フジロック公式ファンサイト【FUJIROCKERS.org】には、フジロックと同じだけの歴史が秘められている。
iFLYERでは、現在のFUJIROCKERS.orgの中心メンバーの皆さんにインタビュー。
数回に分けて「FUJIROCKER.org」の実態と、現場で働く皆さんの様子をお伝えしてきた。
今回は「FUJIROCKERS.org」代表の花房浩一氏が語る、フジロックとFUJIROCKERS.orgについての最終回!
 

前回までのあらすじ…

グラストンバリー(グラストンベリー)フェスティバルの衝撃から十数年を経て、ようやく実現に漕ぎつけたFUJIROCK FESTIVAL。しかし、初めてだらけの試みは、蓋を開けてみると問題が山積み。せっかく開いたフェス、せっかく作った公式ファンサイトなのに、なかなか思うように事は運ばない。しかし、それでもめげないFUJIROCK FESTIVAL主催のSMASH代表・日高氏と、FUJIROCKERS.orgの花房氏。舞台をいよいよ苗場に移し、フジロックは更に進化していく!!

▼前回までのお話はこちら▼
フジロック公式ファンサイト【FUJIROCKERS.org】どんな活動をしてるの? 前編
フジロック公式ファンサイト【FUJIROCKERS.org】どんな活動をしてるの? 後編
フジロック公式ファンサイト【FUJIROCKERS.org】ボス・花房氏が語るフジロック誕生秘話!〜その1〜
フジロック公式ファンサイト【FUJIROCKERS.org】ボス・花房氏が語るフジロック誕生秘話!〜その2〜

 

ロックが苗場に来るぞ〜!

西武のトップから「苗場プリンスでやりませんか?」という誘いが来た。そこで、日高氏が地元の人たちと交渉したんだけど、例え苗場プリンスの敷地内でやるにしても、結局は町全体が巻き込まれるんで、町がOK出してくれなきゃ当然開催できないわけ。彼らは当然、97年の事件を知ってるから「ロックやばいじゃん、こんなの来たら、苗場がボロボロになるよ」って怯えまくってた。あそこは上信越高原国立公園があるから、木一本切ったらいけないし、地形を変えるのもNGだったし。ちなみに、地元の人たちはフジロックを「ロック」と呼んでいるんだよね。
そういうイベントをやるとなると、中央から企業がやって来て、お金儲けして全部かっさらっていっちゃって、地元の人には何のメリットもないので、地元の人は当然嫌がるじゃない。だから、日高氏は地元の人たちに利益が生まれて、彼らも我々のパートナーとなって積極的にサポートしてもらえるような状況を作らないとダメだと考えて、長い間地道に交渉を続けた。すると1999年、観光組合と旅館組合の何人かが「とりあえず一回やらせてみる?」と言ってくれた。でも相変わらず地元の人たちは「子どもたちを会場に近寄らせるな」とか言ってて、視線もまだ冷たかった。


Photo http://www.fujirockfestival.com/

あのときフジロックに来ていたお客さん…フジロッカーって俺は呼んでるけど、彼らも「下手したらもう二度とこういうフェスはできないかもしれない」「自分たちでどうにか守らなきゃいけない」という危機意識が凄く強かったので、フジロッカーたちはそれぞれが自主的に助け合ったり、道すがらゴミを拾って帰ったりしてた。
当然、俺らも「自然と一緒に楽しみましょう」「お互いにリスペクトしましょう」ってキャンペーンはしたよ。「Let’s get togther bord」の元ネタの曲は、互いにリスペクトして助け合おう、愛し合おうっていう60年代のフラワームーブメントのテーマ的な曲だったんだけど、そのイメージをお客さんも感じてくれていたと思う。
苗場スキー場には当時、冬になるとマナーの悪い若いスキー客がたくさんやってきて、町をめちゃくちゃにして帰っていってた。ところが、フジロッカーたちはゴミは拾って帰るし、宿でも布団をきちんと畳んで帰るし、非常にマナーが良くて旅館の人たちもびっくりしてた。「ロックの人たちはタトゥーとか入ってて怖い」という認識から「ロックの人たちはとてもきちんとしているお客さん」という認識にがらりと一変した。しかも、地元には経済的に物凄いお金が落ちるわけですから、そうなると、これは手伝わないとまずい!となった。


 

「俺たちの大好きなフジロック」を守るためにFUJIROCKER.orgは存在する!

