Photo Credits: Caesar Sebastian

もはや音楽だけではキャリアの幅が収まらないSteve Aoki
音楽、映画、アパレル、レーベル活動、イベント企画などSteve Aokiは音楽制作だけではなく、DIM MAKレーベル主宰、ロッキー青木の息子、DIM MAKアパレルデザイナーなど様々な顔を持つ。

今回は、音楽に限らず、エンターテインメントに限界を作らないSteve Aokiに様々な質問をぶつけてみた。

再び日本へようこそ!日本のファンの特別なところは、どんなところですか?

まず、僕自身が日本人。国籍はアメリカ人だけど、どこにいても僕は常に、日本の国旗を自分の肩書きとして意識している。僕の名字だって「青木」日本の名前。だから、日本に来る度に、僕の音楽を大好きでいてくれる日本人を見ると、世界中を旅し日本人であることを誇りに思う。
 


あと、日本のファンは、音楽に対するパッションが比べ物にならないくらいのレベル。そこに一番惹かれるかな。僕にとって一番重要なのは、エモーションの激しさ。だって、そのエモーションが強ければ強いほど、ファンとのコネクションを実感する。これは、ファンとの触れ合いだけじゃなくて、実際に自分が音楽をプレイするときに、観客のエモーションが強いほど思い出に刻まれやすい。

日本のファンは、この激しいエモーションがありながらも、とても優しく礼儀正しい。この両面を兼ね備えていて、僕の音楽が好きであればあるほど、僕とファンとのフィジカルな距離も縮まる。
海外でプレイしていて、ファンとの距離が近すぎると怪我をするんじゃないかって思うくらい、手やボディパーツを持って行かれることがあるよ。(笑)
でも、日本のファンは絶対そのようなことをしない。とてもスイートで優しい。だから、自分もそのようなファンには容赦なく近づいても大丈夫だとわかる。もう日本のファンみんなにハグしたいよ!

今回のElectric Zoo Beach TokyoやBlue! By Music Circusには専属のVJも来日されたんですよね?



そうだよ。今回は、僕のパーソナルVJも一緒に来日したんだ。僕のショーでビジュアル技術は欠かせない要素だし、僕自身もビジュアルの段階からかなり大きく関わっている。僕のショーの一部のビジュアルは、ロサンゼルスのクリエイティブ会社と連携している。彼らに僕からアイデアのムード・ボードを渡すの。そのアイデアの例としては、あのタイタニックのビジュアルね。僕は、あの名シーンをレオとケイトの顔の代わりに僕の顔を入れようぜ!みたいな面白さを重視して、勢いでアイデアが浮かんだよ。あと、DIM MAKのブランド面では、ライオンキングのDIM MAK Tシャツも販売したよ。でもシンバの顔じゃなくて、僕の顔を入れようぜ!みたいな本当に単純なアイデア。このライオンキングのアイデアは、ステージ上のビジュアルにも活かして、今では代表的なビジュアルになっているよ。僕のショーのコンセプトは、「楽しむこと」だから、あまり真剣にならず、アイデアも楽しさを基本にしているよ。みんなに笑ってもらいたいし、すべてはその瞬間を楽しむこと。



最近Instagramに投稿した#NeonCaveこと新スタジオの自慢のポイントとは?

今回の新しいスタジオは、ユニークな要素が沢山あるよ。
例えば、スタジオは、絶対に平らな天井ではなく、ギザギザの角度のある天井が好まれる。それは、音が反射しやすいから、音の面で効果的なんだ。これを実現するために、実際のスタジオの構造面から素晴らしいチームFocalの協力のもと可能になったんだ。

実は、今回の新スタジオは、すでにある程度の防音が組み立てられたシアタールームだったの。もちろん、家で映画とかをのんびり見たいけれど、それ以上にもっと実用的なスタジオがラスベガスの自宅にも必要だったからね。そして、完全に防音にして、洞窟のような天井を意識したデザインにしたんだ。


