5月11、12日に開催された EDC JAPAN から1週間が経った。特に大きな事故はなく、最初から最後まで素晴らしい体験を提供してくれたのだが、今回のEDC JAPAN は何が良かったのかを分析してみた。
 

①EDM フェスとしての多様化


リアルな話をすると、日本産の Music Circus や Wired Music Festival に加えて ULTRA や S2O など、海外ブランドのフェスが続々参入しているため、"EDMフェス飽和" が起きてしまっている。それぞれのフェスは良いラインナップを作るために、アーティストの取り合いが激化しているのも実情である。それもあって、EDC JAPAN に限らず EDMフェス はこれまで以上に観客を動員することが難しくなっている。

そんな中、今回の EDC JAPAN はあえて EDM というシバリを捨てた。まず、 HARD がプロデュースするステージ Cosmic Beach に FUTURE(フューチャー)Jay Park(ジェイ・パーク) らヒップホップ系のアーティストを多くラインナップ。さらに昨年まではクラブシーンで人気の DJ を多く入れていた Boombox Artcar を今年はストリートシーンで人気のクルー、Lazy Boys がステージデザインから 出演アーティスト までプロデュース。近年のトレンドを踏まえて、 EDM との親和性があるジャンルのアーティストをラインナップに取り入れた。

また、メインステージの Kinetic Field にも、EDM 系のアーティストの中でも次世代の人気を担うアーティストや玄人ファンからの注目度が高いアーティストを多くラインナップに入れて他のフェスとの差別化を図っていた。今回のラインナップはネット上でも賞賛されていた通り、攻めの姿勢が功を奏したようだ。
 

②ローカルアーティストへのチャンス


今回の EDC JAPAN ではメインステージである Kinetic Field のオープニングアクトを決めるオーディションを行なっていた。今回のオーディションの結果、 HerbalisteKAllen Mock という、海外アーティストたちにも絶賛されている2組のアーティストが合格したのだが、このようなチャンスが与えられたことで日本のアーティストたちに希望が生まれた。

これまでは、実力があるにも関わらず、それ以上に必要なコネクションや現場経験に恵まれずにフェスへの出演機会を手にすることができないアーティストが多かった。日本でフェスへの出演を夢見るアーティストたちは自発的に動くことはもちろん、今後もこのようなオーディションが開催されたときのために楽曲プロデュースや DJ スキルアップに励んで欲しい。

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③快適な空間


今回の EDC JAPAN は総じて、ストレスフリーな空間だった。天候がかなり良かったのもあるが、それ以外にも GMO ブースでミネラルウォーターのボトルを無料配布していたり、Cosmic Beach では Ploom tech/tech+ がフロアで吸えるようになっていたりと、快適に過ごすための工夫が至る所に施されていた。

筆者もクラブで遊んでいる時は、コンビニでは100円で買えるペットボトルの水を500円以上で買ったり、非喫煙者なのでタバコの匂いがどうしても気になったり、多少の不便は我慢していた。だが今回の EDC ではそういったストレスから解放されて思う存分に楽しむことができた。

またこれは初回から変わらないが、ZOZO マリンスタジアムはフェスを開催する上でかなり良い環境が整っている。トイレの数が少ないのが難点だが、疲れた時は座席に座って飲食することができるし、シッカリ踊りたい時はフロアに降りて爆音を浴びることができる。さらに VIP エリアが悪目立ちしない位置にあるのも良かった。さらにスタジアムから徒歩5分圏内に各ステージがある上に導線が整備されているのでスムーズに移動することができた。

快適に過ごせるフェスにはもちろん不満が残らない。実際にSNSではネガティブな意見が少なかった。
 
どんどん進化を遂げていく EDM フェス。この EDC JAPAN を皮切りに、これから様々なフェスが開催されるシーズンに突入するわけだが、他のフェスの動向も気になるところだ。

Written by So-on