ロンドン在住の音楽プロデューサー、Jun Fukunagaによるソロプロジェクト「Lady Citizen」のニューアルバム「Dub Tech Laboratory」に関してコメントをいただきました。彼とのインタビューをチェックしよう。

Lady Citizen様、「Dub Tech Laboratory」のリリースおめでとうございます。今回は、21世紀のダブのあり方を革新させた一貫した音楽的技術の躍進に貢献したすばらしいアルバムの制作に感動させられております。まず最初に、音楽を志したきっかけを教えて下さい。

自分が思うモノを形にしてみたいというのがきっかけです。音楽にのめり込んだ青春時代でしたので、流れとしてはけっこうすんなり表現方法として音楽を選んだ感じですね。

クラブミュージックを軸に音楽を制作し始めた理由は何でしたか。

エレクトロニカとかIDMとかああいう職人気質なエディット音楽が好きで、最初はそういうものがやりたくて機材を買ったりしてました。そこからクラブに行くようになり、自分も人を踊らせることが出来る音楽を作ってみたいと思ったのがきっかけです。

Fountain Musicとの出会いと経緯を教えて下さい。

Lady CitizenのWebにアップしていた作品を聴いていただき、そこからコンタクトをとってきていただいたと記憶しております。そこがまず始まりで、未発表の曲が溜ってきた時にツイッターでそんなことをつぶやいたら、またコンタクトしていただきまして、レーベル側に聴いていただいたところ、非常に高く評価していただき今回のリリースに至りました。

ロンドンでご活躍されていらっしゃいますが、何故、ロンドンで音楽活動をされる事になったのですか。

昔からUK Dubとか、Trip hopとかなんというかイギリス特有のメランコリックな音楽が好きで、それとイギリスからは何年かに一度必ずブームと呼べる新しいシーンが生まれて来る。そういうところはずっと日本にいた時から憧れていましたし、どうせ外国に行くなら次はロンドンかなとずっと考えていました。

ダブの手法として新しく切り開いたテクニック、技術はございますか。

どちらかというとDub処理に関しては脈々と受け継がれてきているベーシックなものを使ったと思います。音の飛ばし方とかは特にそんな感じです。ただ「Dub Tech Laboratory」というタイトルにある通り、実験を試みたところは実はDub処理の手法ではなく、無機質さの中に内包される儚い幽玄性を表現するSynth workだったり、ドローン系の音楽にありがちなDopeさに偏ったものより、ダンサブルなビートメークを用いて、有機的な作品に仕上げることを目指したところでしょうか。

音楽の事を誇りに思っていますか。

はい。そう思っています。

どの様な新しいアイデアを取り入れましたか。

前述したところと若干重なりますが、耳なじみの良いメロディーだったり、昨今のBass Musicともリンクするビートメイクだったりを90sから脈々と受け継がれてきたBasic Channel以降のDub Technoを融合させることかなと。

影響を受けたアーティストや、事柄を教えて下さい。

最近はScubaが運営するHotflushの作品はまずチェックしています。というか以前からScubaの音楽が好きでDJするときもよくプレーしていまして。Hotflushの提示する音楽性がBass Musicであり、Dub technoであり、Deep houseであり、Electoronica要素もあったりするので、単純に自分から好きだったものとリンクしているのでどうしても気になったりはしますね。日本人だとRei Harakamiさんですね。今でもずっと聴き続けています。

ロンドンでの制作の時のエピソードを教えて下さい。

今回の制作は、ロンドンにいるからこそ出来たものだと思っています。それはどういう点かというと、単純な「本場」のコピーにならないものを作るという点ですね。

多分、日本にいたら「今ヨーロッパで流行ってる何々」みたいなものをコンセプトにしたと思いますが、こっちにいたらもうそれは早くも新しくもなんともないんですよね。だからこそ、自分独自のスタイルというかそういったものを確立したかったんです。そこで昔から好きだったDub Technoを基調に、近年自分が影響受けていたBass musicや、日本人の持つ「儚い」という感性を生かして作ったメロディーを掛け合わせて制作したものが今作です。

なので大雑把にわけたら昔からあるものなのかもしれませんが、そこに独自のこだわりを付け加えているからどこか聴きなじみがない新しいものでもあると思います。
それがこの作品の肝で自分の独自の路線を貫いたという点だと思っています。

iFlyerをお読みのお客様にメッセージをお願い申し上げます。

「Dub Tech Laboratory」にLady Citizenが感じるダンスミュージックへの情熱を込めました。なのでそれを少しでも皆様に感じていただければと思っております。

ありがとうございました。

Special Thanks to Citizen Tokei