天井以外には、ムード(雰囲気)を意識したかな。ほとんどのスタジオは入ると暗い雰囲気で、壁の色もダークで照明の明るさも低い。これは、ほとんどのプロデューサーやエンジニアは、クリニカルな雰囲気を好まないから。でも、僕はこの一般的な趣向から真逆のスタイルを選んだ。僕の場合は、このスタジオは照明を明るくしたかった。もちろん他のプロデューサーと一緒に作業するときは、彼らの好みに合わせるけれど、ほとんどの時間は僕が過ごすから基準は自分の趣向にそろえた。この新スタジオは、ロサンゼルスにあるヴォーカルブースやコントロールルームが完備されたスタジオではなく、もっとコラボレーションが生まれる広大な部屋にしたかった。様々なソングライター、ミュージシャン、アーティストを迎え入れるために、ホスピタリティとエネルギーという二つのキーワードを基にした環境を想像して作ったんだ。

もうスタジオについては、一時間以上も話せちゃうよ。(笑)

でも、あと言うとしたら、僕にカスタマイズされたデスクかな。あれは、Steven Slateのタッチスクリーンテクノロジーが搭載されているんだ。実は、この新スタジオのパーツを紹介するビデオを、僕のYoutubeチャンネルにアップする予定だから、詳しく知りたい人は、是非そっちをチェックしてね!
実は、僕のスタジオは全くまだ完成されていないんだよ。写真をよーく見ると楽器が一つも置いていないし、シンセも全くない。あるのは、僕のパソコンに繋げる小さなMIDIコントローラー。でも、これもすべて僕のスタイルに基づいているの。僕は、大きなパソコンはいらない。ツアー中に作った楽曲をパソコンに保存し、その内容を修正したりする行程をパソコンへのプラグインを通してやるクリエティブスペースなんだよね、スタジオは。すべて僕の音楽を作るスタイルに基づいて、スタジオのデザインは構成されているよ。
 

もうアーティストは、その新スタジオに出入りしていますか?

まだ友達とか知り合いのプロデューサーが下見に来たくらいかな。歌手とかは来ていないね。ほとんどのヴォーカルトラックは、ロサンゼルスのDIM MAKスタジオでやったの。例えば、Adam Lambertとの「Can’t Go Home」、Walk The Moonとの「Back To You」、Lil Uzi VertとのEPも全部ロサンゼルスのスタジオだね。でもLil Uzi VertとのEPの一部は、実はアトランタでやったの。DIM MAKの20周年アニバーサリーパーティーをアトランタでやったからね。



最近Lil Uzi Vertとスタジオ入りしましたね?彼とのリリースはありますか?

Lil Uzi VertとのEPは、公式リリースだからミックステープではなくて5曲入りのEPだよ。このうち1曲はすでに日本のショーでも公開していて、アトランタのDIM MAK 20周年アニバーサリーパーティーでは、全曲を公開したよ。あのパーティーは、TI、2 Chainz、Migos、Lil Uzi Vert、Rich The Kidとか、とにかくクレイジーだったよ。このEPは僕のアルバム『Neon Future III』より先にリリースされるよ!

彼はどのように発掘したの?

Lil Uzi Vertは、Carnageとの「What Do You Want」で知ったよ。
それをきっかけに、彼の曲をライブとかでもかけるようになって。ちょうど1年前あたりに彼に連絡して、そこから一緒に仕事したいねっていう流れになった。でも、互いの多忙なスケジュールでようやく1年後に一緒にスタジオ入りすることが出来た。これで痛感したのが、自分のアイデアを最も効率的に、このようなヴォーカリスト、ラッパー、歌手と一緒に作り上げるためには、彼らと一緒にスタジオに入ることが不可欠。一番効果的なクリエティビティの交う空間が出来上がる。実際Lil Uzi Vertとともロサンゼルスの僕のDIM MAKスタジオを1時間ブッキングして、かなり制作が進んだよ。
 

バンドと一緒に楽曲制作をするのが好きと公言していますが、それはなぜ?

