世界で、そしてここ日本でも絶大な人気と知名度を誇るイギリス出身の DJ / Producer、Jonas Blue(ジョナス・ブルー)が、新型コロナのパンデミックの影響で延期となっていた『JAPAN TOUR 2023』を3月に5都市で開催、東京 & 横浜に至っては SOLD OUT 公演となり、超大盛況の中で幕を閉じた。

そんな、トップスターへの階段を猛スピードで駆け登っていく Jonas Blue に iFLYER インタビューを決行! インタビューは、2023年3月20日(月)に Zepp DiverCity で開催された東京公演の前日に行われた。
 

iFLYER:FUJI ROCK 2022での公演時は、老若男女問わずたくさんのファンがステージに集まり大盛況でしたね! 今回の合計5か所を回るこのジャパンツアーは、新型コロナのパンデミックの影響で過去に2度キャンセルとなり、2020年当初に計画していたステージ内容からは FUJI ROCK FESTIVSAL を除いて3年越しで実現された、パンデック後のツアーとなります。ステージ内容はもちろん、心境の変化や新しい発見などはありましたか?

Jonas Blue:そうだね、3年経ったけど(その間に)アーティストとしても、音楽的にも成長できたと思う。以前の公演では、当たり前だけど多くのヒット曲や皆が僕を知るきっかけとなった楽曲などをプレイした。でも、新たな音楽を作る時間がたくさんあったんだ。3年間、新しいものだけに集中できる時間があった。今回のツアーは昔の知られた曲だけでなく、新しい曲もいっぱいあるから、それらの曲もプレイするよ。
公演の準備のための時間もたっぷりあった、制作面、ビジュアル、それから僕自身が心地良くいられること、日本人の文化に対しても、とても心地良さを感じている。今が一番、僕にとって最高な時間だと感じているよ。
 
iFLYER:今回、東京以外にも大阪・名古屋・福岡と回っていますが、それぞれの地域で滞在中にやったことや、印象的だったことは?

Jonas Blue:そうだね、観客の変化に確実に気が付いたよ。例えば、福岡は超満員だった、それに非常に賑やかだった。全部の公演がとても賑やかだったけどね。都市毎にほんの少しのカルチャーの違いを感じたかな。福岡の賑やかさは、何て言うか……とても落ち着いた感じで、リラックス感があったかな。でもそういったことを見れたのは、とても美しいことだったよ。
今夜は東京で公演なんだけど、東京は完全にワイルドになると、イギリスでの公演に少し似た感じになると確信している。だけど、そうだね、都市ごとに違った雰囲気があるのは間違いないよ。それは、僕がステージ上にいて、自然にフロアの皆に対して感じたことなんだ。客席にいる皆から感じるエナジーみたいなものかな。

iFLYER:パンデミックの影響で、日本のツアーが延期されたことはもちろん、世界の音楽シーンが止まってしまった時期がありましたが、その期間中、どんなことを考えていましたか?

Jonas Blue:日本は間違いなく(新型コロナのパンデミック)に影響された1つだった。2019年、UK ツアーを計画・開催し、最終公演を終え、次の日に日本へ渡航する予定だった。だけどもちろん、それは叶わなかった、そしてその日が(新型コロナの)パンデミックの初日となった。非常に残念だった。日本は僕にとって、音楽的にも文化的にもインスパイアされる場所の1つだし、僕が音楽を作るうえで(日本は)大きな役割を果たしているからね。だから日本に戻ってくることは、僕にとってすごく重要なことなんだ。
アーティストとして、音楽はもちろん全てにおいて成長しているから、今戻ってこられることは、すごく特別な時間であると感じるよ。
 
iFLYER:今回、ポップアップストアを開催されましたが、ご自身もストアにいらっしゃったとのことで、たくさんのファンと触れ合われたことと思います。その思い出を教えてください!

Jonas Blue:実はすごくクレイジーな話があるんだ。2018年にアルバム『BLUE』をリリースした際に、タワーレコードでアルバムのサイン会をした。その時に、当時6歳か7歳の少女が来てくれたんだ。彼女は若くして DJ 活動をしていて、DJ名が "DJ Rise" って言うんだけど、とっても可愛い子でね。それで昨日みんなで街を歩いてたら、たまたまその子に道端でばったり会ったんだよ。彼女は今10歳なんだ。昨日そのことを SNS にも投稿したんだけど、これは僕にとって物凄く特別なことなんだ。若くて献身的なファンで、尚且つ(僕と同じ音楽の)シーンの一員になりたい、僕のようなことをやりたいと思っていて……それを目の当たりにすることは、僕にとって非常に特別なことだと思った。何ていうか、一周回ってきた感じっていうのかな……彼女くらいの年齢の子たちにインスパイアしていることを実感するのは、とても素晴らしいことだ。

それからポップアップストアだね。僕は日本に限らず様々な場所でグッズ販売をしているけど、昨日開催したポップアップストアは本当に何か特別なことのように感じた。それは、みんながグッズを購入するだけのために来たのではなくて、僕の作る音楽が好きで、僕に会いたいと思って来てくれたからだよね。でもそれがどれだけ僕にインスピレーションを与えてくれているか、皆は気が付いていないんだ。
だから、昨日のポップアップストアでは、ただ単にグッズを売るのではなくて、人々との繋がり、誰が今ファンでいてくれているのかを理解することができた。それは本当に素晴らしいことだ。でも本当に、若くて可憐な DJ Rise に会ったことは、とても良かったと思っているよ。
 
iFLYER:先日、フェリックス・ヤーンとのコラボした新曲「Weekends」をリリースされました。通常のトラックに比べ BPM も速く、”Jonas Blue の曲” として真っ先にファンが思い浮かべるであろう "Always Be There" や ”Don't Wake Me Up" 等の曲と比べ、シンプルで、少しロック的なテイストや、ユーロビート的な要素も感じられましたが、この曲はどんな経緯で作られたのでしょうか? また楽曲製作時に印象に残った出来事などがあれば教えてください。

