北米を代表するダンスミュージック主催企業「Insomniac（インソムニアック）」が、アメリカ・マイアミにある２つの人気ベニュー「Club Space」と「Factory Town」のオーナーに対し、激しい連邦訴訟を起こした。

2025年8月4日にフロリダ州南部地区連邦裁判所に提出された51ページに及ぶ訴状によると、7万5,000ドル（約1,116万円）を超える存在賠償、Insomniac 社のブランドと今後のイベントを保護するための差止命令、そして資金流用を阻止するための司法介入を求めている。
この訴訟は、マイアミのナイトライフ事業主である David Sinopoli 氏、Davide L. Danese 氏、Jose Gabriel Coloma Cano 氏（総称：CDD）による契約違反と悪意ある行為を主張したものとなる。

▼ Club Space

Insomniac 社は、2019年に上の被告たちと提携し、マイアミのダウンタウンのナイトライフの定番である「Club Space」を再び活性化させたと主張、訴状によると、Insomniac 社は「Club Space」の株式51％を確保し、運営の安定化を図るため長期リリース契約を交渉した。
この「Club Space」の成功を受けて、２つ目の事業である「Factory Town」がアラパタ地区に設立された。この大型屋外会場は「Miami Music Week」期間中に地元で人気を博している。Insomniac 社は「Factory Town」への単独出資を行い、リース契約、施設改修、イベント費用に4,000万ドル（約59億5,074万円）以上を投資したと主張。しかし訴状によると、パートナーシップ契約の締結が進む中、被告らは署名を撤回し「以前の合意額より数百万ドル増額」を要求、より大きな所有権を求めたとのことだ。

▼ Factory Town

Insomniac は裁判資料の中で、これらの要求を「言語道断」と呼び、被告らの目的は「Insomniac が Club Space ブランドを守り、CDD 当事者らが Insomniac に与えている回復不能な損害を軽減すること」であるとしている。

Insomniac の弁護士である Jordan Shaw 氏は以下のように述べている。

これは最後の手段だった。
訴訟を避けるためにできる限りのことをした。率直に言って、この訴訟から得たいのは、我々が懸命に築き上げてきた会場とコミュニティとの平和と継続的な繁栄だ。これは、収益を700％以上も押し上げてきた過半数株主を少数株主が追い出そうとする試みであると我々は考えている。

しかし「Club Space」と「Factory Town」の経営者らは、Insomniac の訴えを強く否定している。「Club Space」に近い情報筋はコメントを求められた際、この訴訟は「我々を脅すための交渉戦術だ」と述べた。

我々は Factory Town を立ち上げ、そのプロジェクトを Insomniac に持ち込んだ。我々はプロジェクトに取り組んでいたが、彼らは我々を締め出そうとした。そして、我々は Factory Town に関して、2026年以降の協力を拒否し、公平だと考える合意に達することができなかったため、今度は彼らは我々の他の事業に対して報復している。我々は、双方にとっての真の核心となる問題について、公正な解決策に向けて取り組んでいる。

CDD の弁護士、Bruce A. Weil 氏は声明の中で、この訴訟を「完全な捏造」と呼び、Insomniac を「略奪的」と評し、「クライアントの善意を悪用している」と非難。「証拠書類は、Insomniac 社が契約違反を犯しただけではなく、受託者責任にも違反し、無謀で、意図的な行為であったことを示すだろう」と述べ、Insomniac 社の行為は「私のクライアントを妨害するための意図的な陰謀と策略」と形容。またクライアントが「膨大な反訴」を準備しているとも述べており、今後「複数の訴訟」が起こされる可能性を示唆した。

これに対し Insomniac 社の弁護士は、妨害行為という概念を否定し、この紛争は説明責任の問題であると主張している。