僕は、音楽の入りがギター、ベース、ヴォーカルなどの要素を持つバンドだったからかな。ロックパンクバンドを聞いて育った。だから、Linkin Park、Fall Out Boy、WeezerのRivers Cuomoは、僕が小さいときから聞いて、憧れの存在でもあったアーティストだから、彼らと今では実際に一緒のスタジオで楽曲制作をしていることが信じられないよ。つまりバンド音楽を聞いて育ったバックグラウンドが一番の理由だと思う。

でもそれ以外に、普段エレクトロニックミュージックがバンドミュージックとコラボすることが頻繁にないから、コラボすることで、かなりフレッシュな音が仕上がることも大きい影響かな。フレッシュさを持ってくるだけでなく、それがヒットすればEDMというサウンドを更に広めるし、きっとこのような形のコラボが増えることも期待できるよ。
 

Neon Future IIIの年内リリースは期待できますか?

年内にリリースできるかは分からないね。あのアルバムでの興味深いことは、クラブ曲ではないということ。だから、普通にファンに共有することが出来る。僕は、基本出来上がった曲はすぐに共有するタイプ。だって、それを受け止める人がいないから。でも時には、それが裏目に出ることもあって、8~11ヶ月先にリリースされる曲をその期間を守らずに公開しちゃうことがあるからね。でも今回の楽曲もまだリリースできないから楽しみに貯めておくよ。でも、例えば、DVBBSと2 Chainzとのコラボ曲は、2 Chainzのヴォーカルをミックスした2時間後には、アトランタの公演で公開したよ。だって2 Chainzがゲスト出演していたんだよ。公開しないわけには行かなかったよ。それ以降ずっとプレイしている一曲だよ。まだこのコラボ曲は、契約面でのリリースなどが整っていないから、いつリリースされるか未定だけれど、僕のセットでのハイライトであることは間違いないよ。

今回Neon Future IIIと、これだけ「未来」に関する音楽表現を続けていますが、そもそも、なぜこのコンセプトになったんですか?

Ray Kurzweilの「Singularity」っていう本が一番のきっかけだね。



彼の本は、すべて読んでいるよ。彼が出版した本は一環して、高速に発達する技術が生む不可能だと思われた出来事の実現について話しているよ。例えば、この部屋の大きさくらいのパソコンは250,000ドルほどしたものが、数百年進むだけで、iPhoneという200ドルほどで購入できるものに変わったよね?

このように、技術は更にリーズナブルに、更にスマートに、更にコンパクトに急速に発達していく。その発達のタイムラインには、規則はない。
それだけ突然、不可能が可能になる。このような内容に興味を持つようになり、「フューチャー」まさに未来に関する本をもっと読むようになったの。例えば、医学の将来に関する本を読むようになった。そして、それを音楽で表現することにした。その最初の表現がまさに原点でもあった本を基に「Singularity」っていう曲を書いて、Ray Kurzweilをミュージックビデオに起用することで、サイエンスフィクションのようなクレイジーなものに仕上がったよ。つまり「テクノロジーの可能性を音楽で表現すること」を総称する言葉を作りたくて、思いついたのが「Neon Future」だったの。だから、「Neon Future」とは、フューチャーの視点を、僕が得意とする音楽のシンボリックなフォーマットでの表現を意味する。これは、自分だけではなく、このカルチャーに影響を与えた僕の読んだ本の筆者など、その業界の達人をも巻き込むようになったの。

例えば、Neon Futureでは、エイジングの終わりを研究しているRayを起用したよ。彼は、「リヴァース・サイバー・ディグレーション」と呼ばれる細胞の研究をしていて、不老不死のテクノロジーを研究している。そして、Neon Future IIでは、JJ Abrams、Kip Thorne、Stan Lee(Neon Future Sessions)を起用したよ。すでにNeon Future IIIは、2名のパーソナリティーの起用が決定しているんだ。
 

そのパーソナリティーとは?


そのうち一人はすでにメディアにも取り上げられている「The Science Guy」で知られるBill Nye。違う業界で活躍する2人がパネルディスカッションをするイベントで会って、バックステージで「あなたの声を録音したいんだ。それを基に曲を作りたいから。」って話を持ちかけたら、快く承諾してくれたよ。

ドキュメンタリー映画、I'll Sleep When I'm Deadをトライベッカ映画祭で公開されましたね。あれは、どのような経緯で?

