オールドスクール後期 / ニュースクール黎明期からシーンに君臨し続けるスーパーグループ"ギャング・スター(Gang Starr)"のトラックメーカー/DJ。ギャング・スターのDJとなる前は"Waxmaster C(本名がChris Martinの為)"と名乗っていたが、Wild Pitchと契約後、DJ Premierとなる。"プリモ(Primo)"の愛称でアーティスト仲間やファンからも親しまれる一方、誰も触っていない新しいサンプルを探し出し、トラックメイキングの基本でもある「ループ」のみでストイックに構成するスタイルや、「打ち込み」を原点から次のレベルまで昇華させた「チョップ / フリップ」を多用したスタイルで、ギャング・スターはもとより、ロード・フィネス(Lord Finess)eやKRSワン(KRS ONE)、ジェイ・Z(Jay-Z)、ナズ(NAS)、ビギー(Notorious B.I.G.)他、R&B等のRemixも含めて現在までも数え切れない程たくさんのアーティスト達に曲を提供し、その殆どがリスナーをして「クラシックだ」と呼ばせるものばかりを残してきている。彼のプロダクションに関して、先述のプログラミング・スキルの高さと同時に語られるポイントがその「スクラッチ」の扱いである。「フック(Hook / いわゆる「サビ」)」というものが、ヒップホップのみならず殆どの大衆音楽には存在する。そして普通ならアーティスト自身がその「フック」を「歌う」か「楽器をプレイ」する事で表現するのだが、例えばプリモはそれを「スクラッチ」で構成する事が多い。その「フック」に用いられるフレーズを、時には古いラップのレコードから、はたまたトークショーや教材のようなレコード、もしくはアーティスト本人の別の曲から引用してくる。テーマに沿った言葉やトラックになじむメロディを持ったモノを各所から拾ってきては、誰が聴いても「プリモだ」とわかるクセのあるスクラッチではめ込み「フック」にしてしまう。このように、「サンプルループ」「打ち込み」「スクラッチ」という基本だけを取ってみても、プリモが如何に他のトラックメイカーとは違うクリエイターであるかが良くわかる。例えば"Dwyck"では、コレと言った「フック」が無いのだが、その代わりに各MCのバースの前で「そのMC」を連想させるフレーズをスクラッチする事で、次に誰が来るのか「紹介」し、飽きさせる事無く曲の最後まで聴かせてしまう。"You Know My Steez"では「定番ビート」と「サンプルのフリップ」の、「全く新しい使い方」で披露している。このように「至極ヒップホップ的発想だが、誰もが思いつく訳ではない事」を常にやってのけ、その名前が出る度にシーンの先頭に立って変化を与えていく辺り、プリモが名前どおり"Premier"として尊敬を集め...
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