音楽ストリーミングサービス Spotify には、様々なプレイリストがあるが、なんと新型コロナウイルスのワクチン接種に関するプレイリストまで登場したとのことだ。その名も「Vaccine Songs(ワクチン・ソングス)」
 

この「Vaccine Songs」には、Pat Benatar「Hit Me With Your Best Shot」、Lady Gaga「The Cure」等のトラックが並んでいるとのことだが、この一件ユニークなプレイリストに対して EDM.com のライター・BY JASON HEFFLER は警鐘を鳴らしている。

それというのも、Spotify のプライバシーポリシーには、同社が「Spotify グループ内の他の企業とあなたの個人データをグローバルに共有する」とあり、また「宣伝目的」およびその他の用途のためにそのデータを分析することを示している、とのことで、更に Spotify は広告主が他のバロメーターの中でもストリーミングしているプレイリストに基づいてプラットフォームのユーザーをターゲットにすることを許可しているとのことだ。

Spotify のプレイリストからのデータが悪用され、胡散臭い健康グッズ系の Web 広告の標的にされる可能性……?

これにより、つまり Spotify は「Vaccine Songs」プレイリストのアクティビティから収集されたデータを使用し、健康、ウェルネスといった分野のブランドと提携することが可能となる。
そこで問題となるのが、ブランドの多くが、新型コロナウイルスの安全性に関連するあいまいな製品やサービスを推進する可能性があることだ。
ワクチン関連のコンテンツから収集されたデータにルーツを持つ広告を配信することは非常に危険であり、ストリーミングサービスの広告操作によって、医療の専門家ではない会社の製品の広告が、それらの製品が適切に精査されたものかどうかを確認する方法がないユーザーに表示され、製品の購入を促進する可能性があるとのことだ。

「Vaccine Songs」は、リスナーが HipHopやカントリーミュージックをどのように好むのかについての洞察に繋げるような無害なプレイリストではなく、ワクチン接種への熱意を、広告主にとって実用的なデータに変換するような感じがする、と EDM.com は語っている。このプレイリストは、他のプレイリストでは生成できない機密性の高いリスニングデータを提供する可能性があり、新たな種類のプライバシーの懸念につながっているとのことだ。

Spotify の広告ターゲティング方法は、少なくとも表面的には通常、懐かしさやキッチン・レイヴといった無害な基準に合わせて調整されているが、過敏なヘルスケアの世界に手を出した場合、ウイルスに対するユーザーの恐れを悪用しようとしている危険なエージェントに対して Spotify が利用される可能性もある。

Spotify の VP兼グローバル広告ビジネス・プラットフォームの責任者である Jay Richman と話をした The Verge によると、Spotify はそのような懸念を真剣に受け止めているとのことだ。また、彼はそのようなデータターゲティングをユーザーが Spotify を使用する上で表示させないように選択することも可能であると述べている。