実際、誰が誰に持ちかけた話だったか、しっかり覚えていないけれど、ある映画がきっかけだったことは確かだよ。「Jiro Dreams Of Sushi」って映画知ってる?日本人で知ってる人はほとんどいないんだけど、かなり話題の映画なの。小さな寿司屋を経営するシェフが世界一のシェフになるっていう話なんだけど、その興味深いドキュメンタリー映画を制作したチーム(Magnolia Pictures)が僕のドキュメンタリー映画を制作したいってとこから始まった。
 

僕は、ツアー中は、決められたビデオグラファーやフォトグラファーなどのメンツと世界中を回っている。そして、彼らとともにあの名物企画「On The Road」のエピソードを制作している。あれもついに200エピソードを迎えているよ。(※6月6日現在上がっているのは、198エピソードが最新となっています。)
 

でもそれと全く同じようなことをしても面白くない。だから、このドキュメンタリーチームのスタッフには、僕のバックステージなどのアクセス権をすべて許可した。彼らの目線でSteve Aokiを投影してほしかったから、彼らが必要なものはすべて提供した。

でも、Steve Aokiはクールなガイで最高のDJだっていう内容にはして欲しく無かった。彼らは、まさに違う視点での真なるSteve Aokiの姿を追ったの。彼らは、説得力のある素晴らしい作品を作り上げたから、今回の作品には大満足だよ。
印象的だったのが、日本に2年前ほど前に来日したとき、神戸、京都とかを観光して、父親の墓を母、兄弟全員で訪れたり、日本の伝統的な行事を体験したり、普段のレーベル会社訪問などのプレス来日では出来ないことを家族と一緒に楽しむことが出来た。このように普段一緒に過ごす時間のない姉たちと一緒に懐かしい場所巡りとかをして昔話に浸って、家族との時間を過ごすことが出来た。それも、すべてドキュメントチームによって撮影されたよ。

SnapchatでのWhite House Correspondence Dinner(ホワイトハウスの招待制メディアパーティー)に参加されていましたね!当日のエキサイティングなエピソードを聞かせ下さい!

最高だったよ。Ariana Huffingtonが僕に招待状を送ってくれたの。彼女のテーブルに招かれて、そこからは、色々な人とネットワークするの。座っていても意味ない。自ら率先して色々な人と接触できるオープンなイベントなんだよ。だから普段会えないような人とも会えたよ。



一番印象的だったのが、オバマ大統領の報道官。House Of Cardsって見てる?あのドラマに出てくるSeth役に会っているような感覚だよ!かなり非日常的な体験だったよ。彼と一緒に写真を撮って、その後は、大統領のスピーチを聞いて、大統領とも喋ることが出来るしね。あとは、Michael Keelyが演じるDugg Stanfordにも会いたかったから、彼とも対面して写真を撮ったね。あとは、僕みたいなエンターテイナーのFat Jewish、Jared Letoとかとも会ったよ。彼らは前から友達だから、もう再会みたいな感じで楽しかったよ。あとは若きVineのスターにも会ったね。まさによくこのイベントが俗にいわれる「ナードプロム(Nerd Prom)」みたいな感じだよ。だって、政治家のディナーだけど、メディア通信を目的としたものだから、大統領を皮肉る場面やメディアを皮肉る場面もある。でもすべて冗談だから、かなり面白いよ。しかも、そのロースティングと呼ばれる皮肉をテレビではなくて、実際にその空間で体感できるのは、最高。
 

Adam LambertとFelix Jaehnとの「Can't Go Home」のミュージックビデオは、サルを起用した斬新なアイデアでしたね!