Jonas Blue:うん、そうだね、確かに。前にも言ったけど、僕は自分の音楽で新しいことに挑戦するのが好きなんだ。僕にとって、“Fast Car” や “Perfect Strangers” の様なアップリフティングな楽曲を作り続けることはとても簡単だ。だけど、そういった曲をちゃんと聴いてみると、それぞれが全く異なっていることが分かると思う。 “Fast Car” や “Perfect Strangers” をリリースした当時も、これらの曲は Jonas Blue っぽい曲でありつつ、音楽的には全く異なるサウンドだ。
常に新しいことを試すのが好きである大きな理由としては、同じことをしていると酷く退屈してしまうからだね。だから、異なったことをするのが好きなんだ。
それからロックの要素という点は、僕はまだそれを試したことがなくて、ずっとやりたいと思っていたことだった。ロックギターと、ある種のトロピカルハウスのメロディックなトラックで曲が始まる。この曲でそれをやってみることができた。最初にそれが聴こえ、その後、大きなユーロダンスの瞬間を迎える。
時々、その曲を初めてプレイすると、人々が曲を感じ取るのに時間が掛かることがある。“Perfect Strangers” を初めてプレイしたとき、皆が立ち去ったのを覚えている。でも今は “Perfect Strangers” をプレイすると、皆が泣いてしまうんだ。とても面白いよね。だけど “Weekends” に関しては、テンポがあるから、ドロップになった瞬間、皆が「レッツゴー!」みたいな、クレイジーな感じになるんだよね。とても興味深いよ。新曲だし、皆まだこの曲を知り始めている最中だと思うから。
だけど、(この曲の)エナジーとテンポがあるから、みんな「レッツゴー!楽しい時間を過ごそうぜ!」ってなるんだよね。素晴らしいよ。
このトラックの2回目のドロップの前に「whoop whoop」というサウンドを入れた。僕とFelix は、2日間もそのサウンドを入れるかどうか議論して、結局入れることになった。 日本のような場所では、そういった詳細な部分を分かってくれるし、もしかしたらその歌詞は聴こえないかもしれないけど、もし聴こえたらとても良いサウンドに聴こえると思う。そう、僕はそういうのが好きなんだよね。
 
iFLYER:個人的に何度もあなたの公演を拝見させて頂いていますが、FUJI ROCK FESTIVAL 2022 では、トレンドの楽曲を交えつつも、Jonas Blue の特徴とも言える明るくポップな楽曲あり、BE:FIRST の共演ありで、ステージの演出、ビジュアル、全てが進化しているように感じました。FUJI ROCK FESTIVAL 2022 での公演は日本での3年ぶりの公演でしたが、その際に感じたことや、この日のために行ったことがあれば教えてください。

Jonas Blue:そうだね、さっきも言ったけど、その期間はアーティストしても成長出来たし、ステージのデザインも少し変わったかな。たぶん2018年当時よりも、全てが大きくなったかな。常に成長し続けているんだ。それに、BE:FIRST と一緒にステージに立つことや、彼らの振り付けをすることも初めてのことで、これまでとは非常にことなることをしたけれど、皆は喜んでくれた。これもさっきも言ったことだけど、新たなことにチャレンジするのが好きなんだ。時々うまくいったり、うまくいかないこともあるけど、今回のチャレンジは本当に良かったと思うし、素晴らしかったよ。
 
iFLYER:あなたのファン層は、日本では老若男女とても幅広く、なかなかそういったアーティストはいないと思います。日本ではもちろんのこと、今や世界のトップアーティストですが、デビュー当時から変わらないもの、または楽曲や公演時に常に心掛けていることはありますか?

Jonas Blue:常に楽曲を通して伝えたいメッセージは、幸せ、ポジティブ、エネルギーを感じられること。ただ活動しているだけのアーティストは山ほどいると思うし、一般的に、多くが悲しい曲だったりもする。人々はそれを愛し、それに共鳴する。だけど僕の場合は違う。だって、僕はそうじゃない、それは僕の人生ではないからね。
昨日開催したポップアップストアでもそうだったけど、(ポップアップストアに来た)皆がメモを渡してくれたり、僕のそばに来て、僕の音楽が自分を笑顔にしてくれた、あらゆる時期を乗り越える手助けをしてくれた、と伝えてくれるんだ。新しい曲を作るときに僕が常に考えていることは、その曲にそういったメッセージはあるかどうか、この曲はみんなを笑顔にしてくれるのか、この曲で多くの人がダンスしてくれるのか、ということだ。もしそれらが曲から感じられない場合、僕はその曲をリリースしないだろうね。それらの感覚とメッセージを、確実に曲に込めなければならない。もし僕がそう感じないなら、他の誰も感じることがないだろう。だから僕から始めなければいけないし、僕自身がそのメッセージを感じ取り、周囲に浸透させられると思わなければならない。そしてその後、どうなるかを確認する。それが曲全体を通してとても重要なことだ。そこに幸せ、ポジティブ、エネルギー、それから笑顔があることがね。