2023年、世界の音楽業界はストリーミングサービスの急増により10.2%という堅調な成長を記録し、収益は286億ドルという驚異的な数字に達した。これは、9年連続の増加となり、前年の9%という数字を上回ったものとなった。この成長は主にストリーミング・サービスの継続的な増加によって推進されており、現在ではストリーミング・サービスが世界の音楽収益の3分の2以上を占めているとのことだ。

また、有料音楽ストリーミングのサブスクリプション数は初めて5億件を突破、サブスクリプション・ストリーミング数は11.2%増加した。
現在、世界中で6億7,700万人の有料サブスクリプション・アカウントのユーザーがおり、特に急速な成長を見せたラテンアメリカ(+19.4%)、サハラ以南のアフリカ(+24.7%)では、ストリーミングの普及に加えて地元スターの台頭がこれに貢献したようだ。

しかし、世界的な音楽収益の伸びの一方で、様々な問題も浮上している。
上記の明るい数字にもかかわらず、音楽業界幹部らは今後、音楽業界に「変革の瞬間」が訪れると警告している。レコード音楽業界、特にユニバーサルとワーナーでは、数百人レベルの解雇が発生しており、上級幹部らは新たな音楽環境に合わせて、レーベルがどのように機能するかを "再設計" する必要があると話しているとのことだ。

ユニバーサル・ミュージック・グループと TikTok の論争、更に AI の台頭に起因する様々なトラブルや脅威が音楽業界の懸念材料となっている。
そんな中、ソニー・ミュージックエンタテインメントのグローバル・デジタル・ビジネス担当のデニス・クーカー氏は、聴衆が「細分化された」現代世界では、音楽の発見がはるかに困難になっていると警告している。

2024年の今年、そして来年あたりは、音楽業界がこれまでの姿勢から大きな変化を見せる可能性は非常に高い。何か変革が起きるたびに割りを食うのはいつもアーティスト側であることが多い音楽業界だが、今後アーティストが更に自由に、そして生き生きと創作活動ができるような業界になることを願うばかりだ。