2020年12月12日、スペイン・バルセロナの有名な会場で、1600人のキャパシティの「Sala Apolo」で、新型コロナ禍における安全なコンサート開催のための実験である「The Covid-19 PRIMACOV コンサート」が開催され、結果的に新型コロナ禍においても感染対策をしっかりとすればコンサートの開催は可能であるとの結果を示した。

このイベント「The Covid-19 PRIMACOV コンサート」では、ビッグフェスティバルを主催する Primavera Sound からの資金提供を受け、エイズ・感染症対策の財団が主催するショー「Hospital Germans Trias i Pujol」を開催したもので、地元の DJ がプレイしたとのことだ。

このコンサート開催実験では、18歳から59歳までの合計1047人のボランティアが、イベントに来場したグループと、来場しないグループにランダムに分けられた。

来場者グループは、コンサート会場に入る際に社会的距離を置く必要はなかったが、手渡されたマスクを着用する必要があり、飲み物を飲むとき以外は常にそれを装着させられた。その他、人数制限された屋外の喫煙所、換気システムの改善、トイレの行列を避けるために信号やマーカー等が設置される等の対策が取られた。コンサートは5時間に及び、参加者は会場内で平均2時間40分を過ごしたとのことだ。

参加者全員はコンサート前に15分で結果が出る抗体検査を受けて陰性となっており、またコンサートの8日後にPCR検査が行われた。
その結果、コンサートに参加したグループの全員が陰性となり、一方コンサートに参加しなかったグループのうち2名が陽性となった。つまり、新型コロナウイルスの抗体検査を含む一連のコンサート実験では、コンサートへの参加は新型コロナウイルスの感染増加とは関連していなかった、という結果となった。
うまくいけば、このデータが新型コロナウイルスのパンデミック中にもライブコンサートを開催可能とする道を切り開くのではないかと見られている。


ただし、上でも述べた通り、この実験では様々な対策が徹底して行われ、人々もそれが新型コロナウイルス関連の実験であることを認識しつつ、指定された対策を遵守した中での結果となっているため、果たしてこれが通常に開催されるコンサートにおいても通用するのかという疑問は大きい。

基本的に、コンサートでは、好きなアーティストやお酒の影響でテンションが上がりがちであり、更に、人は興奮すると冷静さを欠くことが多い。

そして日本の場合、感染症対策における法整備がきちんと取れていないため規制に法的強制力がなく、先日も2週間の隔離が指示されている海外からの入国者が、隔離中のはずの2週間の間に10人規模の会食を行い、新型コロナウイルスを他の会食参加者に感染させている。
日本のようなユルい国では、人々の善意に頼って「感染予防対策がきちんと守られている」という前提でコンサートを開催してしまうのは、まだ少々危険かもしれない。