医学雑誌 Acta Tropica で発表されたレポートによると、マレーシアのサラワク大学生物多様性・環境保全研究所に務めるハマディ・ディエン氏らの研究グループが、Skrillex(スクリレックス)を聞いたメスの蚊の方が、何も聞かなかった蚊よりも繁殖が少なく、吸血が少ないことを発見した。

これは、デング熱とジカ熱を広める蚊として知られているネッタイシマカという蚊の採餌・宿主攻撃・性的活動に対する電子音楽の効果を調べた結果、発見したもので、12時間絶食させた空腹のメスの蚊のケージの近くに設置されたスピーカーから電子音楽を流すことによって、彼らの仮説を検証した。

実験方法は、メスの蚊を2つのグループに分け、それぞれのグループにオスの蚊とハムスターを入れ、片方のグループは音のない静かな環境に置き、もう片方のグループには音楽を流して、蚊の吸血行動や繁殖の様子を10分間観察するというものだ。後者のグループには、Skrillex の「Scary Monsters and Nice Sprites」を繰り返し流したという。なぜこの曲が使われたのかというと、その過度のラウドネスと、絶えずピッチが上昇しているのが「うるさい」ということで第一候補になったそうだ。
 

最後の餌から12時間経っていたにもかかわらず、音楽を流した方のグループの蚊は Skrillex の曲の振動に気を取られたため、ほとんどの蚊が曲の終わりまで吸血行動を取らなかった。その間、無音の環境に置かれた蚊は、平均30秒後にはハムスターに吸血行動を開始した。また、無音の環境に置かれた蚊の方が約5倍繁殖活動をしており、音楽の攻撃的な振動が蚊の羽の音を狂わせ、混乱させた可能性があるようだ。

これからの季節、外で遊ぶ機会も増え、蚊に悩まされることは多い。夏フェスにいくと、蚊に刺されないために蚊取り線香や虫除けスプレー、虫除けブレスレットなど様々な「蚊」対策グッズが必須になってくるが、何もないときはスクリレックスを爆音で流すと良いかもしれない。