別に意味を分かる必要ないよ、あれは!本当にくだらない感覚のライトハートなビデオなの。今回は、ラッキーでプロの俳優チンパンジーと働くことが出来たの。アメリカには、プロの俳優をするチンパンジーは2匹しかいないんだよ。そのうちの一匹と一緒に仕事が出来たことは結構すごいじゃん?これで、僕は、プロの俳優チンパンジーと一緒にミュージックビデオの撮影の仕事をしたって言うことが出来るんだよ。しかも、僕、サルタイプ。サル大好き。もし生まれ変わることが出来たらサルになるよ。とにかく、このミュージックビデオを見て、笑ってほしい。ただ、それだけ。
 

Nervoと「Lightning Strikes」でヴォーカリストとして一緒に楽曲制作をされましたね。ヴォーカリストの持つ特別なパワーとは何だと思いますか?

ヴォーカリストは、すべてを音楽に持ってきてくれる。音のみでは、インストラメンタルの限界がある。でもヴォーカリストによって、その音が思い出深い場所へと導かれると思う。

例えば、「I Love It When You Cry」。
 

あれは共感できるからこそ、ついつい口ずさみたくなるエモーショナルな曲になった。あれからヴォーカリストの存在を抜いたら、全く別の曲になってしまう。これは、とくに日本のセットで最も歌いやすい定番曲の一つになってきたよ。ステージから観客を見渡すときに、この曲をかけるとみんなが口ずさんでいるのが見える。2016年で日本の人口の5%しか英語を話せないんだよ。知ってた?フランスみたいだよ。フランスの場合は、プライドの問題で英語じゃなくてみんなフランス語を好む。でも日本の場合は、単に英語を話すことが主流ではないという文化なんだよ。それにも関わらず、1万人ほどの日本人が自分の曲を口ずさみながら聞いていると思うと、人々が共感しやすいシンプルな楽曲を作りたいと思わせられる。ヴォーカリストは、それだけ人々が共感できる、連想できる気持ちを歌詞を通して表現してくれる。

あなたのセットは、毎回観客を最高潮のボルテージに上げて行きますよね。その最高のセットの秘訣とは?

セットは、ただ単に人々を盛り上げるだけじゃない。高い波もあれば、低い波もある。広い一つの蜘蛛の巣のようなレイアウト。その波を繋ぎあわせるエモーショナルなローラーコースターのような感覚。人々を様々な場所へと連れて行くような感覚かな。

僕は、自分のセットをカラーのグリッドのように見ている。だから、あるときは、このグリッドに観客を持って行き、でもそこから次にこのような感覚へと引き寄せたりと、人々を様々なステータスへと導くことで驚きや予測不可能なエキサイティングな展開を可能にしている。
でも、予測不可能のレベルにも気をつけている。この曲をかけてくるだろうとか、知っている曲をプレイするという予測ができる時もあれば、「Turbulence」のような定番曲を避けて、新曲2曲をプレイするという予想外な時もある。このような予想外な面も入れないと、僕のショー全部に足を運んでくれるダイハードのファンにとってフレッシュじゃなくなるし、彼らと新しいファンの両方に常にフレッシュで予測不可能のセットを提供したいと思っているから。僕のファンじゃなくなったり、遠ざかったりする人がいても、このように予測不可能な曲をかけることで僕を「フォーカス」してまた戻ってきてほしいとも思うよ。

去年のDIM MAKのOpening Ceremonyイベントでも今後音楽スタイルの路線を変えて行くと公言しましたね。あなたはすでに代表的なスタイルを確立したのに、なぜ?

それは、自分のインスピレーションは常に変化するものだから。例えば、僕が今月感じたインスピレーションや音楽への思いというものは、2月と比べたら違うよ。その上、去年制作した楽曲と今年書いた楽曲を比べたら全然違うよ。

だから、僕は自分の音楽をタイムスタンプのように捉えているの。
だって、たまに前、自分が書いた曲を、今だとこれ最低だな。と思うときがあるんだけど、タイムスタンプのように思えば、そのときの僕は、このようなスタイルやセンスを気に入っていたのだと納得しやすくなるじゃん。もちろん、逆に前の出来事で誇りに思うことだってあるよ。

今は、世界中を旅して、いろいろな人と出会い、様々なカルチャーや音楽背景に触れる機会に多く恵まれている。だからこそ、自分をスポンジのように、学生のようにし、できる限りのことを吸収している。僕は、自分の知らないことに対しては、学生のように真摯に受け止め、オープンになり、学習するように心がけている。そして、そのアウトプットは音楽を通してしているの。

DIM MAK所属のアーティストで今後注目すべきアーティストとは誰ですか?

