あなたは、誰かが大きな音で鼻をかむ音や鼻をすする音、タイピング音、咳をする音などがやけに気になったり、イライラしていないだろうか。
もしかしたら、それは「ミソフォニア」の症状かもしれない。

「ミソフォニア」とは、日本語では「音嫌悪症」と訳されている症状。特定の音がトリガーとなって、暴力的な言葉を発する、攻撃的になる等の症状が出てしまうというものだ。

キングス・カレッジ・ロンドンと、オックスフォード大学の研究によると、イギリスの一般人口の18.4%が、特定の音が自分にとって問題となることを訴えている「ミソフォニア」の症状を抱えているとのことだ。
ミソフォニアには上記の音の他、呼吸、あくび、誰かが何かを叩く音などの、ごく一般的な音に対して強い拒否反応を示すこともある。


NHS(英国の国民保険サービス)によると、ミソフォニアは、特に特定の音が人を怒らせるような場合であるとのことだが、他にもパニック症状に陥る場合も報告されている。

キングス・カレッジ・ロンドンと、オックスフォード大学の研究では、ミソフォニアについての詳細を調査するためにアンケートを実施。その結果、この病気について聞いたことがある人は13.6%、病気であると認識している人は2.3%であることが判明した。

また、ミソフォニアは男女ともによく見られ、年齢と共に症状が軽くなる傾向があることも明らかとなった。

この研究報告の主著者であるオックスフォード大学実験心理学科の臨床心理学者のジェーン・グレゴリー博士は「ミソフォニアの体験は、単に音にイライラするだけではない」と語っており、ミソフォニアはしばしば無力感や、不快な音から逃げられない時に閉じ込められるような感情を引き起こすこともあると述べている。

「特に、愛する人が発する音に反応してしまう場合、しばしば、ミソフォニアの人は、そのような反応をする自分自身を悪く思ってしまうのです」

研究の筆頭著者であるシリア・ヴィトラトゥ博士は次のように述べている。

我々は、他人が発する日常の音が、英国のほぼ5人に1人の生活に悪影響を与えていることを示した。
我々の研究は、多くの人が自分がミソフォニアであることを認識していない可能性があることも示唆している。

もう一つの聴覚過敏「ハイパーアクシス」

聴覚過敏には2つのタイプがあり、その一つがミソフォニアで、同症状が感情的な不快感をもたらすのに対し、もう一つのタイプ「ハイパーアクシス」は身体的な不快感がもたらされるとのことだ。
NHS によると、ハイパーアクシスは、日常の音が必要以上に大きく聞こえることで、時に痛みを伴うことがあるという。

ハイパーアクシスの症状を持つ人は、以下のような音に影響を受ける可能性がある。

・犬の鳴き声
・車のエンジン音
・誰かが鼻をかむ音
・掃除機の音
・コインのジャラジャラ音

NHS によると、このハイパーアクシスは片耳または両耳に起こり、突然発症することもあれば、時間をかけて発症することもあるという。