来夏にオリンピックの開催を控えるフランスでは、現在一つの大きな問題を抱えている。それは、トコジラミ(南京虫)問題だ。
フランス・パリ当局は、トコジラミ対策が急務であると警告、パリ五輪を前に、この害虫対策に取り組まなければならないとコメントしている。
ここ数週間のうちに、パリでは電車、映画館等でトコジラミが目撃されているとのことだ。

トコジラミは電車や映画館の他にも、家庭、病院等でも目撃されており、フランスの運輸大臣であるクレマン・ボーヌは X(Twitter)にて以下のようにコメントしている。

私は来週、交通事業者を集め、乗客の利益のために実施された措置について情報を提供し、行動する予定である。

トコジラミは、公衆衛生上の問題であり、そのように矛腐れるべきだ。

フランス全土が2024年にオリンピックとパラリンピックの開催を控えている今、国家はこの惨劇にふさわしい行動計画を制定するため、関係者を緊急に集結させなければならない。

この投稿は、エマニュエル・グレゴワール第一パリ副市長が市役所を代表してエリザベス・ボーン首相にこの "惨劇" への対処を求める書簡を書いた翌日に行われた。

エマニュエル・グレゴワール第一パリ副市長は、金曜日、フランスの公共サービス、ラジオ放送局であるラジオ・フランスが運営するラジオ・ネットワーク Franceinfo(フランス・アンフォ)に対し、「トコジラミ対策は住宅保険に含まれるべき」だと語っている。

彼は、トコジラミの蔓延を発見した場合、害虫駆除の費用を心配する住民を助けることができる、と述べた。市は、害虫駆除のミーティングを開催するよう政府に要請しているとのことだ。

8月には、ある X ユーザーが、パリの映画館の座席でトコジラミ被害に遭ったとする写真を投稿しており、これに対して多くの懸念が寄せられたため、この映画館を運営する UGC シネマズは9月4日、顧客に謝罪する手紙を掲載し、緊急措置を講じていると付け加えた。
 

フランスのエネルギー移行省は、公式サイトにて、トコジラミは海外旅行の増加や殺虫剤への耐性が原因で増加している可能性が高いと述べている。

日本でも急速に広がるトコジラミの被害

なお、トコジラミ被害はフランスに限った話ではない。
国境が解放されたことに加え、円安の影響でインバウンド客が一気に増えた日本でも、新宿等の都心のビジネスホテルを中心に、トコジラミ被害が相次いで報告されている。これらのトコジラミは主に、海外からの旅行客の鞄や服等について日本に持ち込まれ、ホテル等で増殖しているとのことで、一度増えてしまうと駆除のために時間も駆除料金もかかるため、悪質なホテルではトコジラミのクレームが利用客から出ても、対処しないまま次の客を宿泊させてしまう場合もあるとのことだ。

更に厄介なことに、市販の殺虫剤が効かない「スーパー南京虫」「スーパートコジラミ」と呼ばれる、殺虫成分に抵抗性のあるトコジラミも報告されているという。

なお、トコジラミは暗くなると床板の隙間、畳の間、マットレスの下から出てきて吸血するという。トコジラミがいる場合はトコジラミによる黒っぽい墨汁のような血糞が壁紙や床、ベッド等に発見されることも多いので、日本でもホテル等に泊まる際には、荷物を置く前に確認してみたほうが良いかもしれない。