ダンスミュージック業界で活躍するアーティストの一部は別名義を持ち、別ジャンルでの楽曲も制作している。しかし、アーティストの別名義による活動が定期的でなかったり、全く異なったジャンルであったりすると、なかなか知りえない情報となってしまっている場合もある。

フェスなどでラインナップが発表される際に、耳慣れないアーティスト名に「このアーティストは誰だろう?」と疑問に思った経験がある方も多いのではないだろうか。それが実は、お気に入りの有名なアーティストの別名義であることも…! 今回は、そんな別名義を持つアーティストを数名ご紹介したい。
 
 

David Guetta / Jack Back

ダンスミュージック界を語る上では欠かせない存在の David Guetta(デヴィッド・ゲッタ)。大ヒット曲は "Titanium with Sia" "2U with Justin Bieber" など数知れず。David Guetta がポップでキャッチ―な楽曲を作る一方、Jack Back(ジャック・バック) はアンダーグラウンドな Techno、House サウンドの楽曲をリリースしている。David Guetta は、BBC radio 1 でのインタビューにて、別名義で音楽を活動する理由を下記のように語っている。

"I originally started in underground house music, playing all the raves and underground clubs in Paris," he says. "I wanted to make music just for fun, with absolutely no commercial approach to it. I want to make every type of music that I like, I’m doing it for the love of music."

音楽活動を始めた頃、僕はアンダーグラウンドなハウスミュージックを作っていた。パリにあるアンダーグランドなクラブやレイブでプレイしていた。ただ純粋に楽しめる音楽を作りたいって思ったんだ。コマーシャルな要素を一切気にしないでね。それから、どんなジャンルの楽曲でも自分が好きだと思える音楽を作りたい、ただ純粋に好きだから作りたいと思ったんだ。

 
 
 

Armin van Buuren / GAIA

Armin van Buuren(アーミン・ヴァン・ブーレン)はご存知の通り Trance のトップアーティスト。一方の GAIA(ガイア) は、Arminと同郷のオランダ出身アーティスト Benno De Goeij(ベノー・デ・ゴージ )と Armin van Buuren のデュオである。結成時の2000年当初、GAIA は Armin だけであったが、2009年に再始動すると同時に Benno De Goeij が加わった。他のアーティストと同じように、別名義だからといってジャンルが全く別というわけではなさそうだ。ただ2018年の ADE で披露されたセットは Trance 一色ではなく、Deep Techno 寄りのセットを披露している。デュオでセットを披露したのは、2014年の UMF Miami の ASOT ステージと、今回の ADE でのセットの2回のみである。
 
 
 

Oliver Heldens – HI-LO

Future House のパイオニアとして知られる Oliver Heldens(オリバー・ヘルデンス)の別名義、HI-LO(ハイ・ロー)。HI-LO のサウンドは Oliver Heldens の楽曲と比べ、ベース色が強くダークな音が特徴となっている。UKF のインタビューで Oliver heldens はこう語っている。

  “PEOPLE EXPECT A CERTAIN SOUND WHEN THEY LISTEN TO ARTISTS. BY CREATING HI-LO IT GAVE ME THE FREEDOM TO WORK ON A COMPLETELY NEW SOUND. IT GIVES ME THE OPPORTUNITY TO SHOW ANOTHER SIDE OF ME WITHOUT LETTING HAVING TO LET GO OF THE OLIVER HELDENS SOUND.”

アーティストの楽曲を聴くときには、みんな「このアーティストだからこういう感じの音だろう」という期待を持っていると思う。だけど、僕は HI-LO の活動を始めたことで自由を手に入れた。全く新しい音を制作できる。HI-LO の名義は、Oliver Heldens のサウンドを手放さなくても、全く別の自分をみんなに見せる機会をくれたんだ。

 
 
 
 

Steve Angelo – Mescal Kid

ご存知 Swedish House Mafia(スウェディッシュ・ハウス・マフィア)の一員である Steve Angello(スティーヴ・アンジェロ)の別名義、Mescal Kid(メスカル・キッド)。Mescal Kid のサウンドはディープでダークな Techno、Tech House であり Steve Angello の楽曲とは異なる。Mescal Kid は2008年~2009年頃に精力的に活動しており、 “Magic” や “Do You Want It?” などをリリースしている。2017年の Tomorrowland では、Week2、Sunnery James & Ryan Marciano のステージ「the Sexy By Nature」に登場し、セットを披露している。また Steve Angello は Axwell & Ingrosso 以前に、Axwell と Angello のプロジェクト、Axwell & Angello「Supermode」としての別名義も持っていた。
 
 
 

ARTY / ALPHA 9

ARTYALPHA9 は、全く別のタイプの音楽にフォーカスした別プロジェクトである。ARTY はダンスミュージック、ALPHA9 は progressive/trance  のプロジェクト。それぞれブランド戦略やリリース、ライブセットなども全く異なるものとなっている。Arty 本人も Arty として出演する時は ALPHA9 のトラックは使用しないと発言している。
 
 
 
 

Martin Garrix / AREA 21

DJ MAG ランキング1位でもある大人気 DJ/Producer、Martin Garrix の別名義 AREA 21。AREA 21は、Martin Garrix とアメリカ人ミュージシャン Maejor(メイジャー)とのデュオである。この AREA21 の名義は Martin Garrix のレーベル「STMPD RCRDS」の創設時からリリースを行っており、当初は正体を明かしていなかった。現在はラッパーである Maejor と2人のユニットとして活動していることが明らかになっている。AREA21 はこれまでに、ラップと Martin Garrix らしいサウンドに Future Bass の要素を取り入れた Martin の個人名義とは少し違った楽曲をリリースしてきた。
 
 

その他にも別名義を持つアーティストは、実はかなり多い。以下にその一部を掲載しておこう。

W&W / NYWR
Porter Robinson / Virtual Self
Eric Prydz / Cirez D
Richie Hawtin / Plastikman
Ferry Corsten / System F
RL Grime / Clock Work
Feed Me / Spor
Jordan Suckley / 3fect
Paul Van dyk / Aeon
Alan Walker / Walkzz

A-trak + Armand Van Helden / Duck Sauce
John Dahlback + Albin Myers / Myback
John Digweed + Nick Muir / Bedrock


Written by SAORIMILK