1978年にフィンランドで創立されたプロ用スピーカー・メーカー「Genelec​(ジェネレック)」。その革新的な技術とサウンドによりプロの音楽制作現場では世界標準となっている Genelec のアクティブ・スピーカーだが、近年ではハイクオリティな一般ユーザー向け G シリーズや店舗向け製品も販売されている。
インダストリアル・デザイナーの Harri Koskinnen 氏が手がけた北欧デザイン、信頼の Made in Finland、再生アルミニウムやリサイクル可能な部品を随所に採用したサステナブルな設計など、正に北欧を代表するスピーカー・ブランドだ。

そんな Genelec スピーカーの音をアーティストの耳で聴いてもらうインタビューシリーズに今回登場するのは、超人気 DJ/Producer として世界で活躍する banvox。
若くしてその類い稀なる才能を開花させた banvox は、DJ として Ultra Europe、Ultra Japan、フジロックフェスティバル等国内外のビッグフェスに出演する一方、人気プロデューサーとして EDM、Pop、HipHop とジャンルを超えた数々のトラックをリリースしてきており、その実力は故 Avicii(アヴィーチー)や Davide Guetta(デヴィッド・ゲッタ)といった世界のトッププロデューサーたちからも一目置かれる存在である。


そんな世界水準のレベルで活躍するプロデューサーの耳に、Genelec スピーカーの音はどのように響くのだろうか? 先に結果を明かしてしまうと、Genelec の音が大いにお気に召したようで、特に彼がこだわる制作のシチュエーションにもピッタリだったようだ。
最高のモニタースピーカーをお探しのプロデューサーの方も、自宅のリスニング環境を向上させたい方も必読のインタビューとなっているので、要チェック!!


小さなボリュームでも作ったままの音が鮮明に聴こえるので、ワンルームで DTM をしている人にも向いている

iFLYER:普段、スピーカーを選ぶ際にどのような点を重視していますか?

banvox:自然な音が出るという部分を重視しています。モニタースピーカーの中には、最初からイコライジングされているものが多く、純粋な音が鳴るスピーカーというのがなかなかないので、今一歩モニタースピーカーの購入に踏み出せずにいました。だから、Genelec スピーカー(この日は The Ones シリーズの 8351 を中心に試聴)の音を聴かせていただいて、本当にビックリしました。"自分で作り出した音がそのまま出てくる" 感じでしたね。

iFLYER:制作時、これまで様々なスピーカーを使ってきた中で、悩みや気になる点などはありましたか? 

banvox:DTM やってる方も、スタジオに篭ってガッツリ製作する人ばかりではなく、ワンルームで製作している人は多いと思いますし、音を大きくできない場合も多い。更に言えば、大きな音に耳が慣れてしまうと、“良い音” だと錯覚してしまいがちになって、正確なミキシングができなくなってしまうという点もあるので、僕は結構小さめの音でミキシングやマスタリングをしています。だから今回、Genelec スピーカーの音を聴かせていただいて、良い感じのボリューム感で、ワンルームでの使用にも合うのではないかなと思いました。


iFLYER:Genelec スピーカーでご自身の曲を改めて聴いてみて、いかがでしたでしょうか?

banvox:びっくりしました。ナチュラルで、僕のスタジオで作ったままの音が綺麗に聴こえて。ああ、自分のミックスやマスタリング、間違ってないな、正解だな、という感じて、凄く安心しました(笑)。

スピーカーの音質はもちろん、デザインにこだわることが楽曲制作に良い影響を与える

iFLYER:Genelec スピーカーのデザインについてはいかがでしょうか?

banvox:Genelec スピーカーはスタイリッシュでスタジオ感があって、カッコいいですよね。背面がシンプルなのも好みです。スタジオに置いて引き立つデザインなのが良いなと思います。

iFLYER:カラーもグレー、黒、白とありますが、どの色が気になりますか?

banvox:白がオシャレで好みですね。このアルミ(RAW フィニッシュ)のスピーカーもカッコいいですね。
(RAW フィニッシュが可能なモデル:G Two、8320、8020)

一時期、とあるメーカーのスピーカーのデザインが気に入って使っていたのですが、音が結構イコライジングされていてあまり好きではなくて、サヨナラしてしまったという経験があります。だから、デザインも音も良いというのは素晴らしいと思います。
メンタルも曲作りに影響してくるので、デザインも重要です。オシャレなスタジオでカッコいいスピーカーだと、テンションが上がるじゃないですか。それが、楽曲製作にも良い影響を与えると思いますよ。


Electronic Music、Hip Hopと、オールジャンルに向いている


iFLYER:ダンスミュージックやエレクトロニックな作風が特徴の banvox さんですが、そういった楽曲と Genelec スピーカーの相性はいかがでしょうか?

