自身のアルバム"WESTERN DREAM"(ウェスタン・ドリーム)と未発表曲のミックス・コンピレーション"SOUNDZ OF FREEDOM"(サウンズ・オブ・フリーダム)が立続けにヒットした後の2007年、ボブ・サンクラーはパリの競争社会に別れを告げ、新作のインスピレーションを培うためにロサンゼルスにて1年を過ごした。そこで、まだ出会ったことのなかったフォーク・ロック(America、Boz Scaggs、John Fogerty、Michael McDonald、Dan Fogelbergなど)に初めて触れることとなる。この出来事がニュー・アルバム、"Born In 69"に向けての始動となった。
2007年9月~2008年3月にかけて、何十ものバック・トラックを制作し、ボブはジャマイカへと旅立つ。灼熱のキングストンへ到着し、Christopher Martin、Tony Rebel、Queen Ifricaなどのシンガーとレコーディングをした後、ロサンゼルスに戻り、何曲かのデモが仕上がった。素敵なヴァイブ、素晴らしいヴォーカルと、素晴らしい曲がいくつか出来たが、"Love Generation"や"World HoldOn"のようにゾクゾクもしなければ、"RockThis Party"や"Sound of Freedom"のようなビート感もない。
パリに戻り、心から信頼できる彼のチーム、特にサウンド・エンジニアであり、コプロデューサーであるCutee Bとのレコーディングを行ってから、やっとボブ・サンクラーはパズルを完成することが出来たのである。
「あの時点で、僕はロサンゼルスでレコーディングしたトラックに立ち戻って、それを更に磨き上げたんだ。それから、10月にパリで会ったSteve Edwardsを呼んで、Richie Havensの"We Are Everything"(ビートルズ・スタイルのサイケデリックな曲)をサンプリングして、1969年にリリースされたIllusionのトラックからもサンプリングしたんだ。タイトルに"Peace Song"と、愛と平和の力をつけたことによって、アルバムのコンセプトがはっきりしてきたんだ。」
もう一つ、奇抜なアイディアがあった。Manu Chaoの"Je ne t’aime plus"とShabba Ranksの"Love You No More"のヴォーカルを大胆にもミックスさせるということ。Manu Chaoはサンプリングすることを許諾し、Shabba Ranksはボブが2008年の年末に借りたスタジオへやってきた(なんと間にあって!)。2つの奇跡が起こったとしかいいようがない。
ニューヨークでは、"Born In 69"からの1stシングルとなる曲がレコーディングされた。伝説となっているオールドスクール・ヒット、"Rappers' Delight"を1979年にリリースしたSugarhill Gangが、ボブ・サンクラーとのコラボレーションを引き受けてくれたのだ。
Cutee Bがベースラインを作り上げ、MCのWonder MikeとMater Geeが彼らのトレードマークであるユニークなスタイルでラップを披露し、Kid Creoleの曲にあった、子供の聖歌隊からインスピレーションを受けた素晴らしいフックが加わった。こうして"LaLa Song"が完成した。ラップとダンスフロア・トラックがミックスされ、ニュー・スタイルとオールド・スクールが出会った。
「個人的にはボブ・サンクラーとシュガーヒル・ギャングの組み合わせは素晴らしいと思うよ!(笑) 何故だか分からないけど、初めからこのコラボレーションが上手く行く、って思っていたんだ。レコーディングの日、Wonder MikeとMaster Geeは"Rappers' Delight"の30周年でCNNに招待されていて、そこからレコーディングに来てくれたんだよ。1年間この企画を実現させようと頑張って、何か魔法が起こったんだよ。」
この1stシングルで感じるだろう。ヴィンテージであり、モダン、ファンキーかつポップな本物のパーティー・トラック。
「"Born In 69"のコンセプトは、平和と愛との力をテーマとして考えていた時にひらめいたんだ。僕の誕生日は5月10日で、アルバムは5月11日にリリースされる※。素敵なバースデー・プレゼントだよ。」とボブ・サンクラーは締めくくる。この踊り出したくなる、楽しくて多様性のあるアルバムで、ボブ・サンクラーは自身の誕生日だけを祝うのではなく、そのグルーヴで暗い時代に世界中を明るくしているのだ。