最近は、フジロックが他の音楽フェスと大差なくなってきてしまっている気がする、と敢えて皮肉を込めて言うけど(笑)。もちろん、フジロックは特別だ、フジロックはカルチャーだと言ってくれる人はたくさんいて、それは凄く嬉しいんだけど、俺は一番最初からフジロックをやっている内部の人間だから、きちんと現状を認識していなきゃいけないと思っている。もし、最近来るようになったお客さんがフジロックの根源にあるテーマを素直に感じられなくなっているとしたら、それは主催者側の責任だ。当然、俺はフジロックが好きだよ。自分の一部だと思っている。だからこそ、フジロックに対して「ここは違うんじゃない?」と言う人たちがいなくなってしまったら、本当に他の音楽フェスと同じになってしまう。

これは俺の解釈だけど、俺たちFUJIROCKERS.orgの役割は、フジロック様々でフジロックのために奉仕するってことではなくて、本来のフジロック、自分たちが求めている・自分たちで楽しむためのフジロックを潰さないようにする、ということだと思っている。
変化は悪くないと思うけど、俺が、そして皆が求めているフジロックのイメージというのがあって、そういったものそれぞれがフジロックのパーツの一つであって欲しいという思いは当然ある。だから、俺は自分の立場でその役割を果たしている。色んな指向性を持った人たちが繋がれるところに意味があり、それでできあがっているのがフジロックそのものであり、またフジロックを核としたある種のカルチャーなんだと思う。


 

フェスの現場で何が起きているのか、その体験こそがアートなんだと思う

一般的な音楽フェスはラインナップ・ミュージシャンファーストで、それは悪いことではないんだけど、ただ、なぜ俺がグラストンバリーに行くのか、フジロックに行くのかって言ったら、ラインナップが理由で…というわけではない。自分好みのアーティストが出なくても別に平気だね。グラストンバリー フェスティバルではチケットが販売されると、出演アーティストが全く決定していないにも関わらず1時間でチケットは完売するけど、それはフェスティバルそのものが魅力的だからってことでしょ。当然、行ったら物凄いバンドがたくさん出演しているわけではあるけど。ただ、グラストンバリー フェスティバルでは、あくまでも音楽はone of them(それらの一部)で、要するに色んなことがある中の一つが音楽だった。フジロックについても、バンドしか見ようとしない人たちにとっては、音楽フェスってそもそもそんなに意味があるものじゃないと思う。あそこで何が起きているか、その体験こそがアートなんだと思う。
 

いかがだっただろうか。近年フジロックにハマった、フジロックに興味を持ち始めたという方にも、フジロックとFUJIROCKERS.orgの歴史がよくお分りいただけたのでは?
次回はFUJIROCKERS.orgにて現在スタッフとして活躍する方々に、FUJIROCKERS.orgの活動内容についてをお伺いしていく。こちらもお見逃しなく!

Interview by きのや

フジロッカーズ・バー、やってるよ!

コンセプトは「Let's Get Together & Have Fun」!
不定期開催、下北沢の開催されるフジロッカーのためのイベント。
初心者大歓迎!音楽とお酒、そして楽しい音楽仲間との出会いとお喋りを楽しみたい方はぜひどうぞ!
FUJIROCKERS.orgのボス、花房氏にも会えちゃうかも!?

開催日時:不定期開催、19:30 - 23:00
※詳細日時はFacebookのFujirockersページにてご確認下さい。
開催場所:下北沢 メンフィス兄弟
料金:ファーストドリンクが1000円(あとはメニュー通りの金額です)

FACEBOOKイベントページ
https://www.facebook.com/Fujirockers/?fref=ts​