banvox:実際に自分の曲を Genelec スピーカーで聴いてみて、本当に良いですね。作ったそのままの音を確認できるので、制作時の不安が軽減します。

iFLYER:Genelec スピーカーを実際に制作される際に使うとしたら、制作工程になにか良い変化が出たり、メリットがあったりしそうでしょうか?

banvox:正直、メリットしかないです (笑)。前述の通り、作ったままの音が綺麗に聴こえるのでミキシングがしやすく作業効率が格段に上がると思います。
そこが僕にとって大事なポイントなので、だいぶ変わって来そうです。また、小さい音量で細部まで聞き取れるので、長時間使用の際にも耳に余計な負担をかけなくて済むのがとても助かると思います。

iFLYER:banvox さんは、エレクトロニック・ミュージック以外にも、様々なジャンルのトラックを手掛けてきていますよね。2020年にリリースされた、​​HIP HOP がテーマのアルバム『DIFFERENCE』は、それまでの作風とは大分異なったものとなりましたが、bonvox さんの素晴らしいアートを見れたような気がします。

banvox:あのアルバムは出して良かったと思います。今後、どういう風に bonvox が動いていこうか、ということをたくさん考えるきっかけとなった一枚になりました。あれ以降、ラッパーの方からプロデュースでお声掛けいただくことも増えました。

最近だとラッパーの Tohji と友だち伝手で知り合って意気投合し、週3ぐらいのペースで僕のスタジオで遊びながらミックスやマスタリングしたりしています。Tohji の「My Swag」という曲も、僕のスタジオでミックスとマスタリングをしたんですが、彼とは今後も色々と出す予定です。
 

iFLYER:Hip Hop だと EDM とはまたちょっと違った低音が強めの曲や、ボーカルとラップが入り混じった曲も多いですが、そういった曲を Genelec スピーカーで聴いたときのメリットはどのような点でしょうか?

banvox:ボーカルやラップが入り混じった曲を再生した時、各パート毎の繊細な声質の違いまで鮮明に再生された事に驚きました。Genelec のスピーカーは、各周波数帯がクリアに再生されるのでトラックやアドリブの細かい部分も聞き取りやすく、臨場感がとても感じられるのでモニター用だけではなくリスニング用としても最適だと思いました。


iFLYER:Genelec スピーカーは、普段使いでも贅沢で心地良いリスニングタイムを提供してくれます。プライベートなシーンで使うなら、どのような曲を聴いてみたいですか? 

banvox:全ジャンルの曲を聴きたいですね。先ほど自分の曲を試聴させていただいた中で、オールジャンル聴きましたが、どのようなジャンルにでも対応できるスピーカーだな、と感じました。
 

2022年は "banvox" としての活動が大きく変わる予感!?

iFLYER:今現在はフリーで活動されていますが、フリーになったことの利点と大変な点、自身の中での今後の課題点について教えてください。

banvox:何が起きているのかすぐ分かって、すぐ解決できる、自分で全部管理や対応ができるというのと、仕事がやりやすくはなりました。大変な点は、全て一人でやっているので、手が回らなくなりがちな点です。ギャランティの交渉が難しかったり、プロデュース曲の締切りに追われてオリジナル曲の製作に集中できなくなってしまったり。締切は絶対に守るタイプなんですが、逆に真面目過ぎるというのが僕のウィークポイントでもあるので、そこを改善していきたいですね。

iFLYER:若い頃から業界でお仕事されてきてるので、色々とご苦労なさってきている部分もあると思いますが。

banvox:そうですね、メジャーに行ったりインディーズに行ったり、結構揉まれてきていますね(笑)。
 
iFLYER:ダンスミュージックの製作と並行して、ソロで Hip Hop のアルバムやシングルをリリースするご予定は?

banvox:僕、HipHop は死ぬほど聴いてきて、Hip Hop に命を救われたようなこともあったり、そもそもラッパーになりたくて音楽を始めたんです。
今はプロデューサーとしての仕事が多いのですが、今後はもっと自分が表に出ていくようなアルバムの制作、そしてダンスミュージックと HipHop や R&B、二つの軸での活動を考えています。

DJ やライブをしているとダンスミュージックを作りたくなるし、リスニングでは僕は Chris Brown(クリス・ブラウン)がとても好きなので、R&B や HipHop が融合したような曲も作りたいですね。iPhone の壁紙も Chris Brown です(笑)。僕は LA やウェストコースト系のサウンドが大好きなんです。LA を拠点に3ヶ月間アメリカツアーをしたこともあります。
 

iFLYER:昨年12月にはホリエモンさんと CEO セオさんの新曲 ”セケンテー” に作曲・プロデュースで参加されていて、凄いメンツでのコラボレーションだなと思いましたが、いかがでしたか?

