新型コロナ禍中、世界中のナイトクラブや音楽会場は、イベントが開催できず、また開催できたとしても感染拡大防止のためのガイドラインに沿って営業しなければならなかったため、売上を立てるのに苦労していた。中には、経営不信に陥り廃業せざるを得なかったベニューも少なくはなかった。
しかし、パンデミックから脱出しつつある現在も、ナイトライフ産業は苦しい現状に立たされ続けているようだ。

2015年に設立された、イギリスおよび国際的な夜間産業をサポートする非営利の貿易団体 NTIA (Night Time Industries Association) によると、イギリス国内のコストインフレはナイトライフ産業にも深刻な打撃となっており、新型コロナウイルスのパンデミック以降、かなりの数のベニューが経営不信で苦しんでいるとのことだ。


NTIA がイギリス国内における200以上の会場について調査したところ、44.7%は将来について不確実であり、今後12ヶ月間の事業の存続についても「不確実」であると答えている。
更に20.8%の会場は、来年もこの状況が続いた場合、事業が存続する「自信がない」と答えている。

これら企業の半数以上が、パンデミック前の運用コストと比較し、コストは30%以上増加していると回答。また、ビジネスで利益を上げられているかについての質問に対しては、48%は「かろうじて利益が出ている程度」であり、20.2%は「イベント開催の度に赤字となっている」と答えている。

これらの原因としては、イギリス国内における物価高騰が挙げられる。エネルギー価格の高騰により、結果として運営費も値上がりし、飲食物等のサプライチェーンの費用も増加するという、恐ろしいスパイラルに陥っているとのことだ。

そして、物価の高騰により生活費も上昇した人々は、可能な限りの節約モードとなっており、ショーやナイトクラブの客足も激減。更に、パンデミック中の経費削減のための人員カットで経験のあるスタッフ不足となっていることで、ほとんど経験のないスタッフばかりとなっていることで、運営状況は更に悪化、企業、会場、サプライヤー、イベントプロモーター、そしてパーティー参加者……それら全てが現在の状況の影響を受けている。

NTIA の CEO である Michael Kill は、以下のようにコメントしている。

状況は日々悪化している。

これらの数字は無視するのが非常に難しく、状況は日々悪化しており、運用コストは耐え難いものになっている。
チケットの販売、予約、(会場への)訪問の頻度の低下による顧客への影響が見え始めている。

我々の業界はまだ非常に脆弱であり、多くの人が別の危機を乗り切るのに苦労するだろう。
時間がない。首相は今すぐ行動し、VAT(日本の消費税のようなもの。間接税)を12.5%に引き下げ、中小企業ビジネスのエネルギー上限を導入するという業界からの要請に応えなければならない。