数カ月間、UMG と交渉を試みたものの、UMG は Kendrick Lamar 本人と直接話し合うよう主張し、実質的な交渉には応じなかったとしている。

Drake の弁護士は、UMG と Spotify に以下のような文書を提出するよう要求しているという。

1.「Not Like Us」のプロモーションに関連する支払いの証拠
2. Spotify がプロモーションの見返りに受け取ったライセンス料の減額に関する記録
3. ストリーミングやミュージックビデオの再生数を増やすために雇われた第三者の詳細

また、文書内では Spotify が「Not Like Us」を検索結果に関連性のないアーティストや曲の推奨に含めたと主張。さらに、UMG の従業員が独立系ラジオプロモーターに支払いを行い、その資金がラジオ局に渡されたり、インフルエンサーが SNS で曲を宣伝するために報酬を受け取ったりしたとも主張している。

特に具体的な主張として、UMG が Apple Inc. に支払いを行い、Siri がドレイクの2021年のアルバム『Certified Lover Boy』を再生するよう指示された際に、意図的に「Not Like Us」に誘導するようプログラムしたとされている。
 

UMG は Drake の主張を否定する声明を発表し、「UMGが所属アーティストを貶めるような行為をするという主張は、不快で事実無根です。私たちのマーケティングおよびプロモーションキャンペーンは最高水準の倫理的慣行に基づいています。この事前訴訟の中で展開される作り上げられた法的主張では、ファンが自分の聞きたい音楽を選ぶという事実を覆い隠すことはできません」と述べた。

今回の訴訟は音楽業界におけるストリーミング操作や倫理的なビジネスに関する新たな議論を巻き起こす可能性がある。Drake と UMG の法廷闘争がどのような結末を迎えるのか、業界内外で注目が集まっている。