新型コロナウイルスのパンデミックから経済が復活しつつある各国だが、今だに完全復活というわけにはいかず、更には冬シーズンの到来を前に、新型コロナウイルスばかりではなく、インフルエンザ大流行によって引き起こされるツインデミックへの懸念も挙げられている。

そんな中、音楽シーンが盛んな国の一つであり、イングランド、ウェールズ、スコットランド、北アイルランドの4つの国から成り立っているイギリスでは、それぞれの国の政府によって新型コロナウイルスに対するガイドラインが大きく違っており、混乱が生じているとのことだ。
ガイドラインの違いは、各国のフェスティバルシーンやナイトライフの経済活動にも大きく響いてくるため、それぞれの地域のプロモーターやクラブ経営者は頭を悩ませていることだろう。


 

■ ウェールズ

ウェールズでは、10月6日に翌週からナイトクラブや大規模イベントに参加するためには、新型コロナウイルスパスポートが必要になると発表。また、11日の時点で、18歳以上の人はワクチン接種が完了しているか、過去48時間以内の抗原抗体検査での陰性証明書を提示する必要があるとのことだ。

また、500人以上の屋内開催のスタンディングイベント、4,000人以上の野外スタンディングイベント、スポーツイベントを含む10,000人を超えるイベント、そしてナイトクラブ等では、新型コロナウイルスパスポートが必要になるとのことだ。

それに対し、ウェールズの20以上の会場で運営されている Think Orchard のイベントディレクターである Pablo Janczur は、以下のように述べている。

新型コロナウイルスパスポートの実装は、会場のパンデミック後の回復に別の障害を追加する。
我々は埋め合わせるために多くの根拠を持っており、新型コロナウイルスパスポートは、どんなに小さくても、リソースの層を追加するだけだ。
全員をチェックし、メモは受け取らず、何らかの理由でパスなしで現れた人々に対処するには、追加のリソースが必要になる。
我々が協力している全ての会場で、運用上、我々の生活が少し難しくなると思う。

Pablo Janczur はまた、この規制により、ウェールズにおける市場は、7月19日に全ての規制が解除される近隣のイングランドに対して競争上の不利益を被ると警告している。
 

■ スコットランド

スコットランドのプロモーターと会場は、州政府が必須のワクチンパスポートを導入した後、イギリス国内で最も厳しい制限のいくつかに直面している。
スコットランドでは、10月1日より新型コロナウイルスのワクチンパスポートが大規模イベントやナイトクラブで必須となったが、大多数の人々は、個人のワクチンステータスをアプリに登録してアップロードする際に繰り返し問題が起きてしまったとのことだ。

イベント業界は、政策に反対する警告を発しており「非常に脆弱な夜間経済」へのさらなる損害を避けるために、ワクチンパスポートの導入を直ちに廃止することを求めている。

イギリス国内の多数の場所で活動する Kilimanjaro Live の CEO である Stuart Galbraith は、スコットランド政府がワクチンパスポートを必須にしている立場は「過度に厳しいのでは」と述べている。

現在、我々が実施しているほとんどんおショーでは、必要に応じてワクチン接種の照明または抗原抗体検査の陰性結果の照明が必要だ。
これはお客様に安心感を与え、ショーを開催するための安全な環境を提供するために最善のアプローチだと考えている。

 

■ 北アイルランド

北アイルランドでは、10月14日からスタンディング型の屋内ショーを再開。更に、バーやレストランでの社会的距離に関する規制も、10月31日に解除されるとのことだ。
更に、ナイトクラブも2020年3月以降初めて再開できるようになり、会場でのダンスに関しても法的な制限が撤廃される。

ただし、特定の場合におけるフェイスカバーの義務的な着用を維持することになっており、更に政府は二重ワクチンの接種や抗原抗体検査の陰性を含む緩和策を実施するようにいくつかの部門に要請したが、それらは法的には強制されていないとのことだ。

ワクチンパスポート計画は、新型コロナウイルスに関するイギリス政府のプランBの下で復活する可能性もあるという。
 

■ イングランド

イングランドでは、7月19日の時点でコンサートやスポーツイベントなどの大規模イベントは制限なく再開されており、参加者はマスク着用の義務も解除されている。

ただし、ワクチンパスポートに関しては、寒くなって新形コロナウイルスの症例が増加した場合に限り、政府による厳格なガイドラインであるプランBを実施し、その場合新型コロナウイルスワクチンを接種完了した場合のみイベントに参加可能となり、抗原抗体検査の陰性証明では許可されなくなるという。