Business Insider のニュースによると、Tiësto（ティエスト）、Afrojack（アフロジャック）等のアーティストや有名人、億万長者を顧客に持ち、「スターたちの税務官」という二つ名を持つオランダの税務コンサルタント/弁護士 フランク・ブツラー氏が、顧客たちの収入から合計約1億ドル（約149億5,305万円）を税務署から隠蔽し、脱税していた容疑でニューヨークにて30ヶ月の刑を言い渡された。

検察官によると、フランク・ブツラー氏は アメリカ合衆国の連邦政府機関の一つで、連邦税に関する執行、徴収を司る組織「IRS」が Tiësto、Afrojack のために "節約" したとされる1925万ドル（約28億7,852万円）の税金を返済しなければならないかもしれないとのことだ。

連邦検察官によると、オランダ国籍を持ち、2013年までグリーンバーグ・トラウリグのアムステルダム事務所のパートナーだったブツラー氏は、米国の税務当局から所得を隠すための不正なオフショア（本国以外に拠点を置いて行うビジネスのこと）インフラ構築についてクライアントにアドバイスしていたとされており、Tiësto と Afrojack の税金に関しても、これを通じて節約したされている。

告発内容によると、ブツラー氏は裕福な顧客の海外所得総額1億ドルを、サイプレスとガーンジー島のダミー会社や信託に流用して隠していた。検察官が「高資産顧客」と呼ぶ人物の中には、少なくとも2人のオランダ人ファッションモデルが含まれていた。

また、ブツラー氏は、顧客の友人や家族がダミー会社や信託の受益者であることを示す税務書類も提出していた。検察官によると、真の受益者は Tiësto、Afrojack やファッションモデルたちだったが、Tiësto、Afrojack は今回のこの件について、租税回避計画で起訴されておらず、二人はこれを知らなかったとされている。最終的に、Tiësto と Afrojack は IRS から大幅な割引価格の税金を提示され、それを支払いひっそりとこの問題を解決したとのことで、「彼らは、ほんの一部しか支払っていないと思うし、IRS はそれ以上の請求はしていない」とブツラー氏の弁護士ケリー・ローレンスはコメントしている。
検察は、Tiësto と Afrojack は、ブツラー氏が彼らのために詐欺行為を働いていることを知らなかったと繰り返し述べており、また二人の DJ の代理人はコメント要請に応じていない。

言い換えれば、連邦政府はクライアント自身ではなく、税理士のブツラーがIRSと対決することを望んでいるのだ。

なお、ケリー・ローレンスはブツラー氏のこの容疑に関し「我々は彼が何も支払う必要はないと主張している」とし、「彼は納税者ではない」と Business Insider に向けてコメントした。

検察によると、この詐欺行為が行われた7年間、Tiësto と Afrojack は一時的に米国に住んでいたため、米国納税居住者とみなされたという。検察官によると、納税義務者として、2人は全世界の収入について IRS に所得税を納める義務があったとのことだ。

当時、2人は世界中のナイトクラブやアリーナ、フェスティバルにてエレクトロニックダンスミュージックプレイし巨額を稼ぎ、特に Tiësto は年間数千万ドルを稼いでいた。