Weekend Traveler 京都編 New Year's Party
Brooklyn Night Bazaar / Kyoto, Japan
今から140年前、明治5年に改暦されるまで長らく日本のこよみは月の満ち欠けを1ヶ月とする太陰暦でした。月の始まりを「ついたち」と呼ぶのは「つきたち」から転じたもので、満月にいたる最初の状態「新月」を指します。
太古の昔より、人間に限らず大自然に息づく生命は月の影響を受けてきました。月の満ち欠けは、死と生の再生のサイクルであり、月の引力は生命の誕生を促します。厳冬期の「ついたち」を1年の始まりとしたのは、私たちの祖先による再生への勝鬨であり、絶望への宣戦布告であります。
長く暗い冬もやがて終わりの時を迎え、不毛と思えた大地にも花咲く春がやってきます。朽ちた大木が新しい生命を育む揺り籠となり、大潮の夜にはたくさんの生命が誕生します。
「鼓動初め(たたきぞめ)」は、生命の律動である心臓の鼓動を力強い和太鼓の音に託し、大自然の恩恵と生命の再生を喜ぶ旧正月の祝祭です。逆境に苦しむ人々から、孤独や不安な気持ちをたたき出し、生きる希望を見出していけるよう願って行われます。