フランスの SNS インフルエンサーが、先週金曜日、見知らぬ人に注射器を注射するふりをする動画を撮影し、SNS に投稿したとして、懲役6ヶ月の判決を受けた。当局は、フランス全土で注射器による無差別攻撃が相次ぐ中、この行為が国民の不安を煽ったとして非難している。

パリ刑事裁判書は、Amine Mojito(アミン・モヒート)という名で活動する27歳のインフルエンサー、Ilan M(イラン・M)氏に対し、懲役12ヶ月、執行猶予6ヶ月の判決を下した。
オーストラリアを拠点とする商業ニュースサイト News.com.au の報道によると、イラン氏は「就労不能に至らない武器を用いた暴力行為」の罪で有罪判決を受け、1,500ユーロ(約26万7,000円)の罰金を科された。

https://www.instagram.com/amine_mojitonew/

この事件は、6月に開催された毎年恒例の音楽フェス「Fête de la Musique(フェット・ドゥ・ラ・ミュージック)」の直前に、イラン氏が「Mojito le piqueur fou(モヒートの狂気の針)」というキャプションを付けた動画を TikTok に投稿したことにより起きたもので、この動画の中でイラン氏は空の注射器を持って何も知らない見知らぬ人々に近づき、注射器攻撃をするふりをして、攻撃を受けて恐怖に怯える人々の反応を撮影している。

フランスでは現在、大規模音楽イベントやフェスティバルでの組織的な注射器攻撃の報告が相次いでおり「Fête de la Musique」でも警察は145件もの通報を受けていたとのことだ。そんな中でのこのイラン氏の行為について、検察は「このいたずらが意図的か否かに関わらず、この現象(相次ぐ注射器攻撃)を増長し、国民の恐怖を煽った」と主張。

公判中、イラン氏は自身の行為を認めたものの、その「潜在的な影響については知らなかった」と主張したと伝えられている。
イラン氏は以下のように述べている。

スペインやポルトガルのインターネットで見たものを真似て、こんなイタズラをしようなんて、とんでもない考えを思いつきました。

人を傷つけるなんて考えもしなかったんです。それが僕のミスでした。他人のことではなく、自分のことばかり考えていました。

イラン氏の弁護人である Marie Claret de Fleurieu 氏は、動画が巻き起こした激しい世論の反応に比べれば、今回の判決は控えめなものだったと述べた。彼女は “イラン氏は既に2ヶ月近くも公判前勾留されており、保護のために独房監禁されていた” と主張し、裁判所に「恩赦」を求めた。
Marie Claret de Fleurieu 氏はフランスの新聞 Libération 紙に以下のように語った。

今回の判決は、当初のメディアの騒ぎの後、議論を再び均衡の取れたものにしてくれました。

公共秩序の維持と、私の依頼人の基本的権利の維持との間のバランスを少し取り戻すものです。

裁判所は懲役刑と罰金に加え、モヒート被告に対し、3年間の武器の所有と携帯を禁じた。