2016年5月2日、東京・渋谷にあるshibuya duo MUSIC EXCHANGEにて、ルディメンタルの初となる単独公演が開催された。ドラムンベースを軸にソウル、エレクトロ、ロック、ジャズ、ヒップホップ、さらにはグライムからクラシックまであらゆるテイストを昇華した稀有なダンス・サウンドで、本国UKはもちろんヨーロッパ各国やUS、さらにここ日本でも大きな注目を浴びている彼ら。ライヴ・バンドとしても非常に高い評価を得ているだけに、今回の公演でも日本のゴールデンウィークを熱烈に彩る、極彩色のパフォーマンスを魅せつけてくれた。ここではその様子を、じっくりとお届けしたい。

定刻を少し過ぎたころ、ついに会場が暗転する。オーディエンスから張り裂けんばかりの大歓声が上がる中、いよいよメンバーがステージに姿を表す。舞台を包む幻想的な青い光と、イントロパートのメロウなエレクトロ・サウンドがめくるめく交錯しフロアをガッチリと掴んだところで、1曲目「ライト・ヒア」へと突入。力強くもこの上ない温もりを演出する技巧派ドラムと柔らかなホーン・セクション、そして美麗な鍵盤の旋律にボトムの強いビートが絡まり、ソウルフルなヴォーカル・ワークと重なって、会場にはドリーミーな空間が瞬く間に広がっていく。太陽の光、夏の風……人々が求めるベストな温度感を丁寧に描きながら、2015年10月にリリースしたニュー・アルバム『ウィー・ザ・ジェネレイション』のタイトル・トラックである「ウィー・ザ・ジェネレイション」や、フォイ・ヴァンスをフィーチャーしたシングル「ネヴァー・レット・ユー・ゴー」、さらにアルバムではグラミー賞獲得をした話題沸騰中のシンガー、エド・シーランがヴォーカルを務める「レイ・イット・オール・オン・ミー」、「ブラッドストリーム」など、畳み掛けるようにヒット・ナンバーを連発していく。随所で挟まれる爆発的なビートにはテンションを振り切って飛び跳ね、滑らかなメロディーラインにはゆらりと身を任せながら、オーディエンスは紡ぎだされる魅惑のサウンドに酔い痴れ、この夜をめいめいに味わい尽くしていた。後半に突入するとその勢いはさらに加速し、「フリー」や「ルーマー・ミル」、さらに「フィール・ザ・ラヴ」といった、体が疼かざるを得ない鮮やかなグルーヴを擁した楽曲陣をパフォーム。フロアからは幾度も大合唱が沸き起こり、そのエネルギーを受けたステージからは、ハイブリッドに重なっていく音色と共に、ポジティヴなヴァイヴが生み出されていく。そこには日常のあらゆる事柄を忘れさせてくれる、自由でファンタジックな光景と音像が広がり、アンコールが終了する頃、会場には笑顔だけが溢れかえっていたのだった。

EDMという分野で大きな活躍を見せながらも、ジャンルに縛られることのないリベラルな発想と実験的なサウンドで、人々を魅了してやまないルディメンタル。今回の来日公演ではその類いまれなる音楽的センスはもちろん、ライヴ・アクトとしてのプライドとスキルの高さも大いに見せつける、貴重な一夜となった。昨年アルバムをリリースしたばかりの彼らだが、早くもその次のステップに、期待せざるを得ない。
 
photo credit TEPPEI

【ルディメンタル 2016年5月2日 shibuya duo MUSIC EXCHANGE セットリスト】
Right Here
I Will For Love
Not Giving In
We The Generation
Never Let You Go
Lay It All On Me
Go Far
Trending On Water
Bloodstream
Free
Baby
Rumour Mill
Love Ain’t Just A Word
Jam Rock
Needn’t Speak
Incredibule
Body Rock
Feel The Love
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Give You Up
Waiting All Night