あなたは、仕事中に音楽を聴くだろうか?
この質問をすると賛否両論の反応が返ってくるだろう。仕事中や勉強中に音楽を聴く人は、音楽を聴くことで集中力が増し生産性が上がると言う一方、中には音楽を聴いたら音楽で集中力が散漫になり生産性が落ちると言う人もいる。

その疑問を解決するために、アメリカの大学研究チームが、実際に仕事中に音楽を聴くことでどのような効果が生まれるかの実験を行い、音楽とパフォーマンスの向上との関係性を分析した。


その結果「生産性が上がる人も下がる人もいる」という結果となった。その違いは、被験者がどのような種類の仕事をしているかによって違うようだ。

研究チームは、スポーツ、数学、読書など、さまざまなタスクにおいて音楽がパフォーマンスにどのような影響を与えるかを調査。また、音楽がリスナーの気分によってどうパフォーマンスに影響するかも調べた。

この実験では被験者を研究室に招き、様々な作業をしてもらうというもので、その中には単語リストの中らか「a」を含む単語を消すという簡単な作業から、単語のペアを覚えて一つの単語のペアを思い出すという若干難しい作業まで含まれていた。一部の参加者には全ての作業を無音の中で行い、ほかの参加者には、大きな音から優しい音、単純な楽器構成から複雑な楽器構成を聴きながら作業した。
単純な楽器構成のトラックには、1つまたは2つの楽器が含まれており、メロディーはほとんど変らずテンポも遅いもの、複雑な楽器構成のトラックには多種多様な楽器が含まれており、頻繁にメロディーが変わり、テンポが早いものが使用された。

単純なトラックを聞いた参加者と、何も聞いていない参加者は簡単な作業ではほぼ同じパフォーマンスを示したが、複雑なトラックを聞いた参加者は簡単な作業で一番のパフォーマンスを示した。しかし複雑な作業になると、音楽を聴いていた人たちはパフォーマンスがかなり低下した。


この研究結果から、音楽と作業を両方とも処理するには限界があるということが判明した。簡単な作業をした場合、作業が簡単すぎることから余裕がうまれ気が散ってしまう。しかし両方の情報量があまりにも多すぎると逆に圧倒され、これもまた気が散ってしまう。簡単な作業は単純なため複雑な音楽で刺激を与えることでパフォーマンスが向上し、複雑な作業はすでに情報量が多いため音楽がない方が集中できるということである。

単純作業の際には音楽を聴きながら、複雑な作業の際には無音で作業することにより、更にあなたの仕事の効率も向上するかもしれない。