今年7月初頭に25回目の開催にして最終開催となったセルビアの音楽フェス「EXIT Festival（エグジット・フェスティバル）」の創設者/CEO の Dušan Kovačević（ドゥシャン・コヴァチェヴィッチ）氏が、エジプト・ギザの大ピラミッドでの複数日間、複数ステージで展開される音楽フェスティバルを企画中であることを IQ Magazine が報じている。

Dušan Kovačević 氏は6月に発表した声明の中で、「EXIT Festival」は、2024年11月に発生し、16人が死亡したセルビアのノヴィ・サド駅の屋根崩落事故を巡る学生主導の反汚職デモを支持したとして、セルビア政府からの圧力を受けていたと明かしており「EXIT はデモに同調したため政府からの資金援助を全面的に打ち切られた」と述べている。

同事故では、1964年に建てられた駅舎を中国の支援を受け、中国企業の中国鉄路国際有限公司（CRIC）と中国通信建設有限公司（CCCC）が改修し、リニューアル・オープンしたノヴィ・サド駅の待合所の張り出し屋根が崩落、16人が死亡、1人が重症を負った。崩落した屋根部分は手付かずのままとなっていたが、専門家は "改修工事によって建物の構造変更が行われ、間接的に屋根の崩壊を引き起こした可能性がある" ことを指摘。セルビア国内で「反中国」の声が高まった。
なお、同工事には1600万ユーロ（約26億円）が投じられていたが、当局はこの工事がヨーロッパの基準を満たしていたとする一方で、関連文書は全て機密扱いとされていた。その情報の不透明さが大きな批判を受け、更にそこから政府の汚職、メディアの検閲等への不満も合わさり、首相や建設相の辞任を求める大規模デモへと発展した。

Dušan Kovačević 氏によると、ピラミッドで開催されるこの「EXIT Festival」のスピンオフ・フェスティバルは、2026年10月に開催予定となっており、新たな開拓地の精神を反映するため、新たな名称になるとのことだ。また、音楽の方向性は、EXIT の長年のアイデンティティであるエレクトロニック・ミュージックに大きく依存する予定であるという。

Dušan Kovačević 氏は以下のように語っている。

ピラミッドは非常に象徴的な存在なので、このイベントには EXIT の全てを体現できると確信している。

世界中には闇が溢れているが、ピラミッドを光の柱として捉えている人は多く、我々はその力強いメッセージを伝えていきたいと思っている。

今回のイベントは、ギザのピラミッドで複数日＆複数ステージで開催される初のフェスティバルとなるが、同会場では近年、著名な ダンスミュージック/エレクトロニック・ミュージックのパフォーマンスが多数開催されており、Carl Cox（カール・コックス）、Above & Beyond（アバヴ＆ビヨンド）、Keinemusik（カイネムジーク）らが出演してきている。更に、今年10月10日には Anyma（アニマ）も出演を予定している。

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主催者は、 Jennifer Lopez（ジェニファー・ロペス）、John Legend（ジョン・レジェンド）、Black Eyed Peas（ブラック・アイド・ピーズ）等のアーティストの大規模コンサートを手掛けてきたエジプト拠点のプロモーター「Venture Lifestyle」と提携する予定であると報じられている。

最終開催を迎える以前、EXIT Festival はペトロヴァラディン要塞に毎年20万人を動員し「European Festival of the Year」を2部門受賞、Tiësto（ティエスト）、Martin Garrix（マーティン・ギャリックス）、Eric Prydz（エリック・プライズ）といった世界的 EDM スターを招聘していた。
 
Dušan Kovačević 氏は EXIT が将来的にセルビアに再上陸する可能性も示唆しているが、今のところはピラミッドへの進出を目下の目標としているようだ。
現時点では、まだ同フェスティバルの公式名称や開催日程等の詳細は発表されていない。