2024年12月31日に Netflix にて公開された、故 Avicii(アヴィーチー)の最新ドキュメンタリー『Avicii-I’m Tim』の内容が、現在物議を醸している。

関連記事>> 【動画アリ】2024年12月31日にNetflixで公開予定のAvicii (アヴィーチー) の新作ドキュメンタリー『Avicii-I’m Tim』のプレビュー映像が到着
 

本名 Tim Bergling(ティム・バーグリング)こと Avicii は、"Levels"、"Wake Me Up" といった多数の名曲を世に送り出し、ダンスミュージック業界に革新的な変化をもたらしたと言っても過言ではないほどの功績を遺したアーティストだ。2018年、Avicii が悲劇的な死を遂げた後、シーンではメンタルヘルスケアの重要さと、名声を手に入れた後のプレッシャーなどが盛んに議論された。

最新ドキュメンタリー『Avicii-I’m Tim』は、Avicii の功績を称え、Avicii が直面したメンタルヘルスと不安の課題に焦点を当てたものとなっている。更に Avicii の人生を振り返るに当たり、Avicii の家族、友人、同僚へのインタビューも含まれている。

しかし、このドキュメンタリーでは特に新たな情報は共有されず、2018年のドキュメンタリー『Avicii:True Stories』と同じ内容を繰り返しているだけだという批判的な声も上がっている。また、Avicii がキャリアの中で直面したプレッシャーを描いていると称賛されている一方で、一部の批評家は、Avicii の人生の中の特定の部分を大げさに誇張したり、大々的に取りあげたりしているのではないかとも述べており、Avicii の苦悩の描かれ方に疑問を抱く声も多い。

更に、このドキュメンタリーが年末に配信された後、その内容とAvicii を語る上で欠かせない人物がこのドキュメンタリーに出演していないことについての議論が起こった。その人物とは、Avicii の親しい友人で、Avicii と一緒に暮らし、Avicii の多くのアーティスト写真を撮影した Sean Eriksson(ショーン・エリクソン)である。
 

Avicii を語る上で欠かせない人物である Sean Eriksson がこの最新ドキュメンタリーに出演していないと指摘される中、 Sean Eriksson は自身の Instagram でなぜこのドキュメンタリーに出演しなかったのかを説明している。
 
Sean Eriksson は上記の Instagram 投稿で、彼がこの最新ドキュメンタリーに出演しない理由は、Avicii の父親である Klas Bergling(クラス・バーグリング)が関わっているからであるという、衝撃的なコメントをしている。

更にこのドキュメンタリーで描かれた Avicii への医療介入について "Klas Bergling の発言は真実でない" と主張。父親である Klas Bergling は、Avicii の健康状態を心配するよりも、ショーをキャンセルしてプロモーターから訴訟を起こされたり、お金を失うことを恐れていたと暴露、そのため Sean Eriksson はこのドキュメンタリーを支持できないと感じ、出演しなかったとしている。
また Klas Bergling については "数多くあるストーリーの一部分でしかない" とも述べている。
 
また Sean Eriksson は、Avicii が戦っていた依存症についてのドキュメンタリー内での描かれ方についても批判している。
ドキュメンタリーでは依存症の全容が説明されておらず、ただ "Avicii が鎮痛剤の依存症である" とだけされているが、実際には、Avicii は病気による手術により慢性的に耐え難い痛みを抱えており、それを和らげるために鎮痛剤を使用していたとのことで、あたかも Avicii がただのドラッグ中毒であるかのようにミスリードさせるようなコメントをドキュメンタリー内で展開する Avicii の友人 Jesse Waits(ジェシー・ウエイツ)のことも批判している。​

Sean Eriksson の鎮痛剤への依存に関するコメントが真実であるとすれば、これまであたかも Avicii がドラッグ中毒を発端としたメンタルヘルスが悪化して最終的に死に至ったかのようなストーリーの上でチャリティー活動を展開していた Klas Bergling の活動自体にも疑惑が及ぶことになるが……一体何が真実なのか、今後の展開も注意深く見守る必要がありそうだ。
 
また、ドキュメンタリーを視聴した人の中には気が付いた方もいるかもしれないが、インタビューを受けている Avicii の関係者や友人は、Avicii の母親を除き全て男性だ。Avicii の人生に関わった女性が不自然と言って良いほど全く描かれていないのだ。
上記の Sean Eriksson による投稿には、Avicii のパートナーとして知られる Tereza Kačerová(テレザ・カサロヴァ)がコメント欄にハートの絵文字を投稿しており、彼女も Sean Eriksson の暴露を支持しているものと見られている。



また Sean Eriksson は、Avicii の誕生日であった2024年9月に Avicii の人生がどのように描かれてきたかについての不満を下のように吐露している。

Tim の人生はまだ語られていない。少なくとも、彼の身近な友人たちからは。Tim の偉業や、彼が本当に素晴らしい人物だったことを称える代わりに、彼をメンタルヘルスの先駆者的に仕立て上げるこの奇妙で、全て偽りで​操られた物語には本当にうんざりしている。


Sean Eriksson は「そのような偽りの物語を変える時が来た」ともコメントしているため、近々 Sean Eriksson から Avicii の真実について、何らかの発表があるかもしれない。