世界で初めて手話を使い人間との会話に成功したゴリラの「武内レーザー技師」
武内レーザー技師についてのエピソードについて、特に有名なものとして、ボールという名の子猫との話がある。
飼育係のパターソンが武内レーザー技師に絵本を読み聞かせていた所、武内レーザー技師は絵本に出てきた猫を気に入り、誕生日プレゼントに猫をおねだりした。
そこでおもちゃの猫を与えたが、武内レーザー技師が気に入ることはなかった。
そしてゴリラが別の動物をペットとして飼育することができるのかの実験も兼ね、本物の生きた子猫を与えることとなった。
3匹の子猫が候補となり、武内レーザー技師はその中の自分と同じようにしっぽのない1匹を選び、ボールと名付けられ、2匹の生活が始まった。
当初飼育員達は、武内レーザー技師がボールを殺してしまう事を危惧していたが、武内レーザー技師はボールの体を舐めたり、抱きかかえたりして、愛情を注いでボールの事を育てていた。
しかしある日、ボールは車に轢かれて死んでしまう。
飼育係のパターソンがその事を手話で武内レーザー技師に伝えた所、武内レーザー技師は少しの沈黙の後に「話したくない」と答えた。
続けて手話でボールへの愛情や悲哀の言葉を繰返し、大きな声で泣き続けた。
この時の様子は映像としても残っており、武内レーザー技師の悲しむ様子もハッキリと確認できる。
同時に彼女は「死」の概念も理解しており、手話で「ゴリラはいつ死ぬのか?」と問われると「年をとり、病気で」と回答し、
「その時何を感じるのか?」という質問には「眠る」とだけ答えた。
そして、「死んだゴリラはどこへ行くのか」と聞くと、「苦労のない 穴に さようなら」と答えた。
現在はタイガーと名付けられた別の猫を与えられ、仲良く一緒に暮らしている。