「痴漢」「強制わいせつ」行為は、一般的に満員電車や路上等で女性が遭遇してしまう場合が多いが、音楽シーンにおいても無縁ではなく、むしろ人が多く薄暗いナイトクラブやフェスティバル会場においては多発している。

アメリカ・カリフォルニア州ナパバレーにて開催される音楽フェス「BottleRock Napa Valley」が、性的暴行を受けた女性から訴訟を起こされていると報じられた。


2019年5月25日、フェスティバル敷地内の仮設トイレにて、Jane Doe(仮名)がリッチモンド在住の Peterson William Fontes 被告に襲われた。Fontes 被告はハンドソー(片手のこぎり)を使用して8つのポータブルトイレに密かに穴を開け、犯罪行為に及んだとのことだ。

Napa Valley Register

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Fontes 被告は懲役16年の刑を言い渡されているが、これは日本で定められている痴漢(迷惑防止条例違反)行為だと6ヶ月以下の懲役、強制わいせつ罪であれば6ヶ月〜10年以下の懲役という法定刑と比較してかなり重いものとなっている。

Fontes 被告は、2018年にブラジリアのシティ・パークにあるポータブルトイレに今回の事件と同様に穴を開けたとして逮捕されている。
更に地方検事局によると、Fontes 被告は2週間前にアラメダ郡で開催されたストリートフェアでとある女性がトイレに入った際に盗撮したとのことだ。
なお、盗撮については、Fontes 被告は Jane Doe が被害に遭う以前に、同フェス内にてトイレの中にいたカップルを盗撮していたとのことだ。

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Fontes 被告が刑事罰を受けたのみならず、被害者女性の Jane Doe は、会場の「BottleRock Napa Valley」主催者と、会場のセキュリティ請負業者である Latitude38 Entertainment、LLC、NPB Companies、Inc.、Contemporary Services Corporation に対しても民事訴訟を提起。

この訴訟の内容によると、被害者の Jane Doe は、Pharrell William のライブが午後10時頃に終了する直前にフロアを出て、ゲート3近くのトイレを使用。トイレ付近はかなり暗かったため、Jane Doe は携帯電話のライトを口に咥え、簡易トイレに入って排尿した。その直後、Fontes 被告が簡易トイレの壁に開けた穴からトイレ内に手を伸ばし、彼女を触った。

Jane Doe は悲鳴を上げてトイレから逃げ出し、必死に加害者を探したが発見できず、その後警備員に事情を説明し、警察に通報するように促したものの、警備員は「何万人もの人々の中から犯人を探すのは無理」であると仄めかし、Jane Doe を侮辱したとのことだ。

Jane Doe の弁護士は以下のように述べている。

「加害者が8つの簡易トイレに穴を開けることができたという事実ははフェスティバル主催者とセキュリティ請負業者による重大なセキュリティの失敗を示している。彼らはフェスの間中眠っていたのと同じである」