2日目には、前日から降ったり止んだりを繰り返していた雨が、夜になると激しさを増してフジロッカーたちを襲ったが、音楽で心も体も高揚しているフジロッカーたちの勢いはとどまるところを知らず、各アーティストのステージはどこも大盛り上がりだった。

グリーンステージではTHE AVALANCHESが、デビューから17年、ようやくライブセットでのフジロック初参戦ということでファンたちを沸かせた。ニューアルバムからのBecause I’m Meでスタートし、彼らお得意のマッシュアップの技法を駆使しつつ、迫力のバンドセットでファンたちを昼間から踊り狂わせる様はさすがの一言。


WHITE STAGEでのDEATH GRIPSのパンチの効いたライブでは、激しいモッシュが沸き起こった。ヒップホップとノイズ、更にパンクロックの融合だと言われる彼らの音楽は、骨の髄まで震わせる轟音の重低音で会場全体を揺らした。リリックを叫ぶStefan Burnettの鍛え抜かれた筋肉質な黒い肌は汗で輝き、彼が両手でマイクを握って両肘を高く突き上げるポーズをとるたびに、ヒップホップファンたちも咆哮を上げて拳を突き上げた。


打って変わって次のステージでは、小沢健二が初日の出演者であるスチャダラパーと共に、往年の名曲「今夜はブギーバック」を歌い、ファンに黄色い歓声を上げさせた。オザケンとファンたちとの掛け合いは、とにかく息がピッタリ。入場規制でGREEN STAGEからWHITE STAGE間の小道に溢れ出したファンたちは、悔しそうにその場でライブに合わせた合唱を始めた。小沢健二のライブはこの日二度行われた。

今年6月に前作から11年ぶりとなる新譜を発売したCorneliusが、アーティスティックな演出でオーディエンスを静かな興奮で包み込んだ。ステージ上には横一列に並んだ小山田圭吾をはじめとする面々が、それぞれ電光掲示板のような照明装置をバックに並び、一見機械的ながら感情豊かなサウンドを全て生音で表現するという、テクニカルかつ完璧に構成された演出と演奏でファンを唸らせた。


細切れに破裂するようなテクノミュージックとそれに呼応するかのような豪雨の中、最狂テクノビーストAphex Twinのライブは、聴覚的にも視覚的にも強烈に印象付けられるものとなった。真っ暗な山間にステージからの緑のレーザーが四方八方に放射され、くまモンやハローキティ、某議員や某女優など…日本の有名キャラクターや人物をAphex Twinの顔に置き換えたVJと激しい電子音とで、オーディエンスを混沌の渦へと巻き込んだ。もちろんファンたちは彼にカオティックな演出を期待していただろうが、想像の斜め上を行くライブの様子に会場は騒然となっていた。


ダンスミュージックと言えば2日目のフジロックで忘れてはならないのがLCDサウンドシステム。バンドセットで奏でられたエレクトロディスコパンクでオーディエンスを踊り狂わせ、時に大合唱を沸き起こした。様々なジャンルの音楽がクロスオーバーした彼らのビートとステージの天井輝く大きなミラーボールに、しとしとと降りしきる夏の雨の中でもおかまいなしで、オーディエンスはハッピーな笑顔で足を踏み鳴らし、手を振り上げて踊った。