banvox:セオさんは投資家のお仕事とは別に、音楽も本格的に作られていて「世間に訴える系の曲を作りたいんだよね」と相談されたのですが、音楽について勉強したり、お金をかけるべきところにはかけたりと、本気で音楽をやりたいというのが感じられて面白いなと思ったので、プロデュースで参加させていただきました。ホリエモンさんは、セオさんと既に「NO TELEPHONE」等、何曲か出しているんですが、今回僕は後からフィーチャリングホリエモンさんだったことを知りました(笑)。
作詞はセオさんが、作曲はメロディーライン等半分は僕が作って、あと岡田奏多さんという BTS 等の作詞作曲をされている方も参加しています。お互い意見を言い合ってセッションして、良い感じで面白い曲ができました。
僕は同世代で音楽やっている知り合いがいないのですが、ありがたいことに別の方面から色々と面白い方に知り合えていますね。


iFLYER:SNS で2022年に多数のオリジナル曲をリリースすることを示唆されていますが、今年リリースする曲はどのようなものになりそうですか? また今後の予定についても教えてください。

banvox:Migos(ミーゴス)の『Culture』シリーズのように統一感のある新たなアルバムシリーズを作ろうと考えています。"世界で一番有名になりたい" というのが最大目標としてあるのですが、その通過点として主要4部門でグラミーを取りたいと考えていて、そこまでのカウントダウンという意味でアルバムのテーマを決めて3枚ぐらい出したいんです。それと、皆が求めているダンスミュージックを並行して出していけたらと思います。

iFLYER:コラボしたい海外アーティストはいますか?

banvox:今進んでいる話もありますが、やはり Chris Brown とはコラボしてみたいですね! 趣味も合いそうなんで(笑)。今年は、様々なアーティストとのコラボの予定もたくさんあります。


iFLYER:banvox さんは作詞もされていますが、どのようなときに作詞されるのでしょうか? “降ってくる”、というか……。

banvox:プロデュースであれば、その人のことを考えて、こういうことを書いた方が良いのかな、こういうワードが良いかな、というのをパズルのように組み立てて作ります。自分がラップする場合などは、自分が言いたいことを砕いて作ります。言いたいことはめっちゃあるし。僕、生まれが関西なんですが、実は普通に話すとめっちゃ関西弁で、結構ガンガン言っちゃうところもあるんで。抑えて抑えて、みたいな感じで……(笑)。

iFLYER:え、今まで全く我々気づいてませんでしたが、それは抑えて喋っていたということですか……!! ファンの方はご存知なんですか?

banvox:分かっているとは思いますが、こんなゴリゴリ関西弁だとは思ってないかも……。だから、ちょっとインタビューでは猫被っている、みたいな(笑)。


iFLYER:ageHa でお会いした時は、アーティストのオーラが凄くて全く話しかけられる雰囲気ではなかったんですが、関西弁になると、一気に親しみやすさのある魅力が(笑)。

banvox:めっちゃフランクな感じなんです(笑)。今年は banvox としての活動がかなり変わっていくと思うので、楽しみにしていて下さい! 

Photo:井手勇貴
 

banvox

東京を拠点に活動するプロデューサー/DJ。2011年より活動を開始、デビュー作『Intense Electro Disco』は僅か2日間で4,000 DL を記録。
2012 年にリリースしたデジタルEP『INSTINCT DAZZLING STARLIGHT EP』で米ダンス/ クラブミュージック配信サイト最大手のBeatport 総合チャートで2位獲得という快挙を成し遂げ、更にAmazon Mp3 ダンスチャート1 位、iTunes ダンスチャート4 位、とデジタルチャートを席巻。クラブ/DJ シーンにおいて一躍その名を轟かせる存在となる。
BIG BEACH FESTIVAL、ULTRA JAPAN、フジロックフェスティバルといった国内最大規模のフェスから、ULTRA KOREA、ULTRA EUROPE 等の海外フェスへも出演を果たしてきた。
deadmau5 主宰のレーベル mau5trap や米大手レーベル ULTRA RECORDS 等からオリジナル、国内外アーティストのリミックス、プロデュース曲等を多数リリースしてきており、Google やモード学園等の CM 曲等も手がけている。そして、リリース毎に Beatport や iTunes、Shazam 等の国内外のダンスミュージックチャートでトップに食い込んでいる

オフィシャルサイト http://banvox.net/
YouTube https://www.youtube.com/user/banvoxofficial
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