『MANDALAY STAR -ミャンマー民族音楽への旅-』
ヤンゴンでミャンマー特有の21個の音階のある太鼓、サインワインを手に入れた。それを大きな風呂桶みたいな綺麗に彫刻された木枠にぶら下げるのだが、ヤンゴンでは木の外枠は手に入れられず、マンダレーでしか手に入らないと言われた。それを探すのがこの旅の目的だった。マンダレーでサインワインの工房にたどり着くと、5人の家族がコツコツと働いていた。その後ふと立ち寄ったサインワイン楽団の一家が、ストーリーを先に進めてくれた。ピューという女の子が歌い、サインワインを叩く。これはいいなと思い、ピューの一座の録音をすることになった。太ったオバサンが怠惰な感じで座って歌う。男はぶら下がった大きなゴングを、ゆっくりとフラフラしながら叩く。舞台袖で女たちが化粧をし、男たちはキンパという噛みタバコを噛む。怪しく、綺麗でチープなテントは紙でできている。テントの外側には無数の電球があり、オレンジ色の光がピカピカ点滅している。村の金持ちがお金を出し、地元の人々を集めて寄進祭をしており、ピューの楽団は夕方から夜中の1時ごろまで演奏する。伝統音楽とポップス、サインワインとエレクトリックベース、伝統音楽とロック、洗練とカオス、トラディショナル音楽とアイドル……ピューはトラッドアイドルなんだと思った。ピューが革ジャンを着てよくある感じのロックを歌う。岸野雄一さんが「こういう女、よくいるんだよな」と言う。コメディアンが盛り立て、ドリフの頭に金ダライが落ちてくるのと同じようなシーンが展開する。ここには昭和のニッポンのような、昔の素直な笑いがある。世界は急速に動いているのに……。
監督・音楽・プロデューサー:川端 潤
取材・撮影:万琳はるえ
翻訳:井上さゆり/U C.THANG ZA TUAN(リャンの父) /Daw Ohnmar Myat/小林のりこ
字幕:皆川秀
製作:株式会社プロジェクトラム / エアプレーンレーベル
配給・宣伝:株式会社プロジェクトラム / エアプレーンレーベル
2018年/日本/カラー/92分/ドキュメンタリー
【配信開始日時】
2020/10/19
15:00~
【チケット】
¥1,000