音楽界の巨匠であり、Michael Jackson（マイケル・ジャクソン）のプロデュースでも有名な Quincy Jones（クインシー・ジョーンズ）が11月3日、カリフォルニアの自宅で91歳で亡くなった。米 The New York Times によると、死因は明らかにされていないとのことだ。

Quincy Jones はグラミー賞で80回のノミネートと28の受賞歴を持ち、その業績は類を見ない。Michael Jacksonのアルバム『Thriller（スリラー）』や『Off the Wall（オフ・ザ・ウォール）』『Bad（バッド）』のプロデュースを手がけ、彼の多ジャンルにわたる活動は音楽シーンに大きな影響を与えたといっても過言はないだろう。
 
1933年にアメリカ・シカゴで生まれた Quincy Jones は10歳でトランペットを始め、学生時代には Ray Charles（レイ・チャールズ）とバンドを結成。ボストンのバークリー音楽大学を経てトランペット・プレーヤーとしてライオネル・ハンプトン楽団に参加。1957年にヨーロッパへと渡り、最高水準にある音楽教師の一人として知られるフランスの Nadia Boulanger（ナディア・ブーランジェ）に師事し、フランスの作曲家 Pierre Boulez（ピエール・ブーレーズ）主催のイベントで電子音楽に触れ、その後 Ray Charles（レイ・チャールズ）、Count Basie（カウント・ベイシー）、Dinah Washington（ディナ・ワシントン）らと共に活躍し、シンセサイザーを自らの音楽に取り入れていった。

1960年代には Mercury Records（マーキュリー・レコード）の副社長としてレコード業界での活動を本格化させ、映画『質屋（原題:The Pawnbroker）』など約40本の映画音楽や数百本のテレビ番組の作曲を担当。70年代後半にはミュージカル『The Wiz』で Michael Jackson と出会い、彼の名盤『Thriller』を含む3枚のアルバムをプロデュースすることになったという。
 
また、Quincy Jones は音楽業界にとどまらず、慈善活動やプロデュース業にも積極的に関わり、1985年には「We Are the World」を手がけてアフリカの飢餓救済に貢献。Steven Spielberg（スティーブン・スピルバーグ）監督の映画『The Color Purple（カラーパープル）』の制作を担い、現在テレビ司会者として有名な Oprah Winfrey（オプラ・ウィンフリー）を世に送り出している。後年は Will Smith（ウィル・スミス）が主演として人気のあったドラマ「The Fresh Prince of Bel-Air」などのテレビ番組や Qwest Records（クウェスト・レコード）、Vibe誌の創刊、そして音楽ストリーミングサービス Qwest TVの設立など、多岐にわたる活動を展開した。
 
Quincy Jones は音楽界での強い存在感を持ち続け、Travis Scott（トラヴィス・スコット）と Young Thug（ヤング・サグ）の「Out West」のミュージックビデオにも出演、2022年の The Weeknd（ザ・ウィークエンド）のアルバム『Dawn FM』では自身のトラウマについてナレーションで語っている。2021年にはアトランタのブラック・ミュージック・ウォーク・オブ・フェイムの初代殿堂入りも果たした。
   
Quincy Jones の家族は声明で以下のようにコメントしている。

この悲しみは計り知れませんが、父クインシーが生きた素晴らしい人生を称え、彼がこの世にただ一人の存在であったことを誇りに思います。クインシーの愛と喜びは、彼が生み出したすべての作品を通じて永遠に生き続けるでしょう。