僕が誇りに思うDIM MAK所属のアーティストは居過ぎるよ。ときに、俺らがまだレーベルとしてゼロだったときからの初期のアーティストとかね。

多分一番の在籍アーティストのサクセスストーリーといえばThe Chainsmokersだな。

彼らは、DIM MAKに所属しているときに大ヒットシングルを2曲だしたが、そのあとにあの「Roses」で一世風靡したよね。そのあとの「Don’t Let Me Down」も。実は、彼らとは3年だけのDIM MAK契約だったから、「Roses」をリリースしたときは、もう俺らとの契約は切れていたんだよね。そのときにも所属していたらな・・・(笑)でも、「Roses」は、音楽カルチャーに新たな歴史の1ページを開いた楽曲だよ。それは、エレクトロニックミュージックだけではない。だって、どのメインストリームのラジオ曲でもかかっていたし、今でもだよ。今では、ポップカルチャーの一部にまでもなった彼らのようなアーティストを初期のステージからサポートしていたことは、一生誇りに思うよ。
 

俺らは、常にアーティストと契約をし、たくさんの楽曲を配信しているよ。ダンスミュージックは常にシングルや1曲ベースになってきた時代だから、それによってあまりアルバムの契約はしていないね。

敢えて長く契約しているアーティストでいえば、Keys N Kratesかな。僕は彼らのことを何年にも渡って応援していて、彼らの独自性とスタイルが超お気に入り。本当にユニークで彼らなりの道筋がもう出来ている。

あとは、去年Watch The Duckと契約を交わして、彼らのEPに、TI、Schoolboy Q、Pharrell WilliamsなどがEPに参加したことから、僕は、DIM MAKよりPharrell Williamsが参加したレコードを所持しているって胸張って言えるんだよ!最高だよ。あと、最近は、Lil uzi VertのDIM MAKよりリリースするEPなどヒップホップ寄りのテイストにもこだわっているよ。あと、最近Bok Neroってアーティストをサインしたんだけど、彼もヒップホップのクロスオーバーアーティストだからぜひ楽しみにして欲しいね。あとは、新人に加えて、若手のMax Styler、Autoerotique、Reid Stefanなどにも注目だよ。


以前、Drakeとコラボをしたいと話していましたが、今後コラボしたいアーティストは誰ですか?

コラボしたアーティストのリストは果てしないよ。

でもどのコラボアーティストにも共通するのが、そのアーティストの「ヴァイブス」が必要である事。その波長が合わないと成功しない。単に、はい、これビート、じゃあそれに乗っかるねっていう単純作業ではない。

タイミング、波長、ロケーションなどのすべての要素が出揃わないと意味はない。その例としてあげられるのがDIM MAKの20周年アトランタパーティー。その時のアフターパーティーで僕は90分のセットが設けられたんだけど、その時にサポートのため来てくれていた、Migosと話して、一緒に数曲披露したんだよ。

その直後、Migosとスタジオ入りして1曲完成させたよ。
 

このように、一緒にセットをしたりなど時間をかけて、またヴァイブスを大切にしなかったら、この曲は生まれなかったよ。そして、今では、Lil YatchyとMigosと素晴らしい曲が完成して、また新たなジャンルのニュー・ウェイヴィなサウンドだからもう最高だよ。Lil Uzi Vert、Rich The Kid、iLoveMakkonnen、Lil Yatchy、とこれらのサウンドのレジェンドとも言えるMigosなど、このような若い連中と一緒に音楽の仕事ができることが最高。



そんなSteve Aokiの最新シングルは、ミュージックビデオをファンの大切な人との一枚という写真を組み合わせたミュージックビデオが話題のバンドWalk The Moonとのコラボ曲「Back 2 U」。
現在iTunesにて配信中!
購入リンク:https://itunes.apple.com/jp/album/back-2-u-feat.-walk-moon-single/id1112792937?app=itunes&ign-mpt=uo%3D10