チリの首都サンティアゴ生まれ、ニューヨークを経て現在はベルリン在住、レーベル<Horizontal>主宰するDINKYは、同郷のリカルド・ヴィラロボスとルチアーノを猛追する女性DJとして現行ミニマル・シーンで知られている。10代の頃にコクトー・ツインズやディペッシュモード、プリンスなどに触れ音楽の扉を開く。やがて当時ベルリンに住んでいた姉の影響でプラスティックマン、エイフェックス・ツインやカール・クレイグなどのテクノに目覚める。1994年にリカルド・ヴィラロボス、ダンディ・ジャック、アトム・ハートそしてルシアーノと出会う。この年はじめてベルリンに渡りE WerkやTresorなどのクラブを体験、DJヘルやジェフ・ミルズなどヨーロッパ・トップ・クラスのDJを目の当たりにする。90年代の後半にニューヨークのマンハッタンに移住、コンテンポラリー・ダンスの学校に通いながらボディ&ソウルのパーティでもレギュラーをつとめるなど彼の地のクラブ/テクノ・シーンにどっぷりと浸るようになる。2001年にドイツのTraumから初めてのアルバム『Melodias Venenosas』を、2003年にはCarparkから『Black Cabaret』を発表。その後ベルリンに移住、2005年にCocoonからのシングル「Acid In My Fridge」がブレイクしてミニマル・シーンを中心に人気を博し、トップ・アーティストとしての揺るぎない地位を獲得する。この年自身のレーベル<Horizontal>も立ち上げ、自らのリリースのみならずMatthew StylesやAndres Bucciなどの新しい才能もサポートするようになる。2007年11月にはダミアン・ラザルス率いるCrosstown Rebelsの人気MIXシリーズ『Get Lost』のミックスを手掛ける。2008年8月、自ら主宰するHorizontal音源をノンストップ・ミックスしたレーベル・ショウケース『Dinky Mixes Horizontal』を日本独自でリリース。2008年10月、オリジナル・アルバム『May Be Later』をAlex SmokeのVakantからリリース。細部まで丹念に仕上げられた音へこだわりを感じさせる珠玉のディープ・テックハウス・トラックスは、確固としたオリジナリティと今までの彼女の経験とキャリアの集大成と呼ぶに相応しい幅広い内容となった。2009年、マシュー・ジョンソンの熱烈なオファーによりWAGON REPAIRからシングル「Lydian EP」をリリース、10月に最新アルバム『Anemik』をリリース。アナログ・シンセや生楽器を大胆に取り入れたまるでコブレストーン・ジャズの様なライヴ感覚溢れるグルーヴィーな仕上がりを見せている。エレクトロニック・ミュージックに特化したオンライン・マガジン「Resident Advisor」の2009年度Top 20 Albumsにも選出された。彼女のキャリアはひとつの節目を迎えようとしているのは間違いない。
http://www.myspace.com/dinkydj